40代厄年明け自営業、交通事故に遭う②緊急搬送
①の続きです。
右折してきたワンボックスに撥ねられたあと、路肩に車を移動し、その横で警察や救急車を待っていると、電話から10分後にはそれぞれ到着。
救急車に乗るのは人生で3回目だが、毎回本当に到着が早いと思う。どこから来てるんだろうか。
救急車に乗せられるとすぐに寝かされ、瞳孔や脈、頭にケガをしていないかを救急隊員に診られる。私の場合はおそらく頭は打っていなかったが、アスファルトに打ち付けた顔と右半身に痛みが集中していたので、見てもらうと大腿部に擦過傷が見られるほかは、特に外傷が見当たらないようだった。
個人的には右肩とか動かせないくらい痛いし、顔からも出血してるしで結構重症なのでは…と思ったのだが、そうでもないような雰囲気だった。何だかちょっと悔しい。
「一応事故が事故なので、大きな病院へ搬送します」とのこと。
言い方に「多分大したことないけど、念のためちゃんと診てもらいましょう」的なニュアンスを感じて、フクザツな気分だった。
散歩に行くと言って出て行った夫がまさかこんなことになっているとは、妻も思わないだろう。
帰りが遅くなっている私を心配しているだろうと痛む体に鞭打って電話するが、出ず。
救急隊員の方からも電話してもらうものの、出ず。ちょっと遅くなっている程度では、心配されていないようだ。
妻は基本的にあまりスマホを気にしないタイプなので、このタイミングでの状況報告は諦めて病院へ搬送してもらう。
搬送中も何度か救急隊員の方が妻へ電話していたが、「出ませんね…」ということで、なんだか申し訳ない気持ちになる。
救急車で10分ほど走っただろうか、大学病院の救急へ運び込まれる。
さすがに物々しい雰囲気で「大丈夫ですか!」の声や、救急隊員と看護師の間で専門用語が飛び交う中、足早に担架で運ばれていく状況に「私は交通事故で、大学病院へ緊急搬送されているんだ!」と少し誇らしい気持ちになる。謎の感情である。
ベッドに移される時、右半身が痛み「うぅっ」と思わず呻くと「大丈夫ですか、痛いですよね、少しだけ我慢してくださいね」と気遣われ、また少し誇らしい気持ちになる。
そんな気持ちになる余裕があるのだから、多分軽傷なんだろうと自分でも自覚が芽生えはじめる。
改めて全身を簡単に触診されたり(ここ痛いですか?のアレ)、瞳孔を診たり指先に何か器具を挟まれたり、点滴を入れられたり、血圧を測定されたりする。ケガの様子も見られ「痛そう~」と言われ、なぜかちょっと安心し、「そうでしょう」と言いたくなる。言わなかったけど。
おそらく「緊急性:低」と判断され、「CTが今混んでいるので少しだけ待てますか?」と聞かれる。はい大丈夫です、私よりきっと重症の方はいると思うので…。
聞こえてくる会話だと、今日は外傷で搬入されてくる人がとても多いらしい。自分のような交通事故の人もいるのだろうか。とにかく忙しそうだった。私は天井を見上げながら、妻が心配していないだろうか、とばかり考えていた。