勝ち馬に乗る
10月の地元・品川区の区長選挙は6人が立候補し、どの候補も法定得票数に達しなかったので再選挙になった。
再選挙では前回立候補したうちのひとりが出馬を見送ったが、別に立候補者が出たためにやっぱり6人の争い。「もしまた法定得票数に達しないと、全国初の再々選挙になる」とヘンなところでニュースになった。
結果は1回目でトップだった森沢恭子候補が2位を大きく引き離して当選、やっとケリがついた形だ。
有権者だが細かい事情まではフォローしていなかった。
なんとなく、地元の首長選というものは「前任者の“後継者”が決まっていて、それに挑む野党系候補の争いという構図」が多いと思っていた。だから、どうして有力候補がおらずに乱戦になったのか、わからなかった。あとから「どうも自民党が分裂状態になったらしい」と知ったし、そもそも組織力を持つ政党のバインドが効かなったのだろう。そのことの是非は、まあ、いい。
さて、再選挙。
区民としてまず思ったのは「選挙にかかる税金がムダになるなあ」ということだった。私は見かけていなかったが「追加費用は2億円になる」との報道もあったそうだ。
「同じ感覚の有権者が多いだろうから、1回目で1位の森沢候補がきっと有利だろうな」と思っていたら、その通りになったのである。しかも、得票数は2位候補のおよそ2倍。当選後には本人も「得票数4万は意外だった」と話していたようだ。
「勝ち馬に乗る」という現象がある。
「バンドワゴン効果」とも言われ、「有利だとされる方がさらに支持を拡大する」こと。「再々選挙で税金がムダになる」だけでなく、無意識のうちに「“死に票”になるのはイヤだから、自分が投票する候補に勝って欲しい。それなら前回トップの候補に入れよう」と思ったのではないか。
もうひとつ。
森沢候補は44歳。“絶世の美女”ではないが、いかにも頭のよさそうなシュッとした風貌とニコニコした表情は好感度が高かったのではないか。「元日本テレビ記者」という経歴も華やかに見えるのだろう。「外見がもてはやされるルッキズム」への批判は理解するが、やっぱり選挙は“人気投票”。おっさん然とした自民系候補よりも有利になるよなあ、と思った次第である。
(22/12/18)