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ドラマティックな夜
今日はすこしのいいことと
少しの嫌なことがあった
帰り道、なんとなくひっぱり出して聴いた
何年か前の沢木耕太郎のミッドナイトエクスプレス
クリスマスのラジオだから全くの季節はずれだ
彼の本を読み世界に憧れた世代なので
今になっても未だにあの頃の感覚を思い出すようで
時々聴きたくなる
意味のない話だけど話したかったんだよねと
それを嬉しそうに語る不思議にちょっと甘い声
程よく懐かしい選曲
独特のテンポのある語り口に
電車の中の人々の姿さえ、ドラマチックに思える
ホームに滑り込む電車
キンと冷えた空気から外へ出ると
夏のぼやけた夜のの熱気が
ボワっと目に見えるように押し寄せる
前を歩く帰宅を急ぐ人々の足元だけを見る
改札を出て外に出ると
雲の隙間に満月なのか月明かりが見える
いつもと同じ景色が
今夜が少しだけ特別に思える
昔読んだ本の気配を思い出し
旅の途中のような浮遊感の中を歩く
さて
心地が良い
夜のひと時
もう少しだけ続きを聞いて寝ます
今日も明日も明後日も
私の人生の旅の途中
この道もあの道も
私の人生の歩む道
そんなことを時々思い出したほうがいい
そうすると
いろいろなことがドラマティックに感じられる
時間の筋が
流れて見えるように思える