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そのツッコミは失礼なのか?「よく言った!」なのか?

衆院選ではテレビ各局が恒例の選挙特番をやっていた。私は各局を見比べていた訳ではない。

昨夜のうちにネットで話題になっていたのがTBS系列の特別番組における爆笑問題・太田光氏の言動だ。これも実際に視聴していたわけではないが、記事によれば選挙区で苦戦している自民党の甘利幹事長に「ご愁傷さまです、ウヒャヒャ!」と言ってみたり、二階前幹事長には「いつまで政治家続けるつもりですか?」と聞いて「お前、失礼だよ!」と怒らせたりした、という。

かつて福田総理の退任記者会見において、ある記者が「退陣会見がまるでひとごとのように聞こえるが」と質問したところ、福田氏が「私は自分自身を客観的に見ることができるんです。あなたと違うんです」とムッとした表情で答える場面があった。

記者であろうとお笑い芸人さんであろうと、政治家に遠慮する必要はまったくない。聞くべきことは堂々と聞くのが視聴者のための責務だろう。そして、いい気分にさせたり、時には耳の痛いことをぶつけるというテクニックによって政治家のホンネや人間性を抉り出すことができれば、それは素晴らしい仕事である。

だからといって、不躾な質問をしたりわざと失礼な態度をとって相手を怒らせることは正しいことなのだろうか。あえて太田氏の胸中を想像すると「あまり政治に詳しくない自分が大物に直撃するんだから、ひとつブチがますしかないだろう」ということだったのではないか。こうして話題になることは「しめしめ」ということなのか。

視聴者はどうなのだろう。こうしたやりとりを見て「よくやった、太田さん!」という層と、不愉快なものを見せられて辟易する層に別れるのではないだろうか。私は後者の立場。「もっとやりようがあったのではないか」「そんなものは見させられたくないな」(実際は見逃しているが)というところだ。

このエピソードが今後波紋を呼ぶかどうかに注目している。自民党は「あれも芸人さんの芸のひとつ」という大人の対応を見せるのか。それとも表立って抗議する姿勢をアピールするか。最悪なのは、表には見えない形でテレビ局に圧力をかけて、太田氏の今後の業務にプレッシャーをかけることだろう。

炎上が続いたらTBSはどうするのか。「失礼な文言があった」と謝罪するのは簡単だろうが、そうするとこれからは芸人さんがこうした時事問題に発言する際に忖度を重ねることにつながりかねない。

いずれにしても選挙結果の伝え方とキャスティングに疑問を投げかけるという後味の悪い結果になった。
(21/11/1)


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