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「全店臨時休業」は顧客を無視していないか?

 イヤなものを見せられてしまった感じがしている。

 静岡で展開しているハンバーグチェーン「炭焼きレストランさわやか」が、創業者の死去にともなって14日に全店一斉に臨時休業した。

 「さわやか」は静岡県内だけで展開しているハンバークチェーン。私は知らなかったが、かねがね「行ってみたい」としていたウチの長男は、先日御殿場のアウトレットで整理券を並んで取ってまでして食べていた(私は同行せず)。げんこつハンバークが名物で、東京に進出していないことがかえって話題を呼んでいる側面があるようにも思う。

 会社の発表文は書いている。「ご利用を予定されていたお客様には、ご不便をおかけして誠に申し訳ございません。」「スタッフ一同、個人を偲び、ともに想いを馳せる時間を頂戴したく存じます。」「何卒ご理解くださいますよう、お願い申し上げます。」

 そうか、少なくとも「ご不便をおかけして」の自覚はあるのだね。

 創業者の死去が12日で発表文が13日付、そして14日に休業したのだから、何も知らずにわざわざこの日に「さわやか」を目指したお客さんはさぞかしガッカリしたことだろう。予約を取らないスタイルだからできたという側面もある。

 「スタッフ一同、個人を偲ぶ時間を」というのはわからないでもないが、それはバックヤードで存分にやればいいこと。客にはまったく関係がない。亡くなった創業者は、やってきたお客さんをガッカリさせてまで偲んでもらうことを望んだのか、できるならお聞きしたいものである。

 さらに想像する。

 現在の社長は亡くなった創業者と同じ苗字だ。おそらく息子さんなのだろう。するとこの「全店一斉臨時休業」は、会社に残った取り巻きがジュニアに向けた「忠誠心争い」の発露として出現したものではないのか?ならばジュニアは「みんなの気持ちはわかった。だからこそお店は開こう!」とするのがリーダーシップだろう。臨時休業で、この日のアルバイト・パートさんの時給は支払われたのか?

 もちろんこれは店に行ったこともない部外者の勝手な想像だ。もしかすると全社員がお店を閉じてまで偲ばずにはいられないほど素晴らしい創業者だったのかもしれない。

 しかしこんなバカバカしいサラリーマンの醜態を長年たっぷり見てきた私の見立ては、当たらずとも遠からずではないか。

 顧客をほったらかしにしてそんなことに奔走するような店がいつまでも賑わうことはないと思うのだが。 
(24/3/15)

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