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ボルダリングジムのグレード感
ジムのグレード感についての比較
この話はなかなか避けて通れないので書いておこうと思う。
わたしは月イチくらいで後輩たちともボルダリングに行く。集まりやすさを考慮してホームとは別のジムへ行くのだけど、このジムが、グレードが辛(から)いと有名なところ。0を平均的グレードとして±で強度を表現するならば、このジムは+1.5くらい。わたしのホームが-1くらいなので、両者の開きは最大2.5、解釈によっては3グレードくらい差がある。
実際、わたしはホームでは現行グレード2級くらい(最高初段)だが、辛いジムのほうだと5級までしか落としたことはない。そもそも混みすぎていてトライできていない、というのもあるけれど。…いや、でも、5級で十分シビアなんですわ…
ジムごとにグレードの付け方の違いもあるだろうと思うので、具体例をあげながら比較してみる。
(辛いジムのほうは「強ジム」と記載します)
■ホームのグレード感と課題
まずはホームから。
ホーム5級
想定ムーブは正対が基本。重ねた足換えや効かせ方を練習する課題が多いかな?色んなホールドに触ってみよう!という感じで、カチやスローパー、アンダーが出てくる。強傾斜も入門篇で、ガバホールドをしっかり持って登っていく。TOPからクライムダウンが困難な場合に備えて、この5級で安全に飛び降りる感覚を掴んでおけたのは良かった。なお、ホームは壁低いのでTOPからでもギリ飛び降りられるけど、もう少し高いとこはクライムダウンできない登り方しかできないなら登るな。
ホーム4級
スタートはフットホールドひとつとスメアが標準、1ホールド4点スタートなどのスタート核心、ダイアゴナルやハイステップ、デッド、レイバックなどの核心ムーブや、クロスや送りで安定する課題が出現。
ホールドの持ち感は悪くなり、効かせる方向がしっかり練られているため侮れない課題も多い。ムーブがわかりにくい課題などは、登りながら熟考してしまうことも。最近は手首を返してプッシュする系の課題もよく見る。
5級との差は大きく、初心者の方の登竜門。
ホーム3級
デッド、ランジ、ヒール、トゥ、フラッギング、スメアでの距離だしなど基本ムーブを正しく使わないと登れない課題がほとんど。
スラブはノーハンドでの立ち上がりやカチ課題、または絶妙に滑るボテスタートなど。
傾斜はスタートポジションが難しめになり、ヒールスタートやバランススタート、途中は胸や背中で止めさせるような課題が多く、上部でのムーブ要求があるのでメンタル核心系も。
ややグレード内の格差が大きい級。
リーチ差で想定から処理を変えないといけない課題も出てくる。たまに、すごく遠い。わたしは想定リーチ内なので、距離出しを求められる課題が出てくるのだと思う。
ホーム2級
ザ・クライミング!という感じのポジションばかりになる。
ダイノ、サイファー想定も出現。スラブはノーハンドの手に足核心、傾斜はボテやスローパーなど手の悪いところでのデッドやランジなどが主流。
TOPがジブス(通常フットにしか使われないような、持つところのない極薄ホールド)だったりしてバランス力を問われる。
また、想定で足を切ってぶら下がるキャンパ入門みたいな課題も多い。
カチ系はバランシーなものの保持感が良いのでやさしく感じる。
ホーム1級〜
ダブルダイノ、コーディネーションや強い保持を必要とする課題が多くなってくる。わたしはまだ語れるほどトライしてない。今月はハイステップ極小カチ(粒)乗り込みランジが怖くてできないでいる。
ちなみにセッターさんに聞いたところによると、安全のためバッドハング(トウでぶら下がるムーブ)は禁止らしい。3段まで行ってもトリッキーな課題は少なく、極薄カチ課題など真っ向勝負系課題が多いと思う。
■強ジムのグレード感と課題
一緒に行く後輩たちは皆初めてから始めてくれたので、初心者イメージがつきやすいよう後輩たちの様子も併せて紹介する。
強ジム8級
このジムで一番下のグレード。みんな初日で登れていた。
でもスタート4点指定、足指定。セパスタも普通にある。
強ジム7級
後輩たちはトライする課題の半分は登れない。8級と7級の間に5グレードくらいの体感差がある。よもやよもや。
スラブ上部で手に足からのノーハンド立ち上がり(7級で!?)とか、ガチなカチ(粒)踏みもあるし、マントルもあるし、ムーブなしでは対応の難しい距離出しなどもいる。ホームならこれ易しめの3級に滑り込むかも?っていう課題もいる。ホームとはグレードに対応するムーブの考え方が違うんだろう。
強ジム6級
ここまで4回くらい開催してるけど、完登した子は今のところほぼいない。
背の高い(185cm)男子が迂回ルート課題をスタートからゴールへの垂直ジャンプでクリアしたのと、4回目に傾斜ガバをクリアした男子がいるくらい。
内容はと言うと、スラブ、垂壁、弱傾斜あたりはムーブができないと登れない。距離が遠くなり、正しく効かせる系ムーブが多くなる。あと、単純に怖い課題が多い🥲手も足も滑りやすいホールドが多くて滑落しそうになる。
一方で、強傾斜やルーフはホールドがガバガバなので難易度が格段に下がる。ホームの6級と同レベルのものもあり、体感、6級の中に3グレードくらい幅がある気がする。
ホームで現行グレード2級のわたしが気持ちよくこなせるのはここまで。正直この級でもスラブ系は怖い。「お手本見せて」って言われるけど、二度と登りたくない課題が多くてごめんよ。
ホームだと始めて数回の子が詰まるのは平均して4級くらいからなので、やはり2グレード差はあると思う。
強ジム5級
ランジもダイノもコーディネーションも出てくる(早いわー)。わたしはダイナミックができないのでこのグレードでひっかかる。
助走ジャンプスタートもよく見かける。ただ、この前トライしたら、ばっちり届いているのにスタートホールドまったく保持れず。核心はジャンプじゃないのか…と絶望した。
ルーフは両足切る前提のパワフル課題も多い。5級ってこんなんだっけ。
こちらもグレード感が広い。ホームと比較すると、3級〜1級くらい。
強ジム4級以上
トライしたことがない。。
人混みでオブザべできず、スタート位置が見えない。
ということで、なんというかまあ、シブい。
平均的なグレード感だと5級が登竜門とされているが、ここは7級がすでに壁。6級が登竜門かな?
後輩たちは運動系部活だった子や筋トレをがっつりしている子なので本来結構強い子たち。強ジムだとこうなる、という感じ。高所に恐怖する子もいないし、ホームに連れていったら3級でも登れる課題があるのではないかな。
グレードの基準
わたしのホームは基準が割と明確だし、リーチがよく考えられているなと思う。恐らく全課題で155cm〜170cmくらいを基準にしているはず。一方で170cm以上だと想定をスキップできてしまうことも多いのでグレード感は下がる。だから甘いって言われるんじゃないだろうか。
とはいえ、150cm前後の常連の女性陣は本当に本当に強い。
え、そのカチで跳ぶの!?え、その体勢から乗り込み!?そこ直登するの!?え、膝でホールドに乗りこんでる!?ああ、ほぼキャンパで行けちゃいますそこ??あ、スメアって言うより壁だけで登ってますね…みたいなムーブを選択している。しないと届かないからだけれど、いつも心の中で「つっっっっっよ……!!!」と叫んでいる。
強ジムのほうは若い方が多い。
ダイナミックで映える課題も多いし、コンペ壁もあるので、セッションをしにグループで来ている人が多い。
そしてリーチやパワーは男性向けを想定されているものが多いように思う。7級や6級でも、スタティックでは届かない課題や、保持できる体勢に入れない課題が結構ある。そのグレードでわたしのリーチ(159cm)で大きめの振りやデッドやジャンプが必須なのは流石に容赦なさすぎるのでは。
向かう先は男子ボルダーコンペや大会、というイメージの課題が多いので、上級グレードは充実しているが、初級グレードは幅広すぎてグレーディングの意味をあまり成していない、ということなのだと思う。
グレードの設定はジムごとに違って良いと思う。ただ新しく始める人たちが続けやすい環境もあるといいよね、とも思う。ホームはスタッフさんが割と教えてくれるしひとりでも行きやすいけど、強ジムは初心者がひとりで通うには強靭なメンタルが必要な気がする。
わたしも初めて強ジムへ連れて行ってもらった時はほとんど何も登れなくて、友人が「面白スタートでスタートポジションだけ取ろうよ」と斬新な楽しみ方を見つけてくれなければ、行きたくないジムになっていた可能性が高い。
強ジムは壁の形状が様々なので、6級くらいでもスタートポジションが背面であったりボテ乗りだったりと、難度はそこそこで楽しいスタート課題が多い。
スメアなしの4点指定なのも、様々な身体の使い方を考えるきっかけになるし、全体的に良質な課題が多いのだけれど、いかんせんある程度のレベルにならないとそこに気づけない。ゲームで言うならチュートリアルが難しすぎて本編が始まらないというか。
だらだらと書いてしまったが、グレード感考察は面白いのでたくさんのジムに行ってみることをおすすめする。
ただほとんどのジムで入会登録が必要なのがハードルなんだよなあ…登録作業が結構煩わしい。安全ビデオ視聴必須のところも多いし。
わたしはホームで月会費を選択しているから、他のジムに行くと完全にプラスオンの費用になってしまう。それでも、ホームばかりだと苦手が固定化されちゃうし、これからも色々試して見ようと思う。