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【声色ききみみずきん】#03 宮沢りえさんの声には、覚悟がある。凛とした凄みがホントに格好良い
口跡(こうせき)。
主に役者や歌舞伎俳優の、セリフ回しや発声、声の質などを総称する言葉だ。
この数年、活躍の場が舞台中心になった宮沢りえさん。
実に、口跡の良い女優さんだと思う。
やや高めの音域で、柔らかく明るい響きがあり、高周波音が声の中に多く含まれていて、聴き心地バツグン!
声の輪郭も、はっきりしている。
思わず聴いてしまう声、聴きたくなる声、聴かずにはいられなくなる声の代表選手。
歯並び、口の形、舌の動き、首の太さ、筋肉のしなやかさ、どれをとっても、声質の良さに貢献しているなと思う。美しい。
しかも、声に独特の癖や嫌味がないので、とても「素直」で「親切」さも感じさせる。この人の声こそ、より多くの人に愛されるための声、天性の女優声なのだと思う。
◆◆◆
宮沢さんのデビューは、11歳。
そして、現在は45歳。かなり辛い時期が続き、仕事から離れたこともあったとか。けれど、婚約、別離、結婚、出産、離婚を経験し、さらに、再婚もされて、声は経験と共に練り上げられ、深く豊かに進化された気がする。
「舞台に立ち自分の内面をさらすことは、
裸になるよりも恥ずかしいことでした。
でも、自分の内側に向き合い、飛び込み、
とことん表現することで、私は救われた。
そこからのめり込むように、舞台が大好き
になりました」。
と、ご本人の談。
天性の女優声は、苦しみや痛みに鍛え抜かれ、舞台に立つための身体づくりで磨き抜かれ、壮絶な「凄み」を放つようになったのかもしれない。しなやかで、強じんな芯が通り、凛とした輝きもある。
一言で表すと、「覚悟のある声」。
どんなトラブルも感情の揺れも、体験することは全て滋養に出来るって素晴らしい。辛い日々がなければ、ここまで声は育たなかったのかもと思う。
そして大事なことは、宮沢さんの天性の資質でもあると思うのだけれど、根っこの部分が飛び抜けて明るい。というか、ザックリサッパリスパーンとした感じ。陰にこもらないというのかな。そうせざるを得なかったのかもしれないけれど。
そうそう、それとね、言葉の選び方も的確。
賢い女性だと思う。
まだ40代半ば。
50代、60代に、どんな女優さんに成長されるのだろう。
たぶん、今までどこにも存在しなかったような、すごい50代女性になると思う。何がすごいって、存在そのものが。
50代半ばの私は、10歳以上年下の格好いい女を憧れの溜息で見る。身体を大切にして、長生きしてほしい。そしていつまでも舞台の上で、燃え盛る覚悟の女優魂を見せて欲しい。
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