僕の好きな詩について 第二十三回 高階杞一
僕の好きな詩について語るノート第二十三回は、高階杞一(たかしなきいち)氏です。
恐らく、詩を書いたり読んだりしないかたにはあまり知られてないんじゃないかと思うのですが、素晴らしい詩がいっぱいある詩人さんです。
では今回の詩をどうぞ。
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「サイの川原」高階杞一
賽の河原
というと
サイのいる河原だと思ってた
なんてことはないけれど
ほんとうに
その川の川べりにサイがいっぱい集まって
水浴びなんぞしていたら
おもしろい
まわりには
カバやキリンなんかもいたりして
死んでいった親しい人や
犬や
祖母
みんな
川のあっち側に行ってしまったけれど
そっちにも
サイはいる?
返事はしない
ただ
水が
きらきら きらきらと 光ってるんだ
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高階氏はH氏賞受賞者で、詩誌「びーぐる」の創設者のおひとりです。キリンを洗濯したり、空に椅子があったりとファンタジー感のある詩風でしたが、4歳になる直前の息子さんを亡くし、悲しみが詩を覆います。
悲しみの感情を原動力にした詩を書く詩人は多いですね。たとえば、中原中也、高村光太郎、宮沢賢治などなど。
強い感情が詩を美しくするのは何故でしょう。詩を書くことが詩人を救うのはなぜでしょう。
芥川が言うように芸術は不道徳だとされた時代もありました。
でも今日(こんにち)の芸術は優しい。僕はそう思います。
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