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オーガニックコットンの誤解。

こちらに記事を書くのは久しぶりですね。
切り込む必要性もないかと思ったんですけど、SDGsの流れから、なんかコットン製品のネガキャンとも取れるような主張を垣間見るので、少しでもそういった根拠の薄い否定を減らすことができたらと思い、今回の内容を書いておこうかと思います。

もちろん、僕は専門家ではないので、コットン製品が環境に悪影響を及ぼす可能性がある部分を全て否定することはしません。ただ、誇大とも言える数値の羅列が多くの場合、根拠がない、もしくは、分母を読み違えている可能性が高く、ショッキングな情報ほど拡散しやすい昨今の事情により多くの人たちが目にしている内容が全て正しいとは限らないことを意識して欲しいのです。

世の中を良い方向へと導くための、オーガニックコットン推奨であれば特に気にならないのですが、やはり従来の物を対比することでインパクトは強くなりやすいですから、非オーガニックコットン製品を悪のような言い方で表現したい気持ちはわからないでもないです。でも、それ作ってる人も買ってる人もいるんだから、あまりにも誤った情報で立場を追い込むのはいかがなものかと思ったわけです。

もちろん、純然たるオーガニック製品を取り扱っている企業の方々には、それを流通させるために相当の努力などがあるのは承知の上で、その姿勢や商品を否定するものでもありません。

あくまで誤解を招いている一部の表現を改めて考えて見たいのです。

過去、一旦感情のままに書き殴ったブログもあります。

ブログ内のTED Edの動画に関しては突っ込みどころが多すぎるので別の機会にまた改めるとして、そのブログの中でも取り上げている綿業財団のリンクも貼っておきます。

オーガニックコットンは肌に優しい?

まず、オーガニックコットンの誤解第一位はこれです。
特にベビー市場でオーガニックコットンを使用されることが多いので、肌に優しいというイメージがついていますが、これは誤解です。

『オーガニックだから肌に優しい』というフレーズはおそらく、『無農薬だから人畜無害』というイメージだと思われ、であれば、農薬で無害なのはオーガニックコットン製品使用者ではなく、生産者にとって無害なのであって、従来のコットン製品に農薬残留があって購入者の肌に有害ということではありません。

データからいけば、世界全体の農薬使用量はコットン製品より食品に対しての方が多く使用されており、口にする物の方が農薬使用量が多いことになってます。また、繊維製品は着用者の手に渡るまで、農産物である綿花からかなりの工程を経ており、その間に洗浄、精錬、中和などを繰り返すので、農薬残留は極めて低いと言えます。それに食べないし。

強迫観念で選択肢を狭めているようにさえ見えてしまうのは、僕が従事者だからでしょうか。少し考え過ぎかもしれませんが気持ちの良いものではありません。

オーガニックコットン製品は本当に生産者にとっても優しいのか?

視点を変えれば見え方も変わります。
オーガニックコットン製品の生産は簡単ではありません。

コットンは自然が相手なので、有機栽培は様々な自然リスクに弱いため生産量が上がりにくく、また農薬を使わなければ良いだけではなく、害虫などに強い遺伝子組み替えの種の使用も禁じられています。生産量が十分でない場合、相場価格も高騰せざるをえない(これは普通の綿花でも同じ)ので、高くて市場のニーズがなければ、売れなくて生産者の生活が圧迫されます。そして需要に対して安価で現物を手放すしかなくなり、手間の割りに合わない金額しか手に入らないこともあります。

オーガニックコットンの協会認定の項目には、有機綿花栽培者に対して、フェアトレードの要素も含んでいる場合があるので、市場を見た上で手を出せない(または出さない)業者も多くいます。高くて売れなければ、義があっても会社が続けられないと判断するからです。

また協会認定を受けるのも容易ではありません。世界基準の認証機関の認証となると、市場に出るまでのサプライチェーン全体、全ての工場や品番ごとに認定に関わる審査や認定料を支払う必要があります。その先払いコストは認証機関によりますが、決して安いものではないです。

各工場の意識が低いと言われてしまえばそれまでですが、オーガニックコットン認証を受けるために、手間とコストを支払える工場はそんなに多くはありません。だから、必ずしもオーガニックコットンに切り替えることが全ての生産者にとって優しいかと言われたら、ハードルは高いものであることに違いはありません。

そいう意味で、世界基準の認定オーガニックコットンをきちんと小売まで一貫して生産出来ていて、かつ、経営が成立しているブランドや会社は、そのサプライヤーさんたちまできちんとヴィジョンが共有出来ていて、素晴らしいメンバーで運営されていることが想像出来ます。

これからの地球をになっていく若い世代(僕もまだ若いと言いたい)にとって、環境を意識するのはとても良いことだと思います。
しかしながら、いきなり全てを変えられる世界ではないので、現行の存在を頭から否定しても始まりません。否定ばかりしている一部の人たちを気にしても仕方ないことかもしれませんが、少なからずそういう人たちの意見を真に受けて、無関係なところまで不利益な立場に追い込まれている人たちがいるということも考えられると、議論は建設的に進むと僕は考えます。

前世代のツケをどうして自分たちが払わなければいけないのかと納得いかない人もいると思います。僕だってそう思うけど、先人の上に今の時代があって、そのベースから未来を見ていかなければいけないのは、今の時代の人だけではなかったはずです。未来を諦めずに向かっていく人たちを僕は応援したいし、当事者でありたい。だから過去を否定するのではなく、過去に学んで進んで行きたいと思っています。(いつもながらポエム調になる締め)

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