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コットン原料の種類や性質を知る。

最近はめっきり「糸から別注でやったろう」という気合の入ったメーカーさんが減ってしまい、あまり原料の知識を持っていても大して意味がなくなりつつありますが、この #丸編み生地製造の勉強 シリーズでは敢えてその大して意味がなくなりつつある知識をバリバリ掘り下げていきたいと思いますのでよろしくお願いします。(何が)

さて、カットソー生地と言えば、やはりメインはコットン素材が多いと思います。Tシャツやスウェットなど、それぞれのブランドでオリジナルの生地を作って発表されていることと思いますが、その生地のコットンはいったいどういう性質のコットンだったのでしょうか?
これが感覚的な部分から昇華して本質的に理解出来ると、生地屋連中から提案される生地の品名に潜む原料名で風合い想定ができ、アイテムをイメージした時の生地選定に非常に役立ちます。

僕は色々なコットンの性質を混ぜ合わせて糸を作り上げるのが面白くて好きでした。そうやって作り上げていくコットンこそオリジナルの綿で誰にも真似できない領域にトリップできます。そして誰からも理解されない孤独と、モノヅクリガーとしての自己満を堪能できます。そして理解してくれる人は誰もいなくなります。爆進中です。すでに手遅れです。
はっきり言って有料にするほどの内容ではありませんが、一応講義とかでも使うので、やはり有料にします。(ちなみに #丸編み生地製造の勉強 シリーズが有料なのは、全て講義で使用する内容のため学生の人たちに対しての僕なりの配慮です。)

さて、とは言え種類が豊富なコットン。どこから手をつけていいのかわからない場合は、産地と綿種の掛け算で風合いの特徴を知ると良いです。今回はメジャーなアメリカ、インド、エジプトあたりで紹介していきます。
※巻末に端折った一覧をつけます。深掘りしすぎると終わらないので。

コットンの繊維長

産地別に行く前に、簡単にコットンの振り分け方を覚えておきましょう。
コットンの価格帯にも影響する、繊維長の違いを知っておくと、風合いに寄与する性質を理解しやすいです。
※繊維長(ステープルレングス)は一種類の綿花を分解した時に一番多く取れる繊維の長さの平均値の事です。原種と産地によって異なり、以下5分類に分けられます。

・短綿=繊維長が20.6mm未満 和綿とかこれで、布団の中綿や軍手など
・中綿=繊維長が20.6mm~25.4mm 極太番手向き
・中長綿=繊維長が26.2mm~27.8mm 太番手~中番手向き
・長綿=繊維長が28.6mm~33.3mm 中番手~やや細番手向き
・超長綿=繊維長が34.9mm以上 細番手~極細番手向き/高級原料

また、これに繊度という繊維の細さも関わってきます。繊度が細ければ柔らかいですし、太ければハリが出てきます。
英国王室御用達と言われているシーアイランドコットン(海島綿)は西インド諸島の原産で世界最高級と言われています。(生産量が少ないから)
そのシーアイランドコットンの繊維長は40.64mmで繊度は3.2μg/inchと非常に繊細なのに長い繊維ということが言えます。繊細なのに、このクラスの繊度では最高クラスの繊維強度を誇り、まさにコットン王様の名を欲しいままにしています。

アメリカのコットン

『米綿(べいめん)』と一言に括られることが多いですが、実はその種類はかなりあります。
一時期『USA COTTON』と銘打ったタグも発行され、一瞬、流行ったような流行ってないような、とりあえず原料ブランドとしてアメリカンコットンを使用した生地をアパレルメーカーから求められた時期はありました。

アメリカのコットンは、品質安定という信頼があります。それは徹底されて効率化で高品質な物をたくさん作れるように、品種改良され、農薬も改良され、採集も機械で行い、不純物を取り除く作業も機械化されていて、製品化した時に「コンタミ(異物混入)」が少ないというメリットがあります。

ただ、クオリティを保つための品種改良や農薬の改良は、遺伝子組み換えの種や劇薬で害虫駆除している背景があるため、昨今の『サスティナブル』や『エシカル』といった概念からは外れます。が、個人的にはそんなことどうでも良くて、人類が便利さを求めた結果、高品質を安定供給される農業を商業化した状態がアメリカンコットンの背景だったというだけの事です。

そして一言にアメリカンコットンと言っても、原種(綿花の種類、コットンの銘柄)はたくさんあり、「アメリカンコットンだからこの風合い!」とか言い切ってしまってる繊維評論家がいたらモグリです。原種によって圧倒的に風合いに差が出ます。当然です。
国土も広いので、色々な場所で色々な種類が栽培されています。代表的な物を紹介します。

・スーピマ
 言わずと知れたブランド原料です。アメリカで栽培されているピマ種で超長綿です。茶綿で生成り色は黄味が強いです。色を『オフホワイト』と指定するとだいたい白度が物足りない感じになります。それは原料が黄色いからです。蛍光剤を使わないと白度が上がりません。「蛍光なしで白度を上げろ」なんて無理言わないでください。
油分が豊富で一般的によく知られた『良い綿』の代表格かと思われます。

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