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【人間は行こうと思えば、どこまででも行けると思った話】


 1時間……我に返って、時計を見て驚いた。
もう私は1時間も画面を見続けてしまっていたことに
気が付いた。

 何もしたくない!と大声で言っているのにも関わらず
いつもくたくたになり
リビングに転がり、気絶している。

 なんで私はいつも疲れているんだろう……
見かねた友達は、「一回堕落したら?満足するかもよ」と言ってくれる

 保育園を辞めてから、世間との休み時間が合わなくなったのだが
今回のお盆は、旦那さんも休むことになり
13~15は家族の時間
そして
裏テーマは
“何もしない!!!”
を掲げて過ごした

 目覚ましをかけず、目覚めた時に起きた
のろのろと珈琲を淹れ、飲む
 ふーっとため息をつき、まだ目覚めていない自分を起こす
のんびりする私をよそに、旦那は何かに忙しそうだ
「ねえ、何してるの?」
「ん? ゲーム」
ポイ活の為に、ゲームにいそしんでいた

 ゲームか……
何もしたくない!堕落生活にはいいかもしれない。

 私もポイ活の為に、ゲームを始めた。
お猿さんを、温泉に入れて、育成する
動画を見ると、育成が早くなる
戦いもしなければ、攻略法もない。
単に、見ていれば育つ

 ソファーに体をうずめ、
人差し指を動かして、ボーっと眺めた
サルが増えて、画面に蠢く
ダイエットと、脱毛のCMに見飽きた

 どんどん育つサル……
寝すぎで腰が痛くなり、顔を上げると
1時間過ぎていた

 このゲームに1時間……
衝撃過ぎる……

 いつも休みたいのに、休めない
と言っているが
“堕落する”と決めたら、意外と休めるものだった。
 そして、堕落は、やろうと思えば、終わりがない。
どこまでも、どこまでも墜ちていける。
 サルを眺めて1時間も過ごしてしまったのだから

 無限の堕落……
一流がいるのは、凡人には難しい自分を正すということを
やってのけているからだと
蠢くサルをぼーっと眺めながら
思っていた

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