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2024 Season -Gamba Osaka-
こんにちは。
濵田祐太郎です。
今回はガンバについて書きます。
2024のガンバ大阪はまさに快進撃でした。
2023までの数年は降格争いをしていたチームです。
宇佐美選手の数字的復活と中谷選手の加入が大きな要因だと思います。
実際どのようなサッカーをしていたのか見ていきます。
●基本情報
J1順位 4位
勝数18 分数12 敗数8 勝点66
49得点 35失点 得失点+14
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●Attack
◯Counter
ガンバにはウェルトン選手、山下選手、ファンアラーノ選手など爆発的なスピードを持つWGがいる。したがってWGを利用したカウンターが脅威である。構造は以下の通りだ。
奪ってからできるだけはやく2FW(特に宇佐美選手)につける。FWが時間を作る間にWGが駆け上がる。FWがそのままラストパスを出す。またはFWが3人目に渡して前向きでラストパスを出す。そしてWGにボールが渡ると、2FWがゴール前に走り込むことだ。WGが個人で突破できない場合、FWへの横パスの選択肢を与えるのだ。
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◯フリーマン宇佐美
ガンバの攻撃のキーマンはやはり宇佐美選手である。宇佐美選手がボールを触りやすい構造になっている。
自陣深くでの攻撃の配置では、SBが低めに位置どりCBをサポートする。
VOは基本2人とも最終ラインのサポートのために近づく。相手に対応されると1人だけサポートして、片方はライン間に位置どり変化を加えることもある。
WGは最終ラインをロックし、2FWが自由に動くスペースを確保する。2FWは基本は相手CBと駆け引きをする、自分のタイミングで降りてボールを引き出す。ここに自由度が生まれ、守備は対応が難しくなる。
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Middle Thirdでは2CB+VOで下3枚になることが多い。特に鈴木選手がCB間に入ったり、CB脇に降りたりする。片方のVOがANKとしてCBのサポートをする。
それに伴い、SBは高めのポジションとなる。
WGはそのまま大外で最終ラインをロックするか、相手CBとSBの間に入りロックする。内側に入ると、最終ラインだけでなくPocketに位置どり、楔を受ける準備をすることもある。
特に、LWGウェルトン選手が内側に入り、RWG山下選手が大外でロックする傾向がある。
この高さの攻撃でも2FWはフリーマンとなる。特に宇佐美選手はサイドに流れたり、CBのサポートをしたりと自由に動くためどう管理するがが非常に難しい。
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◯WGのスピード
攻撃時このような構造となるが、1stチョイスはWGである。
まずはGK一森選手のロングフィードで背後を狙う。一森選手は骨盤を捻って背後へ蹴ることができる。体の向きで落下点に先に移動すると逆を取られてしまうのだ。
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次に中谷選手、福岡選手からの配球が多い。まずはCBから対角へのフィードでWGの背後を狙う。WGは大外から背後をとることもあるが、潜って背後を狙うことがガンバの特徴だ。
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CBまたはSBからのラインボールにはWGが直線で走るだけでなく、内まくりという動きで背後を狙う。内まくりは大外で2人いる時に効果を発揮する。
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これらの配球パターンでパスが通ればWGの単独走となる。相手がついてきても、WGはまず個で剥がしにいく。
それでも突破できないと、ガンバの選手はWGに近づき(特にFW)、サイドを崩す。
得意なパターンは潜りワンツーだ。後期の鳥栖戦でもまさにこの形で失点をした。
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このようにWGを中心に攻撃を組み立てる。こうして相手の最終ラインを押し下げ、フリーマンであるFWによりスペースを与えるのだ。
◯左サイドから決定機創出
クロスは左サイドからのクロスが多い。
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WGからの攻撃を一通り模索し、時間をかけるとSBが駆け上がる。
特にLSB黒川選手だ。
駆け上がるタイミングがよく、スピードもあるためフリーで上げることができる。さらに、様々な質のクロスを上げることができる。低弾道だけでなくピンポイントで頭へのクロス、マイナスへのクロスも上げることができる。
宇佐美選手も左サイドで関わり、中の動き出しとあえばピンポイントのインスイングクロスを供給できる。
また、ドリブルで剥がしてゴールに近い位置からクロスを上げたり、時間を作ってゴール前に人数をかけてからクロスを供給できたりする。
入り方の特徴は宇佐美選手ではないFWと逆WGは必ず入る。
中でも特に注意しなければならない選手はダワン選手である。まずヘディングが強い。打点も高く、クロスでもセットプレーでもヘディングから得点を決めることができる。そして低い位置から勢いよく飛び込んでくるためマークもつきにくい。
◯ゴール前の宇佐美
ゴール前で最も怖いのはやはり宇佐美選手である。
ドリブル、パス、シュート全てにおいてJ1でトップのクオリティである。2024シーズンは誰も止められない領域に入っていた。
その中でもドリブルからシュートに注目する。神戸の宮代選手の特徴で書いたが、ドリブル中のタッチのタイミングとシュートまでのタイミングが同じである。
一般的な選手はシュートを打つために助走がいる。ドリブル中でもボールを少し蹴り出して2-3歩助走を踏んでから打つ。
ただ、宇佐美選手はドリブル中の助走がない。前者はドリブルからシュートと分かれているが、宇佐美選手はドリブルの中にシュートが入っている。このタイミングで打つことでDFもGKも反応が遅れるのだ。
●Defense
◯重たい重心
ガンバのPressingは4-2-4である。VOがライン間を管理する傾向がある。したがってVOが見えやすい。VOを使われると撤退しMiddle Pressとなる。ただ、前進された後の前線4枚のプレスバックは非常に早い。
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◯とにかく動ける鈴木とダワン
上記の構造上、Middleで構えることが多い。Middleは4-4-2で守る。中谷選手がリーダーシップを発揮し、細かいラインコントロールを行う。
そしてガンバのMiddleで最も重要なのはVOである。
鈴木選手とダワン選手の圧倒的な運動量で内ルートを封殺する。基本的には素早いスライドで外Pocketの対応をする。
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また、2023年以前はCSブレイクにCBが反応することが多かった。CBが割れることでゴールに直結するスペースが生まれ、決定機を作られることが多かった。
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しかし2024シーズンはCSブレイクにVOが感度よくついていった。この対応は失点を減らした要因の一つである。
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このようにVOが基本的に横と後ろの対応が中心となるが、常に楔のインターセプトも狙う。1stプレスが切っている角度やボール状況によってパスコースを予測するのだ。
◯Near Zone 対応
2023年以前はCBがNZの対応をすることが多かった。
だが、CSブレイク対応と同じように2024シーズンはVOが感度よく対応する。このVOの対応がとても速く、隙がないのだ。
VOがNZについていき、片方のVOもクロス対応のためにゴール前に戻るとDZにスペースが見えることが弱点ではある。
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◯Cross対応のお手本
中谷選手も福岡選手もお手本のようなクロス対応をする。
ガンバのクロス対応の基本はMantoManである。
中谷選手はターゲットに正対するようにマークにつく。腕を使い相手を捕まえて動きを制限する。
腕で相手の位置を確認しながら、常にクロッサーを見ていつクロスが上がるかを確認する。
クロスが上がるとマークよりも先にボールを触りにいく。
マークを投げ捨ててボールに出るのだ。
一般的なMantoでの対応だと最後まで人を捕まえる。
この最後ボールに出るということがとても重要なのだ。
これができると、クロスではなく足元へのパスが出されてもボールに反応できる。現時点で僕が考える最善のクロス対応と言える。
一方、福岡選手はまず身体能力が高い。
スピードがあり、ヘディングの打点も高い。これがベースにある中で、マークのつき方は背中を取らせないつき方をする。
つまりボールと相手を同一視野でみれる立ち位置で守るのだ。
この立ち位置の弱点は相手の方が前にいるため前で触られやすいことだ。
ただ、福岡選手はその弱点と自分のスピードを理解し、前で触らせないタイミングでボールに出る。
福岡選手の弱点は最後まで自分の落下点にいることだ。つまり完全に相手に触られる時も体をぶつけない。合わせられる時はフリーで合わせられることが多いのだ。
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以上がガンバのざっくりとした分析です。
宇佐美選手の好調の要因の一つにオフシーズンでの肉体改造があります。
1週間に1kgずつ体重を落とすことで、3-4kg減量した状態でプレシーズンに突入しました。
宇佐美選手がインタビューで言っていたのは、これまでは怪我をしたふくらはぎがダッシュをすると沈む感覚があり、自分がイメージしたスピードに乗れなかったといいます。
しかし2024シーズンは減量のおかげもありイメージに近いダッシュができたことで宇佐美選手のプレーを発揮できたといいます。
このように自分の感覚を言語化し、そこから出た課題にオフシーズンをかけて取り組んでいくことの大切さを改めて学びました。
おそらくそれ以前のシーズンでも毎回模索していたのだと思います。模索した結果が思うようにいかなくても、自分から逃げずに課題を見つけて解決していくということが勇気のいることで難しいと思いました。
2024シーズンは快進撃と言われた順位は、2025シーズンの基準になります。大きな期待に応えることができるのかとても楽しみです。