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糟糠の妻、ダンナを捨てる。その1

 ある満月の晩に家庭内別居中のダンナからメッセージが入った。その日は満月。気持ちよく眠りたい。だから読まずにぐっすり寝た。夜中に読んだ日にゃ気分が高まってやけにセンチメンタルな返事を書いたり激昂してビシバシとことを荒げる攻撃的なヒドい言葉を書いたりロクなことをしかねない。夜中に書き物はご用心だ。

そして次の朝気持ちよく目覚めてコーヒーを片手にメッセージをひらく。まあもちろんお互いに言葉を交わす状態にはないからメールにしたと、離婚しましょうという内容だった。注意深く言葉を選びなんなら感謝の言葉も忘れない。気を使ってくれてありがとうダンナ。気を使わせちゃってごめんねダンナ。ん?なんだろう?

2回読み返したところで違和感の正体がわかった。よく読むと子供たちへの思いや今後の進め方が簡素に書いてあるにはあるがどう考えてもボクから離れていく気の毒なあなたのテイで書かれているのだ。行間からは老後は苦労させたら可哀想だという感情が溢れ出しているのだ

待って待って待って!なんでまたそんなに上から見て哀れまれているの?私はこんなに晴れ晴れしていて長年治ることなく鳴り続けていた耳鳴りがピタッとやんだのに。気の毒なわけがない。それはたぶん私に戻るならまだ間に合うよというサインだったことにも気づいたけれど私は意外と俯瞰で見ていてさてどうエッセイに綴ろうかとそればかり考えていた。

それからエッセイに綴る前に返事をかいた。多少思い違いをしていることを訂正すべく思いの丈を綴った。

そもそもこの離婚の原因は浮気とか不倫とかではない。「お前とは性格が合うからかろうじて一緒にいられるだけだ」と言われたことがあるので性格の不一致でもない。モラハラか?と言えばまあそうなのかもしれないけれど原因は彼のことを尊敬できなくなってしまったという、もうどうやっても元の鞘におさまることができない理由だ。尊敬とは厄介なものでモラハラや罵倒をものともしない。無茶振りだってなんとかなる。ところが尊敬できなくなると全部がどうでもよくなる。頑張ろうとも思わなくなるのだ。

というわけで愛情よりも厄介な尊敬の念がなくなって、離婚に至る過程をしょぼしょぼ書き綴っていこうと思ってます。あの芸能人この芸能人が離婚会見の時に言っていたあんなことこんなことずっと更年期だと思ってたけど違うんだな。今あんなことこんなことようやく理解できたのでそんな話も交えて続けて行けたらいいなと思ってます。

つづく。

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