人生の“品質”
数年前に拉致被害者・蓮池薫さんの講演を聞いた。
被害者の方々の“物語”は報道を通じてなんとなく知っている気分になっていたが、直接本人からじっくり話を聞くと、その心情は胸に迫ってくる。
日本での生活について蓮池さんは「人生に“味わい”があります」と静かに言っていた。真っ黒一色だったであろう北朝鮮での生活の厳しさとつらさをなによりも想像させるひとことだった。
医療方面にQOL=Quality of Lifeという概念がある。
たとえ病気になっても活力や生きがいを持つことを目指す、ということらしい。
直訳は「生活の質」となるのか。Lifeは人生という意味もあるから、蓮池さんがいう「人生の味わい」にも通じるだろう。
なるほど。Lifeという英語は「生活=人生」であることを示している。
喜怒哀楽。日々の生活の彩りを積み重ねたものが人生になる。まったく当たり前だ。
しかし、それを意識して毎日を充実させること、これはなかなか簡単に実践できるものではない。痛切に思う。
(22/11/17)