大好きな祖父と大嫌いだった日本酒
子供の頃から同居していた大好きな祖父。
幼稚園が終わると時代劇を一緒に見た祖父。
猫舌なのも、大雑把な性格も私とおんなじ祖父。
だけど、大嫌いな思い出もある。
それは、祖父が毎日呑む日本酒。
赤いラベルの瓶の酒。祖父の故郷の地酒。
毎晩、熱燗を準備する役目は私で、
温めた後のきつい匂いが大嫌い。
私が日本酒を呑むようになったのは社会人3年目くらいだろうか。
会社の先輩に連れて行ってもらった鱧料理屋さんで料理に合わせて酒を選ぶことを覚え、日本酒の美味しさを知った。
それからは多くの銘柄の日本酒を呑み。どんどん日本酒に魅入られていった。
中でも一番好きなお酒は
あの祖父の赤いラベルの日本酒だ。
呑むとお酒が血管を通り全身に行き渡るような、
全身の細胞が喜んでいるような不思議な感覚になる。
これは香りの記憶なのだろうか。
それとも、祖父から受け継いだ遺伝子の記憶だろうか。
祖父とは一度も呑み交わすことはなかった。
昨年、赤いラベルのお酒も無くなってしまった。
祖父との思い出に会えるものが減り、
時の流れと少しの哀しさを感じる。
日本酒:一本義(福井)
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