イベント後記『カフェ・つなが~る#1』
「やっぱり、横のつながりが欲しいですね。」
公立諏訪東京理科大学の学生と偶然出会ったわたしたちは、彼の一言で、彼らと一緒に、これをイベントにしてしまおうと企画が始まりました。
長野県内にはたくさんの大学が点在しています。
総合大学もあれば専門的な大学もあり、学部学科もさまざま。その分色々な経験・価値観・思考プロセスを持った学生がいて、キャンパスのある地域はその特徴がまちに表れていることもあります。
しかしそれらはまだ、「点」に過ぎないのです。
それぞれはとてもユニークなのに、そのユニークさの形は変わることなく、波及することなく、ただそこに在るだけ。
わたしたちは、それらの「点」がつながり、それぞれのユニークさが相互作用を起こすことで、新しい何かが生まれる、そんな世界をにやにやと想像しながら、「カフェ・つなが~る」を開催しました。
「カフェ・つなが~る」って、なに?
「カフェ・つなが~る」のいちばんの目的は、「新しいつながりを生む」ことです。
一見ありきたりに思えますが、私たちが考える「つながり」とは単なる「顔見知り」「友達」ではなく、「心理的安全性を備えた関係性」のこと。
「心理的安全性を備えた関係性」とは何か?
何かに一歩を踏み出したとき、応援してくれること。応援し合えること。
いつもよりちょっとだけマジメな話をしたとき、自分のことのように考えてくれること。
お互いにリスペクトし合えること。
そんな関係性がどんどん生まれていく場が、大学の枠を超えた先にあってほしい。
今回のイベントは、そのきっかけになってくれるだろうと、確信しています。
どんなことをするの?
「カフェ・つなが~る #1 」は、あらかじめ用意したトークテーマに沿って、4人ずつのグループで対話を行うというものです。
グループ対話は20分間を2回行い、1回目に「選択制クエスチョン」=自分の考えに基づいてどちらか一方を選び、自分の立場を主張するものと、2回目に「オープンクエスチョン」=自分なりの考えを、自分の言葉で主張する、という流れで行っていきました。
「選択制クエスチョン」は、自分の主張を明言しやすいですし、2択なので仲間が意識が生まれやすい。
「オープンクエスチョン」は、場が温まってから生まれる「もっと話したい....!」という欲求を満たしてくれる役割があります。
初対面から関係性を築いていくためには、段階をしっかりと踏んでいく必要があるのです。
今回設定したトークテーマは「選択制クエスチョン」に、「一人の時間と、複数人といる時間と、どのくらいの割合が理想?」というものや、「注文した料理と違うものが出てきた。店員に伝える?伝えない?」など、参加者の価値観が表れやすいものを選んでいます。
また「オープンクエスチョン」には、「現代において文系と理系に分かれる意味って?」や、「選挙に行ったかどうか」など、かなり突っ込んだ質問も多々。より対話が広がるような設計になっています。
実際に生まれた対話と関係性
「新しいつながりを生む」きっかけになればと思い企画した「カフェ・つなが~る」。
今回は全員で12名3グループと、まあまあな規模で開催することができました。参加大学・学部も多種多様で、信州大学・長野県立大学・諏訪東京理科大学・東京学芸大学から、理系文系問わず集まっていただきました。
今まで、他大学の学生とほとんど接したことが無かった学生も多く、考え方・価値観の違いに驚いた学生もいたようです。
それでも、驚きの中に面白さ、可能性を見つけ出し、より相手のことを知ろうと、自分のことを伝えようとする空気感が、そこにはあったのです。
あるグループでは、すべてのトークテーマに対して全員がより多くの意見をを出し、それぞれのスタンス・価値観を多角的に捉えようとしていたり。
あるグループでは、一つのテーマを徹底的に深め、それぞれの主張の「なぜ」に向き合っていたり。
あるグループでは、テーマから見えてくる「人」の部分を抽出して、その人の本質を見出していったり。
グループによって、個人個人によって、「場」への向き合い方がその数だけ存在していることに、とても面白さを感じ、わくわくしたのです。
そして一人一人の関係性は、「赤の他人」から「知り合い」となり、さらに「尊重し、理解しようとしてくれる仲間」になったように感じています。
その関係性は、もしかすると一過性のものかもしれませんが、一過性の発現は「きっかけ」ともなり得ます。この関係性から一歩飛び出して、ホンモノのつながりを作ることもできるでしょうし、たとえ一過性のままだとしても、それが積み重なれば持続的なつながりとなります。
今回の「カフェ・つなが~る #1 」で、「新しいつながりを生む」ことに少しでも近づいているのであれば、願ったり叶ったり、ですね。
「カフェ・つなが~る」のこれから
「対話」の時間が終わり、イベントとしての時間が終わったあと、わたしたちはもうひとつ、「場」を用意していました。
それが、「放課後」です。
放課後とは一般的に、授業が終わって「やらなきゃいけない」から解放されたあとの、自由な時間のことを指します。
「カフェ・つなが~る」では、参加者の皆さんに「対話をする」という義務を課していました。それは、参加者に対して「こうなってほしい」を達成してもらうために必要な要素ですし、皆で意図的に場を作り上げることで生まれる価値は必ずあります。
しかし、意図しない「場」でしか生まれない価値もあると思うのです。
今回設けた「放課後」は、事前には周知していません。残りたい人は残り、用事がある人は帰る、そんな自由度の高さを大事にし、話す内容も一切決めません。
企画の「対話」の時間によって温めてきた場と、「自分のこと、もっと話してみようかな」と思うようになった変化。それが、全く自由な「放課後」の時間によって、どんどんと形になって、表に出てくるようになったのです。
わたしたちは、そのような2種類の場が引き起こす相乗効果と、それによって生まれる価値を大切にしていて、これからも大切にしていきたいなと、思っていたりします。
これからは「カフェ・つなが~る」の「一過性」を積み上げて、もっと長くて、もっと深いつながりが生まれるような場を提供、いや、一緒に作っていきたい。その先に、もっと面白くて、わくわくする場ができあがっていくと思うのです。
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