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「効いていなくても高重量を持てば勝手に筋肥大する」というのは本当か

トレーニングにおいて、筋肉に負荷を「効かせる、効かせない」について議論が巻き起こることがあります。

曰く、「効いていなくても高重量を持てば勝手に筋肥大する」と。
これが本当かどうか、今回検証していきましょう。


まず、ダンベルやバーベルなどの「ウエイト」を使って身体に負荷をかけることで、身体はその負荷に適応しようとして筋肉がついていくのですが、ここで考えたいのは、「ウエイトによる負荷を身体にかけたときに、負荷に反応するのは果たして筋肉だけなのか?」ということです。

人間を含む生物の身体は、筋肉以外にも、内臓、骨、腱、神経、血管など、様々な組織によって構成されています。


結論から言えば、ウエイトによる負荷を身体にかけると、上記の組織全てが反応します。


例えばですが、ベンチプレス100kgを持ち上げられる人を日本中から何人も集めたら、筋骨隆々の人から少し華奢な人まで、様々な体格の人が来ることでしょう。

仮に、ウエイトの負荷が筋肉にしかかからないとすれば、ベンチプレス100kgを持ち上げられる人は多少なりとも全員が同じような体格をしているはずです。

でも、実際はそうではないわけで。


これはなぜかと言うと、同じ100kgという重さを持つ場合でも、筋肉に負荷を乗せるのが上手い人もいれば、骨や腱、関節などに負荷を逃がすのが上手い人もいるためです。


筋肉に負荷を乗せるのが上手い人は、もちろん高重量を持っても筋肉に負荷を乗せるのが上手いので、問題なく筋肥大していくでしょう。


ですが、骨や腱、関節などに負荷を逃がすのが上手い人が高重量をひたすら追い求めていったとしたら、どうなるでしょうか?

そういう人は、筋肉から負荷を逃がすのがどんどん上手くなっていくので、高重量自体を持てるようになっても、なかなか思うような筋肥大はしないでしょう。


もちろん、一定レベル以上の高重量を持てるようになればそれなりに筋肉はつきます。
が、自己流のトレーニングで使用重量を更新し続けるのは至難の業です(そこで、パーソナルトレーニングによるコンディショニングやフォーム修正、トレーニングプログラムなどが必要になります)。


さて、前述したように、筋肉から負荷を逃がすのが上手い人が、自己流のトレーニングで高重量をとにかくやっていたらどうなるか。

結果は火を見るよりも明らか。
怪我をする上に、理想の筋肥大を得られることはないでしょう。


こういった方は、トレーニングで高重量を求めれば求めるほど、あるいは追い込めば追い込むほど、筋肉以外に負荷を逃がすのが上手くなっていくので、「追い込んでいるのに、実際には対象筋を追い込めていない」という事象が発生します(トレーナー的に言えば、「追い込めるコンディションにない状態」です)。

私は昔、腕のトレーニングが苦手だったとき、バーベルカール80kg以上でセットを組んでいましたが、当時腕の太さが40㎝を超えたことは一度もありませんでした。負荷が肩や背中、関節などに逃げてしまっていたからです。
まさに上記のような、「追い込んでいるのに、追い込めていない」状態でした。


これが、同じ「高重量を持つ」という行為を行っても、筋肥大の結果が全く異なる人たちが出てくる仕組みです。


よくフィットネス界では、「追い込む、追い込まない論争」や、「高重量が良いのか、それとも効かせるトレーニングが良いのか」なんて話題が上がりますが、まるで意味のない議論だと私は思います。
そもそもフォームもコンディショニング(アライメント)も人それぞれ段階が違うのですから、比較のしようがないのです。

「高重量を持っていれば筋肉がつく」という意見は、確かにそうなんですが、鵜呑みにすると上手くいかない人もいるんですよね。


フォームが整っていなければ、追い込みも高重量も、その効果がかなり薄れます。

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