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2024 Season -FC Tokyo-
こんにちは。
濵田祐太郎です。
今回はFC東京について書きます。
2024シーズンの東京の特徴は若い力とベテラン選手の融合です。
荒木選手や松木選手などのパリ五輪世代と長友選手や森重選手など日本代表を経験したベテラン選手によってチームが構成されていました。
映像を見る限り、非常に勢いのある戦い方をするチームでした。
そんなFC東京がどのような戦術だったのかを見ていきます。
●基本情報
J1順位 7位
15勝 9分 14敗 勝点54
53得点 51失点 得失点+2
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●Attack
◯WGの爆発的なスピード
東京には爆発的なスピードを持った選手が多い。
そのため広大なスペースを利用できる低い位置からのカウンターは脅威である。
まずFWのプレスバック。
特に荒木選手はオンの死角からボールをつつく。
1本目のパスはディエゴ選手へ通す。
その間に俵積田選手、仲川選手、安斎選手らスピードのあるWGが駆け上がる。そのWGへラストパスを出し、WGはスピード全開でゴールへ迫る。
そのスピードにSBや東選手もダッシュでついていき、攻めきれなかった時のサポートを作る。
◯NOがない戦術
ピーター監督は大枠を決めてあとは選手に任せる。
その大枠とは以下の通り。
WGが相手最終ラインをロックする。そこからラインボールに直線的に走るだけでなく内まくりで背後へ抜け出す。
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背後へ抜け出すと、逆WGと逆SBは必ず駆け上がり、GKとCBの間のスペースへ低弾道クロスを射抜く。これが大枠である。
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WGが最終ラインと駆け引きをすることによって生まれるスペースを誰かが使う。
ここに決まりはない。
その中でもFWが顔を出すことが多い。だから前期は松木選手と荒木選手が2FWに起用されていた。
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松木選手が抜けてからはディエゴ選手がFWに入ったが、彼は相手CBと勝負するタイプの選手である。
ディエゴ選手が顔を出さないとSBがスペースに入る。長友選手や白井選手が内側に入ってバランスを取っていた。
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CBは幅をとる傾向があり、その流れでVOが間に入って組み立てる。ただ、これも設計されたものではなく、選手たちの即興で立ち位置が決められていく。
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◯球際勝負
上記のように東京はWGの背後から狙う。次の選択肢は2列目からの飛び出しである。
FWが降りることで相手CBは判断を迫られる。CBが食い付けば2列目から飛び出しが効果的になる。
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食いつかなくても、ディエゴ選手が起点となり、落として1タッチ背後に2列目が反応する。
これらは森重選手と木本選手からの配球が多い。また後期は配球に優れた東選手が起用されるようになった。
パスが通ればチャンスだが、対応されることもある。東京はこの2ndボールへの反応が非常に速い。複数人が反応し、ボールに噛み付く。この体のぶつけ合いを制し、二次攻撃でゴールに迫っていくのだ。
◯Finish
東京の1番の狙いは射抜きに逆WGである。先ほども記したが、とにかくこの形を狙っていてこの形が最も怖い。
背後へ抜け出した時点でCB以外全員がゴール前へ走り込むため、1本目の射抜きで仕留められなくてもゴール前で相手を閉じ込めることができる。
このように時間がかかった時のキーマンは俵積田選手である。
俵積田選手は爆発的なスピードと非常に細かいタッチで相手を抜き去る。対戦相手は彼に2人当てて対応することが多くなったが、2人の守備の間をぶち抜いて決定機を演出していた。
また、クロスの入り方に個別で特徴がある。
ディエゴ選手はCBの背中で叩くことを得意としている。マイナス気味でフラフラしながら、相手CBがボールを見た瞬間に背中に回り込むことでフリーで合わせている。
荒木選手はマイナスで合わせることを得意とする。組み立てに関わり、展開後に遅れて入ってくるため捕まえにくい。低いボールに1タッチで合わせだけではなく、1度止めて2タッチ目でミドルシュートを打つこともある。狭いスペースでそのシュートを可能にする卓越した技術がある。
●Defense
◯相手陣地でサッカーをする
ピーター監督の思想として相手陣地で圧倒するという考えがある。したがってPressingは非常に高い強度である。
東京のPressingは4-4-2である。
2CBに対しては中盤ダイヤモンドの4-4-2。
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3CBに対しては4-2-4からWGが相手外CBに外切りでアプローチ。SBが相手WBへアプローチ。2ndラインはライン間を隠しながらスライドをする。したがってVOが見える。
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このスライドで逆VOがついてこないことが多い。そうなればホールが見える。
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1度相手を捕まえることができれば、体をぶつける。そしてボールがこぼれるとすぐ別の選手が襲いかかる。このように強度が非常に高い。
しかしこの強度を保つことが難しかった。後期は1stラインのアプローチに2ndラインがついて来ず、簡単に相手VOにつけられて突破されるようになった。さらに、プレスバックも遅れることがあった。
◯NearZone対応
NZには基本VOが戻る。
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さらに逆VOも寄ってくる。ただ、逆WGの守備のスライドの意識が低いため、DZoneが見えやすい構造となる。
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また、NZ攻略に時間をかけると、WGが戻ってくる。したがってSBがNZを管理できるようになる。
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◯Cross対応
上記のようにCBはゴール前に保存される。したがってクロス対応では2CBが中心となって守るが、隙があまりない。
森重選手はターゲットが1人なら、完全に密着してマークにつく。
しかし、クロスに合わせる人が複数人いる場合、Zoneでの対応となる。まずスペースに戻り、ボールに前向きで対応できる体の向きにする。できるだけ広い視野を確保し、最後ボールに触ろうとするターゲットを捕まえる。腕を使ってマークを振り切ろうとすると大袈裟にアピールするクレバーさも持っている。
木本選手は基本Zoneでの対応となる。キッカーの状況や相手の入る人数を確認して狙っていそうなスペースに先に入る。そしてクロスが上がるとボールに出て対応できる。
このようにCBには隙が見えない。したがってSBと勝負したい。CBを超えるような高いクロスをSBと競り合うことで決定機を作ることができる。
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以上がざっくりとした東京の分析です。
2024シーズンの東京には非常に厚い選手層がありました。
各ポジションにレギュラー格の選手が2人ずついるほどの選手層です。
チームとして勝つとはいうものの、やはりプロの世界。自分が活躍しなければ評価されないし、首を切られてしまいます。
したがって、サッカー的マネジメントを図るにはとても難しいシーズンだったのではないかと思います。
2025シーズンは松橋監督となります。明確なサッカー観を持っている監督です。
どのようなサッカーをするのか非常に楽しみなチームです。