「ノロいフォワード」という反則
日本ラグビー協会が用語の変更を発表した。ボールを前に落とす「ノックオン」が「ノックフォワード」に、相手からボールを奪取する「ジャッカル」は「スティール」になるという。
母校が強豪校に名を連ねていることもあってラグビーのテレビ観戦が大好きな私。球をこぼすと「ああ、ノックオンや!」と無意識に口をついて出るほどに馴染みが深い用語。ちょっと長い「ノックフォワード」は緊迫感に欠けるなあ。
そういえば戦時中の野球は敵性語を使うことを避けるために「よし(ストライク)」「だめ(ボール)」にしたそうな。これにならって「球落とし(ノックオン)」「罰(ペナルティ)」「組み合い(スクラム)」「投げ入れ(ラインアウト)」ってわけにもいかないし(いずれも私が思いついた和語です)。
ラグビーという競技ではルール変更が多い。それも競技の根幹に関わる部分の変更には戸惑うばかりだ。
50年前にはトライは4点だったし、「ペナルティ後のタッチキックでは蹴り出した側(反則をされた側)が投げ入れる」「50−22(自陣から蹴ったボールが22Mライン外側でバウンドしてからタッチに出た場合には蹴った側が投げ入れる)」などは戦略に大きな変更が出たはずだ。確かにそれによって競技が“面白くなった”という側面は否定できないが。
子どもの頃に勘違いしていた反則用語が「スローフォワード」である。
「ハンドパスは前に投げてはいけない」はラグビーの大原則。これに対する反則はつまり「throw forward」(前投げ)。しかしまだ英語をほとんど知らない頃は「スローモーション」に引っ張られていたのだろう「slow foward」、つまり「遅いフォワード」と思っていたのである。そう、フォワードはポジション名でもあるのだ。「そりゃあ試合後半にもなればフォワードも疲れて動作がノロくなるだろうし、不思議な反則だなあ」と思っていた。
やっぱりこの反則だけはガラパゴス的に「前投げ」と呼んではいかがだろうか(笑)
(25/1/14)