twitterにアップした詩たち。 2019/2/1~2019/2/15
138
臨月の使い魔が
禍々しく笑って
素早く貯めた小
銭でストローラ
ーを鬻ぐ!果た
して赤子は呪い
か詩歌?裸の助
産婦が金色のス
ヌードを巻くか
らきっと可愛い
ソネット・しか
し誰かの期待通
りに魔法の呪文
が産まれ涅槃は
次の世代までお
預け。冒険に出
た一行は指笛だ
け上達してゆく
139
黎明 圧倒的黎明 圧倒的倒錯的黎明 圧倒的倒錯的頽廃的黎明 圧倒的倒錯的頽廃的開放的黎明 圧倒的倒錯的頽廃的開放的運命的黎明 悠久 伝説的悠久 伝説的散文的悠久 伝説的散文的蠱惑的悠久 伝説的散文的蠱惑的痙攣的悠久 象嵌 自発的象嵌 自発的爆発的象嵌 自発的爆発的啓発的象嵌 象嵌的悠久≦黎明
140
鳥は鳴いている
誰もいないのに
高く なめらかに
神様から吹く風の
次の季節のかおり
その音に羽を浮かべて
しかしあの鳥は
夜どこに寝るのか
誰にも知られずに
星よりも小さな
涙を落として
わたしはそれを
拭くことができない
141
鳥はなぜ鳴くのか
孤独な朝の飛行さえ 高らかに
あなたはなぜ泣くのか
誰にも知られずに
夜に消える 嗚咽を洩らし
鳥は神様から来た音を
神様に返すだけ
人は悲しみから来たものを
悲しみに返すだけ
永遠を手にしたせいで
人はいつも 淋しい
142
アリガトウッテイッタラ
サヨウナラッテイワレタ
コンニチハッテイッタラ
コンバンハッテイワレタ
アイシテルッテイッタラ
ダイキライッテイワレタ
マタアオウッテイッタラ
バカデスネッテイワレタ
バスデスヨッテイッタラ
ウルサイヨッテイワレタ
ダキシメテッテイッタラ
オマエカラッテイワレタ
143
夜の亀裂から
嬰児が片目を覗かせ
全ての痙攣が
伴侶の形をとる時
愛着が撞着の褥になって
羊水を飲み干す
前世の記憶がスクープされ
シーラカンスにも排卵があると
満月の周期に刻まれる
空では嬰児の眼が28日毎に
モールス信号の遺言をのこす
全ての父親の子宮のあるべき場所が
燃えるのが聴こえる
144
美しいあのひと
いつも新しいことを探し
いつもそこにいない人を褒め称え
いつも目上の人に丁寧で
いつも若い者に親切で
いつも溌剌としていた
美しいあのひと
なぜか歳をとらず
なぜかいつまでもお洒落で
なぜか若い話題を然り気無く知り
なぜか尽きない余裕があった
美しいあのひと
どこまでも自由で
どこまでも自分に厳しく
どこまでも思い遣りを抱き
どこまでもすぐに飛んでいった
美しいあのひと
なにも貪らなかった
なにも傷付けようとしなかった
なにも見捨てなかった
なにも諦めなかった
美しいあのひと
葬儀の日
晴れてるのに雪が降った
信じられないほど
たくさんのひとが
集(つど)った
どこまでも どこまでも
美しいあのひと
思いでまで
美しいあのひと
145
陽が暮れる前に
神様の名前を呼ぼう
ヴァーミリオンの丘で
電子演算の夢を観よう
ダフネの冠を そっと
天使のように載せよう
陽がくれる前に
光る泡を天に帰そう
そして流れる時を掬おう
波打ち際に万朶の鍵をならべて
美しい歌を拓こう
できれば上手に
接吻(くちづけ)をしながら
146
その女が濡れた路面電車の透明なパンタグラフに卵白を塗りたくる時、愛撫の得意な線路が剃刀の様に光る。予定時刻を過ぎても準急は俯せの侭だ。鉄塊にも頤や臀があり百足の様なドアがだらしなく開く。異質な者に支払われる誤謬が女の項に息を吹き掛ける。それは朝陽に反射する美しい蠕動である。
147
破られた約束が
時の渓流をながれ
円環しない世界へ
漂着しする
虚空に立てられた墓標に
刻まれるシニフィエを狙う
墓荒しの遺体 その手が
土を破り星を掴む
しかし
墜ちていたのは
彗星ではなく
燃え盛る経血
思弁と焼けた指が
輪廻の輪から外れ
言葉が死ぬとき
すべてが 異(け)なるい
148
胸のリボンをほどき
風を招き入れる
先端から生えた樹に
青鷹が巣を造る
幸せを求めて
どこまでも延びるエルム
そして少女は
同じ速度で登ってゆくので
いつまで蔑めない
鷹は間もなく空の騙し絵
高所恐怖症の彼女の
震えで揺れるネグリジェが
光る雲を
いつまでも履めずにいる
149
ロン 喰いタン ドラ3 満貫です
昔はアールシアール リーチ麻雀サンマ全自動卓チップ赤東風ワレメでポンそしてネット麻雀
女流プロがいなかったら
皆雀荘いかない?
あの臭くって煙くって
恐くって ふるえた
なつかしい時代は過ぎ
背中だけが煤け
ている
150
陽が暮れる前に
神様の名前を呼ぼう
ヴァーミリオンの丘で
電子演算の夢を観よう
ダフネの冠を そっと
天使のように載せよう
陽がくれる前に
光る泡を天に帰し
流れゆく 時を掬おう
波打ち際に万朶の鍵をならべ
美しい歌を拓こう
陽がくれる前に
接吻(くちづけ)をしながら
(推敲)
151
【undecided】
あなたは何も決めない
顔 声 立ち方 リズム 存在の
曖昧さ さえ決めない
天国が透過する輪郭
undecided
バルハラからジュピテルを経由して
ナハに至る
トラッドなユグドラシルは
もうすぐボイドタイム
早くリュウグウに行かなきゃ
undecided
延命措置は要らない
と云うのは嘘
誇らしく生きられるなら
無限の生き意地を張るでしょう
undecided
性欲について
言及しなければならない
獣と人間のアイノコが天使
天使は変態しマントラになる
その満月に人は欲情する
undecided
ディオファントスな
キスならあなたを傷付けないか?
解はない 甲斐がない
腑甲斐無い
undecided
本当は千頁は続けたいけれど
おやすみもしくはさよなら
もし世界の幽霊が
眉間に留まるなら(丁度蝶のように)
愛してるあなたを
undecided
undecided
152
【血液型占い】
4位 A型
清潔な闇が浸潤する予感。弁証法的帰結に思惟を持ち込まないで。
ラッキーアイテム
一幅のコンポジション
3位 B型
普遍的な象嵌が黎明の寓意になるチャンス到来。燃えるような詭弁になるでしょう。
ラッキーアイテム
蝦夷鹿のひかがみ
2位 AB型
虹色の蜘蛛が感性の皹に巣を張る一日。気になる哲学者の額を割ってみて。
ラッキーアイテム 風伯
1位 A型(RH-)
俯せで手淫する女性と懇意になれる日。行い次第で火教の偶像と邂逅できるかも?
ラッキーアイテム
アマデウスの鑰
153
地平線に夜が生えて
柔らかい惑星が掌に収まる
時間が遅くなる
眼から沁み入る靄気
一日の記憶が細胞を濾過する
あれはいつのことだったっけ
たとえば最後のデジャヴ
たとえば最後の死
ありふれた日常の肉体よ
土を割り萌えろ
季節に祝福されて
生えてゆく
月
【萌芽】
154
57人の僧が
錫杖を鳴らし
一糸乱れず
行進してゆく
網代笠の群れ
反り立った左手の指
の爪の間に
寝巻きの少女が
飛翔と云う名の
墜落をする
しゃ ん
錫杖が鳴るたびに
彼女の葉は繁り
花が蜜を持ち
果実は潤ける
霜葉は今日の花より紅
如月 は きらきらと 横切り
風には冬の死のにおいがある
(推敲)
57人の僧が
錫杖を鳴らし
一糸乱れず
行進してゆく
網代笠の群れ
反り立った左手の指
の爪の間に
寝巻きの少女が
飛翔と云う名の
墜落をする
しゃ ん
錫杖が鳴るたびに
彼女の葉は繁り
花が蜜を持ち
果実は潤ける
霜葉は今日の花より紅
如月 は きらきらと 横切り
風には冬の死のにおいがある髪を撫でる
155
柔和なリズム
暖かい時の岸辺に
愛らしい頸椎の
引力の気稟を見る
あなたが優しいとき
過去の誰かのぬくみが
神経を通る光
その筒として
すべての嘘が暴かれ
遺伝子のように
無垢のうたになる
「無理しすぎませんように)
涙と優しさが
未来に
牽かれた
⠀
【引力】
156
宴の途中で抜け出して
あなたを静かに抱き締める
優しさなんて嘘っぱち
あなたが逝ったら僕がいや
所詮は自分がかわゆい身
静かな道は遠けれど
命の声だけ放(ひ)りましょう
切ない事も少なくないが
あんなに庇った人でさえ
何時かは離れてゆくのなら
宴を途中で抜け出して
夜の光を飲みましょう
157
お帰り
ここがあなたの沖/燠
一秒と一秒のはざまに
無限の海猫がいる
(羽毛の散る 夜の手触り)
それは幻影の帆
万華の望遠鏡
美麗な蛇の舵
カトラリーの碇
灯油ストーブの櫂
羅針盤の亡霊
それらを
漂流している少年
の背中
に貼りついた
白い羽
158
処女が顔を上げ膝立ちになる時、トラファルガーはのそのそと何処かへ帰ってゆく。その犬を見たものは彼女の他に無い。彼女の涙を誰も見たことが無いのとまるで同じように。眼帯の裏側には沈丁花の絵が描かれていると云う。
【沈丁花】
159
【analyze】
明日に開いた
空洞から
赤くて
粘性の愛が
ぼた ぼた と。
それは
石/意思の裏側の
匂いがする
火焔が
生物の様に
蝟集し
美しい少年の
尾骶骨を舐める
暁音が姦しい
私の視界の
閑寂
その人工的な甘さ
ゾンビとファックする
様な
光
蛍ほどの希望を
分析する
テーブルに乗る
血
160
オーロラの皮革を纏った地球儀が
浮かぶ密林の銀河
優しく光を撫でると
夜の汀から膵液が滲む
決してオゾンに
直接触れてはならない
それは未だ
ひどく繊細だから
紅潮するNebula
に 挟まれ
憧憬に
「丁寧に」
冒されたいと
夢見る星雲に
蒼い彗星が
過った
【彗星】
161
【Decay】
放たれたラングの
風に猛る間際
蝋燭の足掻きのような
最後の跳梁がある
衰退する子韻に
新たな意味が重なり
無限退行を遺し
言葉は逝く ゆっくりと
人もまたそうであるか
動物は?植物は?鉱物は?現象は?観念は?関係は?感情は?神仏は?愛は?星は?
どのように役目を終えるのか
その時わたしがどのような顔を
しないのか
わたしには分からない
162
あなたの文章の
美しい水晶体の
少し持ち重りのする
。
を奪ってしまったから
あなたは、もはや、永遠。
それからあなたの
黝く なめらかな 、
も奪ってしまったから
あなたは、もはや、息継ぎも出来ない。
そしてあなたの
凡ての「」を
()に入れ換えておきましたので
あなたは、もはや、音を失い。
かように人は
文章体と言えるほど
文字で出来ていて。
文字は音と絵と意味と
神様で出来ていて。
あなたはつまり神様で。
未来の写る。
をおかえししましょう。
光るくちうつしで。
さよならが来た方が
良いと解っている。
【句読点】
163
【風師】風に名前を付ける職業に転職した。偏西風や「いなさ」、夕嵐は諸先輩の傑作である。新しい気圧を探して日本のみならず世界を旅している。最近の仕事は「電荷風」と「ちすい」であるが、恥ずかしながら、まだあまり浸透していない。風を探す旅は概ね愉快である。現場が極寒の地でさえなければ。今は「マンブルコアおろし」と「睁風」「懶風」等を機関に申請している。認可が下りなければ給料がもらえない世知辛い仕事だ。しかし今のところ辞めることも考えていない。風になってしまったあの女を見つけるまで乾き続けなければならない。生きながら流れる空気、羨ましい限り。
164
【バウダーテイル】
雪のつぎの晴れた日は
自動車が光の尾を放つ
涙があまりにも冷え
結晶して降るなら
ルーフに積り
青が来る度に零れる
ダイヤモンドダスト
それは神の楽譜
路上にばら撒かれた感情は
誰のものか?
後続車が舞い上げ
沈黙する暗喩
165
上手に転覆したボートは
水の裏側の神殿を見る
サニティが手の届かない海底へ
流れてゆくのを聴く
為す術もなく
船がまた浮力に侵されたら
次は星空の影
あまりにも短い滑走路
あまりにも深い入道雲
あまりにも儚い原生林
あまりにも旧い紡錘形
あまりにも速い大聖堂
あまりにも光る
風
166
飛翔する滑走路です。
滑空する地割れです。
鳥達の法律です。
12面体の雨雲です。
南中の常夜灯です。
氷の暖炉です。
液体のレインコートです。
透明な楽譜です。
繋がれた自由です。
煌めく闇黒です。
和風なエシャロットです。
柔らかい包丁です。
濡れそぼつ太陽です。
燃える水溜まりです。
生意気な優しさです。
美しい汚点です。
年老いた新芽です。
仕舞われた混沌です。
楽器のない和音です。
指揮者の無い扇動です。
頑是ない希望です。
羽根の無い人魚です。
真空の焔です。
暖かい痛覚です。
此れをお読みのあなたは
その様なお方です。
167
カトレヤを手折って
あの娘にあげよう
汀で泣く
蒼いリメルの
少女
ヘリオセントリズムを
まだ信じているの?
今、世界の中心は
観察眼そのもの
マキアージュが何故
男性名詞なのか
考えたことのある
眼差し
洋ランが
静かに馨りを放つ
その頭上を囀ずる
鳥たちの
薄紫の瞳
mascara
流れる
168
【Hay Fever】
透明な朝に
春の香りが混じる
もはや
誰も傷つけない
卑怯な詩/死を
いつまでも
垂れ流すわけにはいかない
暇さえあれば灰皿の中の
サランラップを燃やすような
グロスインクを飲むような
銀紙を咬み千切るような
恋をしたい 家内と
優しさと弱さを混同して
花粉のベッドで縺れ合いたい
春は地獄だろ babe
ぽっちゃりとした背中に
キスマークもしくは歯形附けたい
そんな透明な朝
アレルギーと交合う
入り口で弾けちゃうぜ
もう
169
さよならの時間が
ゆっくりと夕方を連れてくる
曖昧な日常が
網のモアレの様に
あかい
あまねき動物達の唱和
今あなたが
そこに そうしてある奇跡
と秘蹟
の
ホーリーホーリーホーリーソング
愉しい時は瞬く間に過ぎ
杉の戸を開けて
聖なる山麓から
下りてきた生き物たちに
夕餉とキスをする時間
170
【ある姉弟】
砂浜。セーラー服の美少年と燕尾服の美少女(二人ともブロンドの髪)が手を繋いで波に背を向けている。
少年「もう帰ろうよ、姉さん」
少女「ええ、そうね、けれど道が分からなくなってしまったわ」
少年「そうだね。けれど、砂浜の中だけは足跡があるから、潮が満ちる前に行けるところまで行こう」
桟橋。一艘の粗末なボートがもやわれている。
少年「姉さん、僕たちは船では来ていないのに、何故足跡はここでとぎれるの?」
少女「それはお前の記憶違いよ。私たちはあの島からこのボートを漕いできたじゃない。ほらそこに、お前の栗毛が落ちているでしょう?」
少女は彼方の島とボートの中をゆっくり、交互に指差す。
少年「そうだったっけ。まあ、どっちでも良いや。ではあの島に帰ろう、姉さん。」
無人島。陽が暮れかけている。
少年「姉さん、僕たちの家がないよ」
少女「おかしいわね。朝まではあったのに。」
少年「こんなことになったのも姉さんのせいだよ」
少女「そうね。申し訳ないわ。もしかしたら島を間違えたのかもしれないわね。今から戻りましょう。先程の浜へ」
海。夜。灯台が遠くに見える。
少年「姉さん、さっきから、灯台がどんどん離れているよ」
姉は寝ている。少年も漕ぐのを止めて寝る。
朝。海。空腹で起きる少年。少女がいない。燕尾服だけボートに脱ぎ捨てられている。狼狽する少年。その時大きな海老を掴んだ全裸の少女が波間から右腕と顔を出す。
遠くで蜃気楼が揺れる。金色の髪が少女の頬に貼り付いている。少年は祖父母の事を考えている。
171
優しい雨が
ハードカバーに降る
棚の中に小さい
平和が
睡っている
【コロニアルビブリオテック、或いは憂鬱のエタジェールが尭風舜雨を仕舞う迄】
172
【nutrition】
エネルギー558kcal2335kJ水分0.5gたんぱく質6.9gアミノ酸組成によるたんぱく質(5.8)g脂質34.1gトリアシルグリセロール当量32.8g炭水化物55.8g灰分1.8g
ナトリウム64mgカリウム440mgカルシウム240mgマグネシウム74mgリン240mg鉄2.4mg亜鉛1.6mg銅0.55mgマンガン0.41mgヨウ素19μg
サンチン0μgβ−カロテン当量37μgレチノール活性当量66μgD1.0μgEトコフェロールα0.7mgβTrmgγ6.5mgδ0.4mgK6μgB10.19mgB20.41mgナイアシン1.2mgナイアシン当量(2.8)mgB60.11mgB12-μg
葉酸18μgパントテン酸1.56mgビオチン7.6μgC(0)mg脂肪酸飽和19.88g一価不飽和10.38g多価不飽和1.08gコレステロール19mg単糖当量(59.3)g食物繊維水溶性1.0g不溶性2.9g総量3.9g食塩相当量0.2gアルコール0g
※但し依存性を問わず恋愛感情は含まれない
173
【赤い部屋】
白いドレスの少女が
赤い部屋で躍る。
ベルベットのソファ
燕尾服の侏儒。
侏儒の為の小さな藤椅子。
所有者の無いのグランドピアノ。
何処にも繋がっていないドアから巨人症の異人が
首を折り曲げて入室する。
窓のないカーテンの裏側は
部屋の西端と東端を繋げる。
楽団のない音楽が鳴り
少女がワンピースの
背中のフックを
器用に外す。
暗転。
赤は闇の中でも赤い。
少女の躍り続ける衣擦れ。
脱がれたドレスを
何処かに持ち去る小人。
下界ではクーパー捜査官が
トゥースペイストを
絞り出して
嗤う
174
光の子供たちが
わたしのミリューを祝福する
喜びの華の中に
少女の妖精が眠っていた
煉瓦造りの塔
そこから吹く風に
マリーゴールドが揺れる
夢の世界では、
延命カプセルが
脳幹に刺さっている。
生温い液体に浸かって
夢を見た夢を見る。
コポコポと窒素が口から昇る。
夢において
性的なプログラムは見ない
ことにしている。
苦手なのだ。
過剰に美しい女性は
緊張する。
黄色い花束
白いティアラ
甘い香りがする
わたしは
今見ていた夢を
どうしても
思い出せない
【virtuel】
175
【あの日々と空】
罅割れた陽炎が
波濤に揺らぐ未明
尋常なサイレンが
零れたエーテルを祓う
棘を抜くように
丁寧に韻を践まない
言葉から血が滲む
垂れないように蛾に吸わせ
脈動を陵辱したい
鱗粉が血小板と
聖歌を詠唱する
女神は誉れに塗れましませ
この凡百は泥の言葉を啜るのだから
所で外は
山の端に殻の無い卵が墜ちる
地球が米かフライパンかで
配偶者が吼える
余ってしまった
手を濡らすエーテルを敷くのだから
それは熱い鉄塊である
錬成したポーチドエッグと
ゆっくり、接吻しよう
鯘れた太陽に食中り
大量の意味を吐瀉する
う
う
う
鵜のように
翔びたつ。
そして相似形の汀に
白い刻が響く
荘厳な曇天に一羽の風
浄土の梯子
顫える湧光の回路
に停まる美しい蛾
わすれない
あの日々の
灼えるような
空
いつか詩集を出したいと思っています。その資金に充てさせていただきますので、よろしければサポートをお願いいたします。