感傷ダダ漏れ、読者置いてけぼり
「週刊朝日」はいよいよ今週発売号で休刊し、101年の歴史に幕を閉じる。私のような一読者でさえ、ひとつのメディアの終焉に立ち会うことは感慨深い。ましてや関係者の感傷はいかばかりか。
それにしても。
朝日新聞28日掲載の“追悼記事”を読んで、びっくりした。最終号の表紙が酷いことになっている。
雑然とした社内のもようをワイドでとらえた写真で、キャプションは「最終号(2023年6月9日号)表紙は在りし日の編集部をスタッフらが演じた」だ。
よく見ると、急須で湯呑みにお茶を入れていたり、昭和の雑誌が置かれていたり、出前持ちがおかもちをぶら下げたりしている。しかし電話機は白い集中ボタンタイプだし、椅子は5本脚の最新式だ。
百歩譲って、最盛期だった昭和の編集部の古い写真を引っ張り出してきたのならまだよかったのだが、これでは面白くもなんともない。
おい、おい。こんなところに「休刊の感傷」をダダ漏れさせちゃう恥ずかしさを誰も感じないのか?完全に楽屋ウケ、読者は置いてけぼりである。こんな学芸会のような小芝居は送別会でやれ。
現在発売中の休刊前々号の表紙はなかなかグッとくるものだった。山藤章二ブラックアングルのキャラクターが、サザエさん、ナンシー関、東海林さだおら往年の名物キャラたちに泣きながらハンカチを振っているのだ。ああ、それなのに最終号があれか・・・。
「もう最後だから、やりたい放題」なのか。そんな心構えだから時代の流れに敗北しちゃったのではないのか?
残念で、悲しい。「休刊することが」ではない。この表紙だ。
(23/5/28)