【飛ばないかもしれない飛行機にしめしめと思っていたひどい私】
どうか
どうかこれを見ても私のことを
酷くて、嫌な奴だと
嫌いにならないでください
だって、私は
旅行前、台風で飛行機が飛ばないかもしれない
と不安がる友達を見て
しめしめ……
と思ってしまったのです
8月最終週、日本はのろのろと進む台風に翻弄された
いつ来るのか
そもそも来ないのか
テレビを開けば台風情報……
全く予定がなかった私は
どっちでもいいと他人事で、
どうせ出られないんだから
と家でひたすらゲームをしたり、断捨離したりしていた
ソファーに埋もれて
ゲームをしすぎて、腰が痛くなってきた頃
LINEが鳴った
「飛行機、どうなるんだろう……」
彼女はまさに、9月頭に海外に行く予定なのだ
反射的に
「そうだよね……
台風困るよね」と返事したのだけど
自分の本当の気持ちが分かった時
私はなんてひどい奴なんだろうと落ち込んだ
だって正直
しめしめ
って思ってしまっていた
彼女のことは大好きなはずなのに
旅行を楽しみにしていたのだから、叶えて欲しいとおもっているはずなのに
なんで私は、人の不幸を喜んでしまっているのだろう……
私はいつも彼女のことが
うらやましいと思っていた
スラリとした体形も
要領よく仕事ができて、見通しがもてることも
自分の意見をもっていて、嫌なら嫌とことわれることも
夢の海外2週間旅行を手に入れようとしていることも
いいな
いいな
なんで私は彼女みたいになれないのだろう
とうらやんだ
私は
がむしゃらに動いて、慌てて、最後まで必死でいるし
嫌われることが怖くて、嫌なことを嫌だと言わない
空気吸ってるだけで太るのではないかと思うほど代謝が悪い
彼女と一緒にいて、よく分かるからこそ
うらやましくて仕方がなかった
うらやましくて、ねたんでる自分がイヤすぎて
どうしていいか分からず
意を決して
ある人に話した
「なんかいいなって思うんですよね。海外にも行ってるし、いいなって」
「すみかちゃんも、今度行くんだよね?」
「はい」確かに私は、今度行くことになっている。
行くことが決まっているのに
なんで私は、彼女がうらやましいのだろうか
その人は続けた
「ねえ、本当にすみかちゃんは、何ももってないの?」
と聞かれた
……
私は誰かと話していると
すぐに人がうらやましくなる
今、自分が何をもっているか
あることに目を向けてず
ないものを足そうとしているからだ
食べ物に困ることはないし
やりたいようにしていても、夫は私を咎めない
「旅行に行きたい」と言えば、行けるプランを考えてくれ
帰る場所も私にはある
ない、ない
私はあの子が持っているものを
持ってないと探し回るから
人をうらやましく思ってしまっていた
あるものに目を向けると、自分は結構色々持ってて
ありがたい状況にいるのだと気が付いた
あぁ……ありがたや
晩御飯をつつきながら
「ねえ、私もここ行きたい!」
と彼女のInstagramを夫に見せる
「えっ!?僕たちも今度別のとこ行くじゃん」
「ここも行きたい!!」
結局自分も行きたいし
新しいものを手に入れたい欲は消えないのだけど
こうして、話を聞き、考えようとしてくれる人がいる
という環境に置かれていることは
大変ありがたいことなのだと
あることに目を向け、感謝した。
そして、心から彼女の飛行機が
無事に飛んで欲しいと願った。