コンビニに裏切られた話
「なんで前の日の晩に言うのよ!」
こどもの頃、うっかり娘ときっちり母のギャップを埋めてくれる救世主が、コンビニだった。
「あした図工でぼうし作るから、カップめんのいれものもってきなさいって言われた」
「明日の調理実習で花寿司(郷土料理で花模様に仕上がる巻き寿司のこと)作るんだけど、うちに”すしのこ”ってある?」
「あるわけないじゃない!
なんでいま言うの!
何時だと思ってるの!」
…寝る前なので、すでに20時とかになっている。
近所にスーパーはなく、自転車で10分ほどの場所に、
子どもたちを置いて行くはずもなかった。
プリプリした母が向かうのは大抵、
家のすぐ近くのコンビニだった。
カップ麺の空き容器も、すしのこも、あった。
「次はないんだからね!
もう!もっと早く言いなさいよ!」
あれから、30年。
大学芋を作っていたら、アレがない。
最後に甘辛く煮詰めたら、アレだ。
よし、買ってくるか、と気軽にでかけた。
行き先はもちろん、わたしの救世主コンビニ様だ。
1軒目、ない。
2軒目、ない。
あれ。きなことか、片栗粉とか、天ぷら粉とか、
それ急に調達するかい?
ってものは、我が物顔で並んでるのに。
すしのこ、もあるのに。
レモンリキッドとか、オリーブオイルまである。
なのにアレはない。
3軒目も、ない。
「いい気分♪」にもなれず
「ほっと」することもできず
「あなたとコンビ」になることもできずで、
もはや、負け戦士のような気持ちでトボトボ歩いていたら、駅前のスーパーまで来てしまった。
ごま
ってコンビニに売ってないのですよ。(我が家の周辺は)
スーパーで白胡麻と黒胡麻両方買って、
ついでにノスタルジックにカップ麺も買って。
おかげで近所のコンビニラインナップにやたら詳しくなっちゃったよ。
あ、大学芋食べるんだった。
パラパラするはずが、ドバッといった。
(我が家の大学芋は照り照り感が足りない)
白胡麻も買ったから、手羽先も作ってやった!
ちょっとおせっかいしたあの子のお家へ、夕方お届けしてきます。予定日より2週間も早く出てきて、テンパリ中のパパ、頑張って!
皆さんからのサポートは、子どもたちと新しい体験をしたり、新たな学びのために使わせていただきます。