言えない本音

コミュニケーション能力が高い社会適合者の私は、言っていい事と悪い事の区別が明確につくので、外では口が裂けても言わないセリフが沢山ある。これは裏表のある性格ではなく、何より相手に不愉快な思いをさせたくない思いやりの心から来ている心遣い。八方美人で使い分けているだけ。

凄い美人でも資産家令嬢でもないけれど、結婚以前に交際相手に事欠いた体験もなく、常にアクティブゾーンのいい男は周囲に沢山いた環境だった。夫も小学生の頃からラブレターを貰いまくりで、交際相手に立候補してくる女性はいくらでも周囲にいた。そんな夫婦の間に生まれた我が子は、マッチングアプリや結婚相談所の世話になる事はないだろうなあ、とタカをくくっている。特に女性の恋愛においては、持って生まれた器量より、セルフプロデュース能力の高さが勝敗を決める。白馬に乗った王子様が並み居る美女を差し置いて自分を選んでくれるという根拠のない自信もないのに、自分でも気づかない良さに気づく男が自分を選ぶ迄待ってるつもりのような女性を見ると、「シンデレラ」を子どもに読ませちゃダメだとつくづく思う。

社会の半分は異性で、若い頃は学校や職場に同世代の独身者はザクザクいる。日々の暮らしの中で男女問わず仲良くなり、極々自然の流れで自分の好みのいけてる男性と付き合う事になる。同じ環境にいるのに「いい男がいない」と言う独女の呟きがピンとこない。パートナーがきれない人にとっては、恋人の存在は朝起きて歯を磨くのと同じレベルの必然で、地図にない山奥でひとり暮らししてるわけでもないのに、長年恋人が出来ない方が不思議。

「いい男がいない」と嘆くグループに所属していた女友達が富士通との合コンで知り合った技術者と結婚した。交際時から猛反対して彼を批判した女性は十年経っても独女で、応援した女性は既婚者になった。独女グループから抜けるのを祝福出来る女性は脱会し、祝福出来ない女性は留まる。「いい男がいない」のではなくて、いい男に出会いたくても出会えない自分を認めたくないんだろう。独女を楽しむ女性は「いい男がいない」かどうかなんて眼中にもない。


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