【実話】コリァー怖い!「ためにならなーい」~北朝鮮・平壌の夜(2/2)
こちらも金日成主席が最高指導者だったころの話。当時、日本の政界は日本社会党(現在の社会民主党)だけが北朝鮮とのルートを持っていて、幹部の平壌訪問には報道陣も同行できた。
ある記者が深夜に散歩をしようとした。ホテルのロビーに降りたつと、すぐにガイドという名の“担当者”が寄ってくる。記者のイニシャルはKとする。
「Kしぇんしぇい、Kしぇんしぇい。どこ、いきますかー?」
「あ、ちょっとその辺りを散歩したいと思って、、、」
「では、わたし、案内しまーす」
「あ、大丈夫ですよ。少し歩いてくるだけだから、ひとりでいいですよ」
「それ、Kしぇんしぇいの、ためにならなーい」
すっかり怖くなったK記者は自室へ戻って寝るしかなかったという。
残念ながら私は記者として北朝鮮を訪れる機会がなかった。たとえ取材が実現しても、あの国では結局彼らが見せたいものを見せられるだけになる。それでも、いったいどのような人々がどのような表情でどのような街並みを歩いているのか、それをそれをこの目で見ておきたいという気持ちは変わらない。
(21/8/13)