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2024 Season -Machida Zelvia-

こんにちは。

濵田祐太郎です。

今回は町田ゼルビアについて書きます。

町田の強さの根幹はなんといっても黒田監督だと思います。

Abemaで町田のドキュメンタリー番組を見ましたが、一流選手相手に当たり前のことをあのように強くいうことができるのは勇気がなければできません。

もちろん、分析官も複数人いるほど、自チームに対しても相手チームに対しても分析をし、整理して、その試合で重要なことを伝えていると思います。

その町田がどういうサッカーをしているのかを見ていきたいと思います。



●基本情報

J1順位 3位

勝数19 分数9 敗数10 勝点66

54得点 34失点 得失点+20


最終節スタメン


11/3 町田vs鳥栖

●Attack

◯Counter

 町田の武器の1つはカウンターである。

 ポイントは逆WGだ。

 どの位置で奪っても必ず逆WGがゴールへ飛び出す。そしてボール周辺の選手はまず逆WGへのパスを模索する。

 敵陣では逆WGがCBの背中をとる動きをする。そこに1本目または数本繋いで到達させる。


 自陣でも逆WGが背後のアクションを狙う。


逆へボールを持って来れた時、長い距離のCSブレイクを仕掛けゴールへ迫る。

◯配置

 鳥栖と対戦した時は2回とも4-4-2であった(リーグ戦終盤で3-5-2の時期もあったが割愛)。

 CBが幅を取り、間にGKまたはVOが入る。片方のVOがANKの役割をする。両SBは高い位置を取り、WGは内側に入る。

◯様々なパターンの配球

 町田はどの位置からでもゴールへ迫る選択をする。

 まず配球役がGK谷選手の場合だ。谷選手から高く遠くへのフィードにオセフン選手が競る。スピードのある藤尾選手がそらしたボールに抜け出す。この形が最もシンプルに決定機を作れる。


 後期浦和戦でのエリキ選手の得点はまさにこの形で、しかも大事な時間帯にもぎ取っていた。このように試合の流れと関係なく決定機を作り出せるのは大きな武器となる。

 ただ、そらせない場合もある。その2ndボールに内側に絞ったWGが反応する。まず1タッチで背後の配球を狙う。できなければ幅を使って落ち着かせる。


 次にCBが配球役だった場合だ。対角への配球が多い。特にRSBが望月選手だった場合、望月選手がターゲットになる。

 SBにターゲットがいない場合、2FWのどちらかがターゲットになる。そのためオセフン選手、藤尾選手、デューク選手と競り合いに強い選手がFWで出ることが多い。


 SBが配球役だと内側WGのCSブレイクにSBのラインボールが得意な形である。特に鈴木選手がこのボールを得意としていた。


 SBがラインボールを出せない時、VOが寄って横パス1タッチが選択肢となる。仙頭選手、下田選手がこの形を得意としていた。抜け出したWGがそのまま反応するか、FWが流れることで背後をとる。


 このように町田はただ蹴り倒しているのではなく、相手の守り方や重心の置き方を見て配球のパターンを変えることができる。そして相手が引き込めば、クロスを浴びせて決定機創出またはCKやスローインを獲得するのだ。

◯Cross

 高い位置を取るSBも含めて前6枚にロングフィードを放り込む。それが背後に抜ければその6枚全員がゴール前に雪崩れ込む。町田のロングボールは短時間でゴール前に数的優位を作り出すという厄介な戦術なのだ。

 ボールの質はちょいんでニアを越えるボールを多用する。なぜなら背が高く競り合いが強いオセフン選手がターゲットだからだ。他にも藤尾選手やデューク選手も高いボールの方が守備より優位性を作りやすい。

 他の選手は彼らをフリーにするために動く。基本的にはターゲットが中央またはファーへ回り込み、他がニアへ突っ込む。ただ、前期の鳥栖戦では見事にオセフン選手にニアで合わせられた。

 鈴木選手はキックの質が非常に高いため、ちょいんだけでなく、速いクロスをピンポイントで頭に合わせたり、大きく巻いてターゲットが合わせやすいようなクロスを上げていた。

 クロスまでに時間がかかった場合、VOもゴール前に入ってくる。また、前期は平河選手、後期は藤本選手とドリブルを得意としているWGが相手をかわしてクロスを上げる。

 一方、ゴール前の攻撃に細かな決まり事はないように見えた。守備を固められていてもゴール前では時間をかけずに早くクロスを上げて、セットプレーを獲得する方が町田のスタイルとしては得点の可能性が高まるからである。

●Defense

◯Pressing

 町田は4-2-4でPressingを行う。各ポジションの役割は以下の通り。

 FWは背中で隠しながらCBとGKへアプローチをする。縦関係になり、完全にVOを捕まえることもある。

 WGは牽制をかける。アプローチはしていなくてもオンが圧力を感じるような姿勢でスイッチを待つ。パスが出ればCBに外切りでアプローチをかける。

 SBは相手WGが張っていると、そこにロックされる。WGが低め、またはWBに対しては積極的にアプローチをかける。

 CBはライン間も背後も対応する準備をする。ただ、背後への意識の方が強い。

 このような町田のPressing構造だとVOは運動量が必須となる。VOが相手のVOもライン間も外Pocketも見なければならないからだ。白崎選手、下田選手、仙頭選手など運動量豊富なVOがこのPressingを支えているのだ。

◯Middle

 町田の守備は上記のようなPressingのイメージが強いが、実際はMiddle Pressの時間が長い。

 PressingでVO周辺を利用され、1列下げざるを得ない状況が多いからだ。

 Middleでは非常にコンパクトな4-4-2の陣形を作る。各役割は以下の通り。

 FWは背中で隠しながらスライドをする。

 WGはオンがパスを出すことを躊躇するほどの牽制を行う。このエリアでは積極的なジャンプは行わず、牽制を重視する。外Pocketを利用されると素早いプレスバックまたはスライドで対応する。

 VOはFWやWGのスライドに敏感に反応してスライドをする。もしWGがジャンプをしたら外Pocketを対応する意識を持つ。



 DFラインはPressingと変わらない。SBは相手WGにロックされる。CBは背後重心でラインを保つ。

 個人的な特徴としては、ドレシェビッチ選手が相手FWのCSブレイクに対してピッタリついていく傾向がある。それに伴いCBがガッツリ割れる。FWのCSブレイクを囮にしてWGがカットインできれば、ゴールへのスペースが広大に見える構図となる。


 これらの構造により、外ルートに強いことがわかる。外ルートだけでなく内ルートを覗ければ、牽制してるWGによって生まれる逆Pocketを利用することができる。

◯Near Zone 対応

 Middleでのドレシェビッチ選手はCSブレイクについていく傾向があるが、ゴール前ではドレシェビッチ選手も含めてNZには出ない。そしてVOが戻ってNZを対応する形になっている。VOより早くNZを使うことができればNZからの決定機を演出できる。

◯Cross 対応

 サッカーではクロスからの失点の割合が非常に高いが、町田はクロスから4失点しかしていない。

 1番大きな要因はクロスを上げさせる本数が少ないことだ。

 町田のSBはクロッサーに対して猛烈に速くアプローチをする。もちろんかわされないように重心を後ろに残しながらである。そしてキックモーションで飛ばない。面を作って足を当てに行く。切り返しも反応する。これによりクロスを上げさせない。もしくは遅らせることでクロス対応の準備の時間を作る。

 クロスを上げるには時間とスペースがないかもしれないが、その分NZは見えやすくなる。クロスを上げられないならNZを素早くつくことも町田のゴール前を攻略する手段の一つである。

 守備のつき方はMantoManでつく。マークのつき方は相手にへそを向けてつく。また、飛び込んで入ってくる選手に対してはぶつかって自由に入らせない。

 Mantoのクロス対応には広島の時のように動くことが有効になる。特に町田の場合、徹底してマークについていく傾向がある。1度マークに捕まってから移動することで大きなスペースを作ることができる。

 また、後期の鳥栖が奪った得点のように、高いクロスではなく速い底弾道クロスも有効になる。それに対して1人が潰れて2人目があわせる準備をすればマークをピッタリつかれていても鼻先で触ることができるからだ。

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以上が町田のざっくりとした分析になります。

今回はセットプレーについて深掘りをすることはできませんでした。

しかしぱっと見の印象でも、町田の特徴はセットプレーにあると思います。

CKやFKはもちろんですが、1番はロングスローです。

これまでJリーグでロングスローをしているチームは少なかったですが、2024シーズンでは半分以上のチームがロングスローの設計をして実践したと思います。

これは町田の戦術が効果的だとどのチームも感じて、動いた結果だと思います。

スタッフ側からすると、ただでさえ日程的に時間がないのに、ロングスローの配置や特徴の分析をして対策しなければならないのは非常に厄介でした。

このようにJリーグに新しい風を吹き込んだ点でも町田が成し遂げていることはすごいです。

新しいものには賛否が必ずあると思います。

2025シーズンは町田が何を成し遂げるのか、そして見ている人はどう反応するのか、非常に楽しみにしています。

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