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今、10年前のCL決勝を見ると何か見えるものがあるかもしれない -Part1-
こんにちは。
濵田祐太郎です。
前回で2024シーズンのJ1についての分析が終わりました。各チームの開幕戦も今後見ていきますが、その分析が終わるまで別チームの分析をあげようと思います。
今回はFCバルセロナについてです。
特に、2015年のチャンピオンズリーグの決勝をもう一度見て、何を掴めるのか確かめたいと思います。
●基本情報
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●バルサAttack vs ユベントスDefense
◯猛威を振るうMSN
2014-15シーズンのバルサにはメッシ、スアレス、ネイマールが3FWとして出場機会を得ていた。この3枚だけで4人以上の守備を破壊できるほどの威力を持っている。
まず脅威となるのがカウンターである。
3FWは奪われても走っては戻らない。その間バルサは4-3で守ることになる。しかし、攻撃側は攻めながらもこの3枚を管理しなければならず、ゴール前に人数をかけきれない。3枚がいることで間接的に守備に影響を与えている。
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メッシは右サイドまたは中央のどちらかボールを奪えそうなエリアで待機する。左サイドはネイマールが位置取りをする。そして、中央より右側で奪うとメッシへ、左サイドで奪うとネイマールへつける。ここからは3FWの独壇場だ。
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メッシもネイマールもファウル以外は簡単に前を向く。前を向いたら猛スピードでゴール前へ運んでいく。彼らはどんなにスピードを上げてもボールをコントロールでき、正確なラストパスも出すことができる。
そこで、残り2枚はボールホルダーを斜めに追い越す。スピードに乗った状態でこの動きをされると守備の対応は極めて困難になる。
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さらに、後ろからの駆け上がりも凄まじい。ラキティッチ、イニエスタの両IHはもちろん、CBのピケも駆け上がってゴール前に選択肢を与えることがある。この3FWなら奪われることはないという信頼があるからできる、大胆な超攻撃的カウンターである。
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CKの守備でもこのカウンターは脅威である。
メッシとネイマールの2人が前に残る。スアレスとピケがStoneとなるが、ボールへの感度が高く、ほぼその2枚で跳ね返す。それを2枚が収め、ピケを含めた大人数が駆け上がってゴールに迫るのだ。
◯ユベントスのPressing
ユベントスは中盤ダイヤモンドで守備を行う。
2FWが2CBを管理し、STビダルがブスケツを管理しながらGKへのアプローチを狙う。
SBはメッシとネイマールを管理し、IHがバルサのSBへスライドでアプローチをする。
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ANKピルロはライン間を隠しながら、バルサのIHがブスケツの脇に降りるとそのままついていくことが多い。
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このようにこの試合のユベントスはバルサに対してタイトな守備をする選択をしている。そして、この戦術は上手くいった。
このPressingに対してバルサは外Pocketを起点に攻略を試みた。
バルサの配置は4-1-2-3である。
GKまたはCBから唯一時間があるSBへ配球をする。GKからは頭越しのパス、CBからは切るパスである。そこにアプローチをかけるIHを尾行したラキティッチ、イニエスタが外Pocketでもらう構造だ。
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外Pocketで彼らが受けるとパスを出したSBは内側から追い越してサポートをする。そして広い方へ展開していくのだ。
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また、ユベントスのIHがSBへの意識が強い時、バルサのIHはPocketで顔を出す。そこへ浮き球を配球し、SBがユベントスIHが対応できない場所へサポートするのだ。
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バルサはこのように外ルートを多用しなければならなかった。Pocketの利用も浮き球と難易度の高い配球となり、ユベントスのPressingに引っかかってカウンターを受けることが多かった。
これらを選択できないと前線3枚へのロングボールとなる。ターゲットはスアレスとなるが、CBの後ろからチャージを受けるとすぐに倒れ、ファウルをアピールするスアレスらしさが随所で見られた。
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◯偽CBの片鱗
GKまでバックパスをすると、LCBマスチェラーノがANKの位置で止まることがある。
この場合アルバがGK横まで降り、GKにマスチェラーノとアルバ、さらにピケという3択を与える。マスチェラーノはVOもできる選手である。したがってこの打開策を模索することができたのだ。
ユベントスは4-3-1-2でPressingをかける構造で、SBアルバにはIHマルキージオがアプローチしなければならない。構造上アルバに時間を与えることができる。
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これはグアルディオラ監督が採用することがある攻撃の形である。バルサのこの現象は、狙ったものなのか、即興で起こったものなのかはわからないが、現在につながるものを見ることができた。
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以上でPart1を終わりにします。
これまでJ1の各チームの分析を書いていきましたが、J1開幕に合わせて無理やり詰め込んだものです。
相当な文字数だったと思います。
毎日読むには大変だろうし、僕もかなり大変でした(笑)。
なので今回から2000文字程度で更新していこうと思います。
少しずつの展開となり申し訳ありませんが、引き続きよろしくお願いします。