おぢサラリーマン記者が新入社員にアドバイスして、逆に教えられたこと
とことん真面目なのである
きょう、フリーアドレスでたまたま隣に座った新入社員女子が話しかけてきた。「災害報道がやりたい」と気象予報士の資格を取ってウチへ入社してきて、ガッツがありそうなたたずまいの社員である。「『NHK国際研修室』ってご存じですか?」
まったくご存じではなかったので、名称から推察して「渋谷さんの社内組織かナ」などとキョトンとしていると、どうもそうではない。翻訳者を養成するための講座などをやっているところらしく、「行こうかな、と思っているんです」。私が国際ニュースを扱う部署にいるために相談してきたと思われた。
うーん、としばらく絶句してしまった。30数年前の自分は、まずここで一人前になることに無我夢中で、そのような考え方は1ミリも持ち合わせていなかったのである(結局モノになったかどうかは、自信がないままだ)。いまの新人は、そもそもはじめから「一生同じ会社で働く」などと考えていないのかもしれない。それが「いい」「悪い」の問題ではない。考え方の土台が違う。視野が広い。
なんとかひねり出したアドバイスらしきこと
せっかく聞かれたのだからなにか有益なことを伝えてあげたいと思って、しばらく考えてから次のようなことを言った。順不同である。
・「目の前の仕事をまず頑張れ」
とにかくいまの仕事を覚えないことには何も始まらない。いまは先輩についてしっかり頑張ることに専念しなさい。特派員を目指すとしても、まず記者としての基本ができていなければ、選ばれることはない。
・「時間がとれるうちに手を広げるのもいい」
矛盾するようだが、このあと「外記者」になったら自己研鑽の時間などはまったく取れなくなるかもしれない。内勤をやっているいまのうちにいろいろ手を広げておくのは素晴らしいこと。
・「どうしてもやりたい特殊言語があるなら、それは勉強すべし」
例えば「将来は絶対に○○支局に行きたい!」と決意しているなら、その言語を習得すれば間違いなく有利になる。単純に「なんとなく英語の勉強をしておきたい」というだけなら、それはコスパが悪い。英語ができる人は珍しくない。
「英語をやるならこれがいいよ」とPodcastで毎日ニュースを聴くこと、例文集「Duo」を推薦したら、どちらもちゃんとやっていた。しっかりしているのである。その姿勢にこちらが感心させられる午後になった。
(21/6/8)