彗星は流れない
還暦を過ぎたいまでも彗星(ほうき星)を肉眼で見たことがない。
有名なのはあのハレー彗星。しかし前回1986年の接近時はあまり尾が長くなかったそうだし、次に来る際には98歳になっている計算なので、まあ見られないだろうな。
現在接近中で観測のチャンスがあるのは「紫金山・アトラス彗星」というのだそうな。テレビや新聞にはしっかり尾まで映った写真が出てくる。「おお、それならば」と先日の帰宅後にマンション上層階のパブリックスペースに昇って西方を眺めてみたものの、発見には至らなかった。都会の明るい空ではあまり目立たないのかもしれないし、曇っていたのかもしれない。
ひとつ誤解していたことがある。なんとなく彗星というものはあのように尾を引きながら空をよぎっていくものかと思っていたが、どうもそうではなく、尾を残したまま空に留まっているらしい。
こう思い込むウラには理由がある。「あのように尾を引くのは動いているもの」というマンガ表現のお約束をリアルに適用してしまっている。そう、彗星は流星ではないのだ。
似たケースにオーロラがある。もちろんこちらもテレビでしか見たことがないのだが、あのユラユラと動く姿が実際のスピードなのか、それとも早送りやスローなのか、さっぱりわからないのだ。
メディアが発達すれば、リアルで接触できないことにも触れることができる。しかしそこにはやはりメディアの“文法”というバイアスがかかってしまうのだな。
(24/10/17)
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