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2024 Season -Shonan Bellmare-

こんにちは。

濵田祐太郎です。

今回は湘南について書きます。

湘南はJ1で唯一3-5-2で戦います。

対戦相手からすると慣れない配置との戦いなので、分析することに苦労したり選手としてもあまり見ない景色の中でプレーしなければならなかったりと難しい相手です。

その湘南がどのような戦い方をするのか見ていきます


●基本情報

J1順位 15位
12勝 9分 17敗 勝点45
53得点 58失点 得失点-5

最終節スタメン


8/31 鳥栖vs湘南

●Attack

◯外CBと2FW

 湘南の配置は3-5-2である。3-1-4-2とも言える。

 また、ゴールキック時、中央CBのキムミンテ選手がANKの位置に入り、4-2-2-2に見える配置を取ることがある。

 攻撃の始まりは外CBである。

 外CBはまずWBへの外ルートの選択肢を見せる。湘南の外CBの鉄板の形は縦ワンツーである。WBにつけて、その足で守備組織の内側へ潜っていく。WBからの落としをもらってスピードアップをするのだ。

 外CBがWBへ遅めのボールを出すと、WBはタッチライン側の足でワンタッチでCB背後へ配球する形もある。

 背後を見せてから、その形のままPocketへパスをつけることで相手DFラインの先手を取ることができる。

 また、WBは高い位置で相手DFラインをロックし、IHが外Pocketへ流れることで外ルートの選択肢を作ることもある。

 外ルートを相手が警戒すると、インドライブを仕掛ける。これには推進力がある。前期のジュビロ戦で開始13秒で決めた得点はまさにキックオフ直後のインドライブが起点となった。

 ドライブをするスペースがないと、ANKを覗く。田中選手は3CBに近い位置で受ける準備をするためパスを出しやすい。

 これらを模索しながら、相手が隙を見せるとPocketへ差し込む。IHは守備の立ち位置を見て外Pocketと内Pocketの内よりフリーで受けられる方を選択する。

 そして、最も警戒しなければならないのは、FWの背後のアクションである。このIHの動きにCBが対応すると、CBの背中にFWが走り込む。ルキアン選手、鈴木章斗選手、福田選手とFWにはスピードがある選手を起用することでより脅威を与えている。

 さらに、ゴール前に2FWのうちの一角が駆け上がることで、背後に抜けたFWはシュートと横パスの2択を持ってゴールに迫ることができる。

 このように外CBが攻撃のスイッチを入れる。中央CBとANKは外CBがより良い状態でプレーできるような潤滑油となる。彼らがフリーになるようにテンポ良く受けて渡すを繰り返し、前進しやすいサイドを選択するのだ。

◯Cross

 Cross時、ゴール前には2FW+2IH+逆WBの5枚は必ず入る。

 FWが背後へ抜け出した場合は、4枚が中で合わせる準備をする。

 そして最初の狙いは射抜きである。人数をかけることで誰かが触るためのボールを入れる。

 次はWBの特徴についてだ。

 畑選手はドリブルが得意である。縦突破もカットインもできるが、スピードを生かして縦突破から射抜きのクロスを入れる方が怖さがある。カットインで内側に入ると、DZにつけて潜りFWの選択肢を増やす。

 鈴木雄斗選手はクロスの精度が高い。ターゲットの頭にピンポイントで合わせることができる。そのクロスを見せ、PocketやDZへつけて潜ることでゴールに迫ることもある。

 小野瀬選手はドリブルで相手を剥がすことができる。IHで起用されることが多い選手だが、2024シーズンはWBとしても起用されることがあった。相手と駆け引きをして右足アウトでカットインをする形が得意である

◯D Zone攻略

 WBの特徴でもわかるように、湘南のWBはカットインでDZを覗くことができる。そのDZにつけてWB自身が潜ってゴールに迫る。

 また、湘南は2FWである。つまりDZに2FWが顔を出すことができるのだ。WBからDZへのパスに対して、手前のFWがスルーをしそのままPA内へ侵入する。奥のFWが受けると、ワンタッチで抜け出したFWを利用する形が多い。特に、福田選手とルキアン選手が2FWの時はこの関わりが上手い。

●Defense

◯あまり見ない景色

 湘南はPressingも3-5-2で行う。この配置でPressingをかけてくるチームはJ1にないため、経験のない角度からのアプローチを受けることになる。したがって、認知が難しい。

 2CBの相手に対しては、2FWが2CBを管理する。

 3MFはライン間を隠しながらスライドを行い、SBにボールが出るとSBへアプローチをかける。

 WBはIHのスライドのスライドが間に合わないと判断すれば、SBへジャンプする準備をする。中でも、池田選手がSBへアプローチをし、その逆サイドはWBがジャンプすることが多い。

 外Pocketに対しては外CBとWBがコミュニケーションをとってどちらが対応するかを決める。

 3CBの相手に対しては、2FWがサイドに誘導する。相手外CBにパスが渡ると、IHが外CBへジャンプをする。ただ、ここにもコミュニケーションがある。2FWが2度追いで対応するのか、IHがジャンプするのか判断するためである。

 WBはWBにジャンプする。ただ、WBが高い位置を取っている時の外Pocketには、外CBが出るのか、WBが出てスライドするのかを判断する必要がある。

 この守備は大前提として、3MFの運動量が必須である。特に、IHがジャンプした時のANKのスライドが間に合わなければ内ルートを簡単に利用されてしまう。そこは田中選手のスピードと強度でカバーしていた。

 このように3-5-2のPressingは独特な角度からアプローチがある。さらに、誰がアプローチをするのかコミュニケーションに頼るところがある。これは初めは難しいが、連携が積み上がると、ボールホルダーにとっては毎回異なる角度からのアプローチがくることになり、判断が難しくなるのだ。

◯5-3-2攻略

 この配置に対しても、4-4-2からサイドのどちらかが内側に入る4-2-2-2の配置は効果的である。ただ、5-4-1とは狙いが異なる点もある。

 5-3-2相手にはやはり3MFを攻略することがポイントになる。

 まず2VOは1stプレスラインの背中と駆け引きをする。なぜなら3MFはスライドが主なタスクだからだ。VOを捕まえに出てくることは少ない。したがって、2VOはCBからの楔を受ける準備をする。仮に、3MFが食い付くとライン間が見えてくる。

 そして倒したい相手はジャンプしてきたIHである。IHがジャンプするとSBの横につく。このサポートで重要なことはANKに捕まらないことだ。さらに、内側のWGがIHの背中で顔を出す。SBにこの2択を作ることが前進のポイントとなる。

 この際、内側WGに外CBが食いつくと2FWが背後へ抜け出すことでSBに選択肢を与えることができる。したがって、2FWは中央CBを挟む位置からプレーする必要がある。

 一方、WBがSBに出てくる場合、SBには少し時間がある。そのため、まずはWBの背後へのラインボールを狙う。

 次の選択肢はCBにリターンしてテンポ良く逆へ変えることだ。なぜなら、WBが出た場合3MFが揃った状態でスライドをしてくるため、内ルートが見えにくいからだ。テンポ良く逆へ持っていってIHを釣り出して勝負することが大切である。

◯外CB攻略

 NearZoneには外CBが管理している。特に、NZに走られると外CBがついていくことが多い。

 そのため、外CBがラインを下げることでできたスペースに2列目から侵入できると決定機を作ることができる。

 さらに、外CBがNZに出ることで生まれた中央CBとの間のスペースに走り込むことができればシュートを打つ可能性が高まる。

 また、ゴール前では外CBを背負うことも効果的である。まず、FWが外CBを背負うことでロックする。そこにパスをつけて外CBの両脇から抜け出すと対応が難しいのだ。

◯Cross対応

 湘南のクロス対応はMantoManである。

 大野選手はマークとボールを同一視野に入れる。かつ距離をとって対応する。そして前に走らせて前で勝負するのだ。この場合、背中をとる位置でできるだけ前のスペースを作り、クロスが上がった瞬間にスピード勝負に持っていけばチャンスを作ることができる。

 また、前に走らせる分、前への反応が敏感である。したがって、1人潰れて2人目がその背中のスペースで合わせることができる。

 大岩選手は手でマークの位置を確認する。その間、目ではボール状況を確認している。そしてボールが上がるとマークを捨ててボールへ出ていくことができる。

 鈴木淳之介選手は背中を気にする傾向がある。背中を取られないようにファー側へ吊られてしまうのだ。したがって、交差で2人目に前で触られることが多い。

 高橋選手は前に入らせない対応をする。そして相手が前に入ろうとするとブロックしながらボールへ出ていく。したがって、1人目が潰れることで背中にスペースが見えやすくなる。

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以上がざっくりとした湘南の分析である。

3-5-2はコミュニケーションや連携の積み重ねが必要な部分が多く、プレーする側も難しい。しかし完成度が高まれば、唯一無二のチームとして相手に脅威を与えることができる。

実際、2024シーズンの湘南は序盤に降格争いをしていたが夏以降勝ち点を重ね続け、早々に降格争いから脱出した。

2025シーズンも山口監督が指揮を取ることになるが、どのようなシステムを採用するのか、そしてどのような戦い方をするのか楽しみです。

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