「厳しい大人」像
(友人との会話@留学先の大学)
「歳をとるほど経験を積んで賢くなっていくっていう考え方、
アジア特有だよね、興味深いわ。」
−じゃあアメリカではどんな感じなん?
「若い人はよりクリエイティブだし爆発力がある。歳は関係ない。」
歳と文化
「歳は関係ない」というスタンスはアメリカの生活や文化など各所に現れているように感じます。
イエ制度や忖度など最近変わりつつあるものの、諸々「歳での区分」がはっきりしている文化を持ってきた日本人からすると割と驚きます。
優劣をつけたいわけではなく、シンプルに面白い違いだなと思っています。
例えば、食生活。
アメリカは和食ほど野菜を取り入れたりバランスを重視する食文化ではなく、50代の人たちが昼ごはんにサンドイッチ(野菜なし)とポテト(チップス)を毎日食べていたりします。親世代でもピザやポテト、ファストフードは当たり前。
つまり、食べるものに関して「歳の差」が見えにくいと言えます。
親も子も同じものを食べる。歳をとったからといって食事が変わっていくわけではない。勿論、歯が弱くなって柔らかいものを食べるようになったりすることはあるみたいですが、カロリーや塩分的な差はあまり見られません。
日本だと歳によって食べる時間や食事の内容はどんどん変わっていくと思います。食生活にははっきりと「歳の区分」があります。
例えば、学校での過ごし方。
日本の公共交通機関の定時制がすごい!と言われるように日本人は時計にぴったりで行動する傾向があります。
ただ、アメリカでは時間に関してルーズな傾向があります(勿論、TPOによります)。
初めてアメリカの大学で授業を受けた時、まずは教授が時間通りに来ないこと、そして学生も来ていないことに驚きました。
面白いのは、「大人(教授)も子ども(学生)も」同様にルーズであること。
日本だと、遅刻してきた学生に対し、先生や教授といった「大人」が注意する、という雰囲気があります。小中学生だと遅刻が多いと親に連絡されたりします。誰にせよ「年上」が「年下」を管理する構造です。
つまり、この点に関してもアメリカでは「歳の差」が見えにくいのです。
「厳しい大人」像
日本人が「年上を敬う」という文化は、アメリカ人からすれば奇妙に感じるようですがそれもそのはず。
日本では、「大人」になる程マナーや言葉遣いに気を配る必要があり、
「年上を敬う」文化はそうした過程を乗り越えた人々への尊敬という意味もあるのではないでしょうか。
しかし、前述の通り「歳による差」があまり見られないアメリカの文化では日本で言う「厳しい大人」像が築かれにくいように感じます。
言葉遣いに関しても日本語には敬語がありますが、英語には明確な「目上の人に対してのみ使う言葉」の区分はありません。
「大人」と「子ども」の区分がないからこそ若者の力を発揮することのできるアメリカは魅力的です。
一方で、日本の伝統芸能や食文化は歳によって異なるアプローチをしてきたからこそ積み重ね築き上げられてきたものであり、やはりそこにこそ「年長者」の功績があります。
ということで「厳しい大人」がいない環境でのびのびと過ごしておりますが
日本に帰って窮屈だとか感じたくないので、頑張って自律精神を大事に生活したいと思います。
まずは早寝早起きから。