採決をしない議会って
山口県上関町が使用済み核燃料の中間貯蔵施設の調査について受け入れを表明した。
報道によると、町長は「町の人口が激減しており、持続可能なふるさと上関町を次世代につなげることが私の使命」という立場だ。
上関町のことはほとんど(まったく)知らないが、おそらく典型的な過疎地域なのだろう。調査受け入れによる国からの交付金、さらに工事受注や作業員の宿泊などの経済効果に期待するのは理解できる。
他方「拙速に受け入れを進めていて、説明が不十分」「調査は将来の建設につながる。それも“中間貯蔵”にとどまらず“最終貯蔵”になりかねない」という反対意見もよくわかる。
典型的なNIMBY(ニンビー)問題だけに難しい。NIMBYとはnot in my back yardの頭文字で「施設の必要性は理解するが、うちの裏庭ではやめてくれ」。電力の消費という恩恵を享受しているひとりとして軽々に考えもまとまらない。
それにしても、私にとって理解が難しいのは18日の町の臨時議会で「採決が行われなかった」ことだ。
意見表明では7人が賛成、3人が反対の意見だったという。採決を行えば「賛成」を採択できることは読めていたにもかかわらず、だ。
報道によると町長は「臨時議会では全議員が賛否を表明するが採決は行わなず、町長が総合的に判断する」「今回の話はそもそも議決案件ではない」と事前に説明していた。
難しい問題で意見が割れるのは仕方がない。採決をやろうとやるまいと、分断は残る。
地方議会の規定はよく知らないので「議決案件ではない」のは正しいのかもしれない。しかし「トップが総合的に判断する」のは議会の切り捨てであり、民主主義における行政のあり方として正しいのだろうか。会社組織のトップ判断や絶対王政ではないのだ。
「議会で議論したうえで採決をしました。受け入れが多数だったので、受け入れを表明します」でどこかマズいことがあるの?
ホントにわからないままなのである。
(23/8/19)