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糟糠の妻、ダンナを捨てる。その3
そんなこんなでダンナからの1通の離婚についてのメッセージが届いた。もうこの状態では離婚はやむおえないと。だから私も細心の注意をはらって胸の思いをいくつか書いたメールを送った。
私が書いたことといえばダンナの作品展の話を知ったある女が、企画をかっさらい乗っ取ったこと。アーティストとして個展をやる話が作品集を出して儲ける話にすり替わったことに幻滅してしまったこと。苦労してプラン作りからたずさわってくれた人たちを切って挙げ句の果てに私まで切って進めていることだった。
でもその女の一件で私は今まで彼を支え何があってもグッとこらえてきたのに心の中で何かが崩れ去って30年という長い長い夢から覚めてしまったのだ。彼を尊敬できなくなってしまったのでもう終わり。笑っちゃうくらいどうでも良くなってしまった。
まあそんな話はさておき次のステップへ。
次の日彼からメールが送られてきた。目に飛び込んできたのはまさかの財産分与の試算表だった。いきなりか?これって結構ナマっぽい。私からの昨日の感動的なメールで『オレが悪かった!戻ってきてくれ!』と言って欲しい気持ちなんてさらさらなかったけれど、たたき台作りましたって何だそりゃ?しかもその内容がエグい。ついこの間までラブラブでいい夫婦だと思い込んでいた自分の価値が数字で表されていた。それはかなりの低評価で、どれだけ価値のないヤツだとダンナに思われていたかが丸わかりの表だった。
それは色々なパターンで計算され尽くされていた。ダンナの一押しの方法は妻としての価値も母親としての価値も計上されておらず、ダンナの仕事を手伝っていた時と同じ金額が定年まで支払われる。それが財産分与相当だというのだ。
百歩譲ろう。わかりやすい説明をありがとう。ダンナ。今まで通り私名義の口座から住宅ローン分が引き落とされ、給与という形に名前を変えた今までの給与と金額の変わらない財産分与があり、、、、どうやら私は離婚すると住むところを失うけど自分名義のローンは払い、会社も退職せずに続くらしい。
そりゃないぜ。いくら頭の悪い私でも多少はわかる。私名義のローンは誰が払ったとしても家の30%は私の持ち分じゃない?給与として財産分与するって言うならそれが途切れる10年後私は立派に退職金をもらえる身分なんじゃないの?
こう言うことに詳しい友人に聞いてみた。そうしたらこうだ。「ハルカちゃん、大事なこと見落としてない?ご主人その女性と一緒になるつもりで機会うかがってたんじゃない?だって随分手際が良すぎない?最初のメッセージから中1日でしょ?はなから用意していたんじゃない?ハンコは勢いで押しちゃダメだよ。まんまとその女にしてやられたんじゃない?」
げ!考えてもみなかったけどそれはない気がする。でも念のために他の友達にも問い合わせるとこの件をいろいろ愚痴った友達はみなさんそのように思って聞いていたらしい。そして仮にダンナがその女とセックスする関係ではなかったにせよ妻の尊厳を傷つけたと勘案される、、、、なるほど。みんな詳しいな。離婚もしていないのに詳しいな。そちらのあなたは結婚していないのに詳しいな。
なので納得がいくまでは終の住処になる予定だったこの家でダンナがよその女としっぽり老後を楽しむぐらいなら家に居座るのかしっかり慰謝料も含めた財産分与をしてもらうのかの選択肢があることに気づかされた。そんな3日間だった。
そしてそれが深みにハマる沼の入り口だったのかもしれない。
つづく