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【さっき見たヘンなユメ】未亡人
私は会社を抜け出して、地下にあるコンチネンタルなカフェで未亡人とマルコポーロ紅茶を飲んでいる。
彼女は、真っ白なプルオーバーに、ベージュのフレアパンツ、ターコイズグリーンのイヤリングとブレスレットというコーディネート。一方の私は、上半身裸で、頭にはペラペラの防災頭巾をかぶり、巨大な茶封筒をズボンの代わりにはいていた。
未亡人は細めた目でこちらをちらちらと見ながら、煙草を2本ほどふかしたあと、バッグから硬式のボールを取り出して、「ドレンペン」という変化球の投げ方を私に教えてくれた。中指と薬指をV字に曲げて、そのくぼみにボールの縫い目をのせて投げるというテクニックだった。
彼女が長く美しい指で何度もボールの握り方を説明してくれたものの、私は香水と煙草のまざったきつい匂いにクラクラしてしまい、まったく頭に入ってこない。
目を覚ました私は、「ドレンペン」が気になってネットで検索してみたが、そんな変化球は存在するわけがなかった。
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