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audibleその後
先週からAmazonのオーディオブックサービスaudibleを始めている。その後の経過報告。
読み放題になっているタイトルをほぼ「手当り次第に」自分のライブラリーに登録しておくことになるが、実際に聴けるのは1冊ずつだけ(当たり前だ)。
まず成田悠輔「22世紀の民主主義」を読了(聴了)した。
本書は興味深い題材を挑発的な語り口で説いていて、とにかく面白かった。基本的に1.5倍速で聴くが、集中力がないと思う場面では1.3倍に落としたり、ぼーっとしてしまった際にはボタンひとつで30秒前に遡れるのもありがたい。
肝心の理解度について。
自分では、自分がどれだけしっかり理解したどうかを測ることができないが、どうせ読んだそばからポイポイ忘れちゃうのだ、書籍で読んだ場合と変わらないのではないか。
欠点もある。
掲載図版はスマホやPC上でPDFを閲覧できるようになっている。この工夫はありがたいが、いちいちこれを確認するのはかなり億劫で、結局本文から勝手に類推しちゃうことになる。
()で補足された部分や脚注については、「脚注24」などのように読み上げてくれたり、微妙な「間」を入れてくれているが、やはり「聴く」こととの親和性は低い。このあたりの欠点は文学作品であればあまり気にしないで済むところなのか。
ラインナップを探っていると、作家本人が朗読しているものもある。
興味を惹かれたのが根本宗子さんが担当している「今、出来る、精一杯。」。
ことし書籍を読んで、面白さに驚いた傑作だ。
バイト先に集まっている、それぞれ方向が違う面倒臭さを抱えた人間たち。一人ずつの独白でその面倒臭さを抉り出す。それぞれの心情がしっかり納得させられて、息を詰めながら全員を応援することになって、一気読みだった。
根本さんは劇団の人で、これが初の小説という。いやはや、人間を捉えて描くということに、演劇も小説もないと知る。とんでもない才能だ。
「根本さん本人の声ってどうなんだろう?」とワクワクしながら再生してみたら、かなり甘ったるい声でビチャビチャとしたしゃべりなので(個人の感想です)、すぐに断念してしまった。本人が朗読する意味ってなに?
audibleはほとんどのタイトルがプロのナレーターさんによるものだ。
みなさん、声も、「間」も、抑揚も、すばらしい。職業上の必要からアナウンサーやナレーターの仕事ぶりに接する機会が多い私だが、毎度「上手いなー」とほれぼれする。それにいつも触れることができるのは、かなり幸せなことだと気がついた。
ヘッドホンは、わざわざ家電量販店へ行って選んできた。
コードが煩わしいのでBluetoothによる無線接続はマスト。ソニーの最新型ノイズキャンセリングと、4000円ほどの入門タイプの間でかなり迷ったが、10倍のお値段差を克服する自信がなく、後者を買った次第。頭部のフィット感がいまいちなのが気になるが、これは私のドタマの形状のせいなので文句も言えず、いまのところ快適だ。
そして、audible最大の問題点。
聴いているととにかく眠くなる。題材が面白くてワクワクしても、すぐにフワフワした感覚に襲われてしまう。波乱万丈の小説なら少しは違うのか。
これを応用して就寝時にはスマホを枕元に置いてスピーカーモードで聴く。タイマーオフ機能を10分に設定しておけば、翌朝に記憶が途切れたところまで舞い戻るのもそれほど大変ではない。寝つくためには有効だが、もちろん本来やりたいことではない。
そういえば、有線放送にも安眠用に難しい講義をムニャムニャ声で流し続けるチャンネルがあったなあ、などと考えている。
(22/12/27)