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【史上最強に好きだった彼との恋愛に、私は向いていなかった】


最後、とてつもなく人を好きになったのはいつだろう。
刈り取られ、黄色くなった、田んぼを歩きながら思い返していた。

身体が、壊れそうなほど人を好きになった最後の記憶。
破談になった結婚の後、付き合った人。
私は彼のことが、とんでもなく好きだった。
だけど、苦しくて仕方なかった。

残念だけど、好きなことと、向いていることは
違うのだと思う。

長くなるので割愛しますが
3年ほど、付き合っていた人と
すったもんだあって、結婚が破談になった。

ドレスを着ると張り切り、ダイエットしても痩せなかったのに
一気に2キロ痩せ、
毎日泣いたせいで、充血が止まらなかった。

真面目に生きてきたはずなのに、
と人生のどん底に落ちている時
やけくそで行った飲み会に
彼はいた。

がっしりとした肩、体つきには似つかわしくなく
目元はスッキリとして
色白な人だった。
ふと彼が笑いかけてくれ、飲み物を気にしてくれたことが
底辺にいた私には、ありがたすぎた。

男に傷ついているくせに、やっぱり人を好きになる。
私は、彼に少しずつ惹かれていった。

友達という関係で、食べ歩き
カラオケ、イルミネーションも見に行った。
回数を重ねるたびに、もっと、彼に近づきたくなる。
彼も同じ気持ちなのだろうか。
笑っているのは、社交辞令なのか。彼の本心が気になって仕方なかった。

2人で会い始めて、4回目。
真冬になる凍える日の夜、私たちは友達から
彼氏と、彼女という関係になった。

「もうそんな奴、忘れちゃえ」とぎゅっとされた時
内臓が震えた。

電話をすれば、あっという間に3時間経ち、
家にいれば、ひと時も離れたくなくて
ずっと、毛布の中でくるまっていた。

しあわせを感じるたび
彼に嫌われたくない
ずっと好きでいて欲しい。
彼の負担になりたくない。

終わりを想像して、怖くなった。
仕事で忙しいから、会いたいと言ったら、迷惑だろうと
会いたいと言えなくなり

だんだん少なくなるLINEの返事が不安を煽った。

週一回のおでかけも、約束が減り始め
でかけたい
会いたい
と言えば嫌われると思って
言えなかった。

どうしても話したくなった深夜
彼と話していると

「もう、無理」
と気が付いたら言っていた

好きで、会いたいのに
言えない
会えない
会えない時間が不安で、辛い
彼を好きで、好きで仕方ないから、しんどい

「そっか……しょうがないね」
と言われて、あっけなく終わった

私は、とんでもなく彼のことが好きだった
だけど、自己肯定感が低く
会えない時間を、自分で楽しめなくて、心が自立していない私は
彼との恋愛に向いていなかった

近頃、好きなことで生きていく
好きだから頑張れるという
風潮を目にする。

好きなことは大事なことだ
だけど、必ずしも、好きだから心地よいわけでもない

好きだからこそしんどく、辛くなる時もある

好きと、向いているは違うと思うのです

それを踏まえた上で、

好きだから、辛くてもやれる

そんなに好きじゃないけど、それなりに出来る

どちらを選択してもいい

何かを始める時、必ずしも好きじゃなきゃいけない
とか
好きなものしか仕事にしちゃいけない
ということはない

どこまで行っても、自分を知ること。
好きなこと、向いていることを、自覚し
選択する。

最終的には、自分が、心地よいことが大事なのです。

あの彼は、今どうしているのか

彼と歩いた田んぼ道を歩きながら思い返す。
彼に抱いた好きを反芻すると、温かくなるけど
心臓がツンとする


好きは、私にとって
ちょっと辛いものみたいだ。


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