travel burnout/panic attack を経験して
Burnout または燃え尽き症候群という言葉は知っている人も多いかと思う。
仕事や勉強、時には趣味に時間と労力を費やすし、最終的にやる気を失ってしまうこと。わたしにはあまり馴染みのなかったことであり、またそれがパニック障害のような症状で、旅行中に起こるなんて予想もしていなかった。
2023年夏、イギリスでのワーホリ期間が終了し、2〜3ヶ月の継続的な旅行の予定があった。
旅程としては
6月末〜2週間、アメリカ西海岸へ
7月半ばより1週間、イタリア
8月初旬〜10日間、チェコ、ハンガリーへ
9月初旬、ニューヨーク
ロンドンで住んでいた家も出て行ってしまったため、それぞれの旅行の間は友達の家や短期で借りたairbnbのような場所。
最初はとてもワクワクしており、楽しみでしかなかった旅行。
それが、最初のアメリカ旅行中にある出来事があり、人生で初めてパニック障害のような経験をする。この症状は教科書でしか学んだことがなかったが、実際に自分がなってみるとそれはもう恐ろしいもので、その時の症状がその後にも後遺症のようなものとして現れてくることをこの時は知るよしもなかった。
それが顕著に現れたのがアメリカから帰った後の、イタリア旅行中。友達とレストランにいるとき、突然手足が痺れ出し、息が荒くなり、予期不安のような症状が現れる。自分の中でそれはアメリカで体験したものに近く、その症状はその旅行中何度か現れ、夜に眠れないこともあった。
ロンドンに帰った後も、レストランでいきなり同じような症状が出たり、バスの中や電車の中で特にその症状が現れるととても恐ろしかった。
また、旅行中自分の知らない土地で同じ症状が出たらどうしようと今後予定していた旅行への不安も感じていた。
その時の自分はこれがきっとパニック障害であり、あのアメリカで体験したものの後遺症のようなものと思っていた。
ここから、わたしがその心理状態から解放されるためにしたことについてシェアする。初めに、わたしは当時、その症状への恐怖心もありながら、改善策をしっかり考えていたと思う。医療者として今まで出会っていた患者さんの中に心理的な問題を抱えている人は少なくなく、その人たちの恐怖心を理解することも少なからず、できたと思う。
1、十分な休息、食事
まずはしっかり休むこと。旅行中は、想像以上に毎日気を張った身体・心理状態にある。わたしの場合、アメリカは最高に楽しい旅行だったが、間違いなくいろんなことに神経をすり減らしていた。街中には薬物中毒者が溢れ、道にはゾンビのような人間たちの集団が集まり、足が腐っているゾンビたちと同じ電車やバスに乗っていたこと、夜には銃声のような音が聞こえることも多かった。また、夏の暑さも体力を奪う要因。イタリアにいたときは42度の熱波の中、町中を5時間ほど歩き回った。そんな環境に身を置き、疲れないはずがない。ロンドンに帰り、自分が安心できる場所でしっかり休むこと。また、食事に関してはプロセスフードやジャンクフードを避け、3食なるべくバランスの取れた食事をとること。
2、メディテーション(瞑想)
一度、ロンドンでバスに乗っていることにパニック障害のような症状が現れた。降りてしまうことも考えたが、降りたところでまた人混みでバスを待つこともきついと思い、バスに乗り続けた。その時、 youtube でメディテーションの動画をながし、目を瞑り、ひたすら深呼吸をしたことでその場を耐えることができた。その後も朝はメディテーションから始まり、夜はメディテーションで終わる。そんな日々を過ごした。メディテーションは頭を空っぽにし、今にベクトルを向けることで予期不安などから目を背けることができたり、落ち着いた心理状態により近づくことができる。
3、日を浴びる、有酸素運動
運動はメンタルヘルスに良い影響を与えることは、よく知られていることだと思う。また日を浴びることで、太陽からビタミンDを吸収することができる。ビタミンDの欠如はメンタルヘルスの悪化に大きく関与するため日を浴びることは必要不可欠となっている。わたしは、とにかく外に出て、散歩をしたり、日の当たるベンチに座り、本を読んだりした。
4、パニック障害が起こった時にそれをしっかり受け止める
毎回パニック障害が起こる前に、 "あ、そろそろ来る" という前兆を感じていた。恐ろしくもあったが、わたしはそれを、客観視し、恐怖の波に飲まれながらも、”これは一時的な症状、わたしは大丈夫” と心のなかで冷静に考えることができた。またその恐怖から逃げようとせず、しっかり受け止める。その数分間は恐怖でしかないが、とにかくその恐怖を感じることを意識していた。
5、誰かに話す
わたしはこの時の経験をタイムリーに自分の家族や友達に話していた。自分の経験や状況をシェアすることはとても大切なこと。
最後に、トラベルバーンアウトが旅行中に起こったら
旅行中は、少しでも多くの場所に行きたい、思い出を作りたいと考えがち。せっかくお金を出して遠いところまで来て、勿体無い!と思ってしまうが、特に長期の旅行だとその分心身的なストレスも大きい。ホテルで一日、半日休むことや、あまりにもひどい場合は、早めに帰国することも大切だと思う。わたしもイタリアに行った時に、身体が本当にきつく、行きたかった観光地を1つ諦め(友達と一緒だったが、別行動をお願いした)ホテルでゆっくりした。時にはそのような決断も必要だと思った。
そんな、とても貴重な経験をした2023年夏でした。