敷島公園で朗読した詩

shhh

首の無い鳥が
吐き続ける女の髪

経血にまみれた爪が電線を掴むとき
一掃された天国がつぶさに盗聴される

ひっそりと殺される風
霊柩車にひかれる星
念入りに潰される森
火葬場にひかれる水

全てにおいて 割れ続ける窓
全てにおいて 倒れ続ける松
全てにおいて 悔やみ続ける墓地
全てにおいて 吐き続ける髪

顔面から凍てつく石が落ち
脳の中に音の無い雨が降る
黒い線が踝まで続いて
赤い処刑地で 銃が いかずちを 撃つ

残った鳥に散弾がめり込み
薔薇の無言の中で
静かな死を死ぬ
街を流れるあまりにも赤い川が
傷の中に出来た傷を洗う

その公園の細い足に
いくつもの爪が卒塔婆を彫る
愉悦の声が女を狂わせ
腫れてしまった瓦礫が
十分に濡れる

切り株を流れるどす黒い光が
沈みかけた西陽を
うつしては煌めく
(虫たちのたまごのように)

そこから孵化する
眼球の無い羽根
無数の殻が
黄昏を埋め尽くすとき

聞いているんだろう?
もはやおまえは形もなく無限でもない
ただ神話を下流する
一筋の下水路に過ぎない
闇の中に名前の無い異形を飼い
わくらばのふりをして
にやにやと吐き続け
無惨に甦るのを
受け身で濡れている子宮に過ぎない

すべてが忘却される
モノクロの老婆を囲む晩餐
皿の上に並べられた卵と指
が 掴む ウィッグ

黙りなさい
そして
叫びなさい
そして
闇に耳をすませろ

shhhhhhh

これは鳥の首をはねる女の
黒い笑い声だ

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(shhh...は息を吐く音)

#詩

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