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今、10年前のCL決勝を見ると何か見えるものがあるかもしれない -Part3-
こんにちは。
濵田祐太郎です。
今回も引き続き10年前のチャンピオンズリーグ決勝である、バルサvsユベントスの分析と考えを書きます。
今回はバルサの左サイドの攻撃について書きます。
ネイマールとイニエスタを中心とした左サイドがどのような動きになっていたのか見てみます。
●バルサAttack vs ユベントスDefense
◯WGを封じ込める
ユベントスのMiddle Thirdでも4-3-1-2で守る。メッシまたはネイマールを使われると、SBが縦を塞ぎ、IHがスライドをしてカットインを防ぐ。そして外回しにさせるのだ。
また、STビダルも圧縮を行う。特にメッシサイドへの圧縮が多い。そして大外からブスケツへの横パスを管理する。
ただ、時間が経つにつれてピルロの脇に戻って4-4-2で構えることが多くなった。4-4-2で守っていてもバックパスされるとまずビダルが出ていき、ブスケツを捕まえることが多かった。
SBがバルサのWGまたはSBにロックされると、大外はまずIHのスライドで対応する。それが間に合わないと、CBが出て対応していた。
◯ネイマール
ここから、当時のバルサの左サイドの攻撃について書く。
バルサは前回書いたようにまずメッシをみる。したがって、右サイドから左サイドへボールが動くことが多い。その流れでアルバがボールを受けると、ネイマールは内側から大外に流れながらボールを受ける。
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ネイマールは大外で相手と1v1を仕掛けることが得意な選手だ。したがってメッシからのパスでなければ、体の向きが悪くなっても大外で受けて得意な形に持っていきたい。
ネイマールが大外で受けた時の狙いは3つ。1つ目は相手との1v1。2つ目はライン間のメッシ、そして逆サイドのアウベスへのパスである。
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そして3つ目はそのパスを見せて、相手が警戒した時のカットインから縦突破である。翌年のクラブW杯でのネイマールのPocketからのドリブル突破は圧巻であった。
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◯イニエスタ
右サイドからイニエスタが受ける場合もある。この場合、ネイマールはPocketに留まり、イニエスタからの楔を受ける準備をする。特に、SBを背負うことでネイマールでもパワー負けしない状況を作る。
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イニエスタもドリブルが得意である。特に、瞬発的に突破する1v1ではなく、複数人を相手にして間をぬるぬると抜けていくドリブルを得意とする。したがって、ネイマールへの楔の選択肢を持ちながら、相手の重心がずれた瞬間にスピードを上げてライン間へ侵入していくことができる。
イニエスタもどんなにスピードを上げても正確なラストパスを出すことができる。最後の最後まで相手の重心を見て、味方の動きを見て柔らかいボールをスペースに流すことで決定機を作っていた。
◯ファーのスアレスとニアの大勢
ゴール前でのターゲットはスアレスになる。スアレスは遠いCBの背中に回る傾向がある。相手もターゲットはスアレスとわかっているため、徹底したマークをつくことが多い。したがって、NearZoneにスペースが見える形になる。
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SBがボールを持つとWGがNearZoneで顔を出す。WGがボールを持つと、SBがインナーラップでNearZoneに侵入する。まずはこの2人の関係で突破を図る。
それに加えてIHが低い位置から走り込んでくる。したがって、ボールホルダーにはNearZoneに2択+自分の突破という3択を持つことができる。
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NearZoneを使うとシュートとスアレスへの射抜きがある。しかし、少し時間がかかれば逆IHと逆SBもNearZoneに走り込んでくる。このようにPA内に人数をかけることでPA内での崩しからシュートに持っていくことが多い。
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この試合の先制点はまさにこの形であった。
さらに、メッシもいる。特にアルバが持っていると、D Zoneに現れて一瞬で仕留める。
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仮に彼らにパスやクロスが渡らずに流れても、スアレスがファーで待ち構えている。そしてダイレクトボレーを叩き込むことができるのだ。
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以上がバルサの左サイドの攻撃です。加えて、バルサのFinishについても書きました。
10年前のバルサには、メッシだけではなく、ネイマール、イニエスタと1人でゴール前に迫ることができる選手が揃っています。
まさに、見るものを魅了するチームでした。構造だけではなく、メッシが何をやってくれるのか、ネイマールがどう突破していくのかにワクワクを感じていたと思います。
今よりも選手が主役になる戦い方をしているのではないかと思いました。
次回はユベントスの攻撃についてです。
引き続きよろしく願いいたします。