18XXへようこそ
はじめに
ドウモ鉄道ゲーム大好き えのぞうです。
noteでもいくつか記事を書いておりますが、18XXと呼ばれる一連のゲーム群をほんの少しだけ嗜んでおります。一度プレイすれば理解しやすいのですが、かつて18XXシリーズデビューの人と1846をプレイするためにルール説明した時には、1時間超えという説明する方も聞く方も悶えるような時間を過ごしました(遊んでみたら気に入って頂けたようですが)。
そんなわけで、うまいこと説明時間を短縮できるような方法があればなぁ、と思ったのがこの記事を書くきっかけ。
ゲームの骨格そのものはわかりやすいのですが、ゲーム毎にその地域、時代の特色を表すルールが異なり(そりゃそうだ)、かつそれがゲーム中の判断に影響するため端折れない、というのがあったり、ゲーム内時間の流れ(フェイズの進展)によって会社がなくなったりラウンドが増えたり、できること・できないことが変わったりするのが説明時間を長くしてしまう要因なのです。
ほいじゃ、どうやって短くするかを考えたら、最大公約数的な部分を記述する、類型を提示することによってゲームの流れを大掴みにできるものを用意する。それに予め目を通してもらってルールの説明に入るというのがよかろうと思ったわけですよ。
以下解説に入るわけですが、本サマリはどういうゲームかを大掴みするのが目的のため、必ずゲームに応じた補足が必要となります。
Mayfair社版の1830(エラータイルもあり、まだルールを読めてない)、GMT社版の1846、1848の3つしかわたしが手元でルールを確認できるものがないため、類型の提示が不十分かと思います。コメントで「これを入れた方がよい」とか「こういうパターンもある」とか教えていただけると大変助かります。
また、好みの問題で恐縮ですが、用語は極力日本語にしたもの、わたしがルール訳出時に使用する語を用いて記述します。ルビで原語を振ってあるため、訳語が好みに合わない方は適宜読み替えてください。
ゲームの目的
ゲームの目的は「プレイヤー」の資産(手持ちの現金に保有株式の時価総額を加えたもの)を最大化することです。プレイヤーは鉄道会社を経営しますが、会社の資産は算入しません。
ゲームの終了条件は銀行の資金が枯渇したとき。ゲームによってはそれ以外の条件が加わります。ゲームの終了条件を満たした時点から、一連の運営ラウンドを行ってゲームは終了します。
個人的には銀行の資金枯渇までプレイしたことがありません。破産の可能性がなくなり、この先の展開が見通せるようになった段階で終了しています(銀行の資金がなくなるまで結構時間がかかるため)。
席順の決定
席順はランダムに決定されます。ゲームによっては登場する非公開会社がランダムに選択されるものもありますが、ゲーム開始後はランダムな要素はありません。株式ラウンドの手番は時計回りの順になります。
非公開会社の販売
非公開会社の販売からゲームは始まります。非公開会社とは、運営ラウンドに所有者に収入を与え、会社によっては特殊能力を持つ、ゲーム上株式を持たない会社です。
非公開会社は当初プレイヤーに所有されますが、ゲームが進展し株式会社が設立されると、プレイヤーが株式会社に非公開会社を売却することができます。株式会社が非公開会社を所有する場合、非公開会社からの収益は株式会社に入り、株式会社が特殊能力を使用できます。
非公開会社はゲームの進展(フェイズの進行)によって閉鎖されていきます。
非公開会社の販売はオークションによる購入、現在の設定価格(価格は変動します)での購入など、ゲームによって異なる方法で行われます。ゲームに登場する非公開会社が全て売れた場合、株式ラウンドに移りますが、全員の資金が枯渇して売れ残った非公開会社が存在する場合、強制的に手番のプレイヤーに引き取らせたり、運営ラウンドを挟んで再び売却が行われるゲームもあります。
非公開会社が特殊能力を保つ場合、下記のようなものがあります。
・特定の地形での線路敷設費用を無料にする、または減額する(回数制限に注意)
・無料で特定の地点にタイルを置くことができる(通常のタイル配置回数制限に入るか注意)
・特定の列車を安く購入できる
・特定の株式会社の株式を得る
・条件を満たすことで追加の収入を得ることができる
株式ラウンド
株式ラウンドでは株式会社の株式を売買することができます。各社の株式は10%株8枚と20%株1枚の合計9枚から成ります。20%株はゲームによって呼称が異なりますが、この株式を持っているプレイヤーがその会社を運営する(運営ラウンド参照)ことから社長株などと呼ばれます(ゲームによって原語もまちまちです。このサマリでは社長株で統一します)。
ゲーム開始時には株式市場には株式はなく、その株は銀行か株式会社が所有しています(ゲームによって異なります)。株式市場にある株式を購入する場合、時価額を銀行に支払います。銀行、ゲームによっては株式会社が保有する株式を購入した場合、初期株価で購入し、保有している方に対価を支払います。株式市場(ゲームによっては異なる名称の場合があります)に株式を売却した場合、売却した一株ごとに時価額を銀行から受け取ります。
手番には1社の株式を購入ないし売却するか、パスをします。
株式を購入する場合、1回の手番に1株購入することができます(例外としてある会社の株式が1株も売れていない場合、通常の2株分に相当する社長株を購入します)。会社の株価は予め決定されている場合もありますが、その会社の株式が初めて購入されるとき、購入するプレイヤーが株価を決定する場合もあります。
株式を売却する場合、1回の手番に1社だけ、売却制限(ゲームによって異なりますが、株式市場に各社何%の株式まであってもよいかが決まっています)を満たすのであれば何株でも売却できます。売却した場合、売却した10%株ごとにその株の時価額を銀行から受け取り、その後その会社の株価を下落させます。株式を売却したプレイヤーはその会社の株式を同一の株式ラウンド中に購入することはできません。
プレイヤーが保有できる株式の数には2つの制限があります。ひとつは1社の株式の所有制限。例えば、ある株式会社の株式を、一人のプレイヤーが60%を超えて購入できない、というものです。
もうひとつは各プレイヤーが所持できる株式の上限。例えば、20枚まで株式を保有できる、というものです。この上限数は株式会社が閉鎖(株価が0になるとその株式会社は閉鎖されます。ゲームによっては別な表現がされます)されるごとに保有上限が下がっていきます。制限を超えた場合、制限を満たすよう次の株式ラウンドで売却しなくてはなりません。
ある会社の株式を購入/売却したことで、最も多くその会社の株式を持つプレイヤーが変わった場合、社長の交代が発生します。前社長は現社長に社長株を渡し、かわりに10%株式を2枚受け取ります。
社長株の売却については各ゲームを参照してください。
プレイヤーがある株式会社の株式を購入した時点でその株式会社が設立されるゲームもあれば、その会社の株式の一定の割合がプレイヤーに購入されないと設立されないゲームもあります。この他に条件を満たさないと設立されない株式会社があるゲームもあります。
株式会社が設立されると、その会社の管理シート(ゲームによって名称が異なります)と駅トークン、所定の資金を受け取ります。この資金を用いて会社を運営するのです。受け取った駅トークンの一つをヘクスマップ上に記されたその会社の本拠地に置きます。
運営ラウンド
運営ラウンドには次のことが行われます。
1.非公開会社など(ゲームによっては非公開会社以外にも収益が発生する会社があります)から収益を得る
2.設立されており閉鎖していない株式会社は順番に1社ずつ下記内容を順番に行う(その株式会社の社長株を保有するプレイヤーがその会社の手番を行う)
2.1 線路を敷設する
2.2 列車を運行する
2.3 運行の収益を配当または留保する
2.4 配当に従って株価を変動させる
2.5 列車を購入する
手番株式会社による非公開会社の購入やすでに購入した非公開会社の特殊能力の使用はいつでもできます。また、ゲームによってはこれ以外にも可能なアクションがあります。
3.設立されており閉鎖されていないすべての株式会社が手番を行ったら次の株式ラウンドまたは運営ラウンドに進む。
上記手順の2の株式会社の手番では線路の敷設や列車購入のコストは株式会社保有の資金で支払います。設立された株式会社は最低1両は列車を保有しなければなりませんが、購入する資金が足りない場合、その会社の社長株を持っているプレイヤーが不足分を支払わなくてはなりません(ゲームによっては例外あり)。
列車の強制購入以外にも、ゲームによっては社長株を持つプレイヤーが個人の資産を提供しなければならない場合があります。
線路の敷設
線路はヘクスに線路タイルを置くことで敷設敷していきます。
線路タイルには黄色、緑色、茶色、灰色のものがあり、フェイズによって使用できるタイルの色が決まっています。黄色タイルから緑色、茶色、灰色の順に線路が増えたり都市に設置できる駅の数が増えていきます。タイルを置き換えることによって発展していく様子を表現しますが、必ず黄色から1段階ずつ置き換えなければなりません。
また、特定の場所にのみ配置できる、記号のついたタイルもあります。
タイルは以下の原則に従って配置することができます。
・自社の駅トークンが置かれた都市から線路がつながるようにしかタイルを置けない。
・都市のないヘクスに都市のあるタイルを置くことはできない。逆に都市のあるヘクスに都市のないタイルを置くこともできない。
・海や湖、ヘクスのないエリアに隣接するヘクスにタイルを置く場合、海や湖、ヘクスのないエリアに線路が印刷されていない限りそこにつなげるような線路タイルは置くことはできない。
・タイルを置き換える(アップグレードする)場合、置き換え前のタイルにあった線路がなくなるようなタイルで置き換えることはできない。
・特定のタイルは特定のヘクスにしか置けない
列車と運行
既に述べた通り、設立された株式会社は列車を保有する義務があります。また、1社が保有できる列車の数には上限があります。この上限はフェイズの進行によって変化します。
列車には数字や+が記されており、+はゲームによって効果が異なりますが、数字はその列車の運行区間に含むことができる都市の数です。例えば初期の列車は2列車なので、2つの都市で挟まれた区間を運行できます。ゲームによっては3/5列車といった列車も登場しますが、その運行の仕方は各ゲームを確認して下さい。
Dと記された列車がありますが、これは運行区間の長さに制限のない列車です。
列車の運行によってその列車の運行区間にある都市の価値(列車によってはその一部)だけ収益を得ます。それに加え条件を満たせば追加の収益も発生します。
列車の運行は下記原則に従って行います。
・ある列車の運行区間には必ず自社の駅トークンがある都市が含まれていなければならない。
・1回の運営ラウンドに自社の列車は同じ線路を複数回使用できない。複数の列車がある場合も同様に、自社のある列車が使った線路は他の列車でも使用できない。
・同じ線路を使用しないのであれば、自社の複数の列車が同じ都市で止まったり、同じ都市を通過することができる。
・ある都市の駅トークン置き場が他社の駅トークンによってすべて埋まっている場合、その都市を出発地点や終点にすることはできるが、通過することはできない。
列車毎の収益を合算したものを、この運営ラウンドにおけるその株式会社の収益として銀行から受け取ります。これを配当する場合、この株式会社の株主は保有する株式の割合に応じて収益を分配します。また、留保にする場合、収益は全額会社の資金となります。ゲームによっては収益の半額を配当する、という選択もあります。
いずれにせよ、配当した場合は株価が上がり、留保した場合は株価が下がります。
フェイズの進行
販売される列車の数は一部を除いて決まっており、ある列車が売り切れたら次の列車が販売開始となります。新しい列車が購入されると新しいフェイズに入ります。新しいフェイズに入ることで以下のような事が起こります。
・新たな色のタイルが使用可能になる
・盤外地点の価値が上昇する
・列車の保有上限が変わる
・特定の列車が廃止になる
・株式会社が非公開会社を購入可能になる
・株式会社同士で保有する列車の売買が可能になる
・運営ラウンドの回数が増える
・非公開会社が廃止になる
フェイズの進行により上記全てが発生するわけではなく、これらのいくつかが発生します。
閉鎖と破産
株式会社の株価が0になると、その会社は閉鎖されます。閉鎖となった後の処理はゲームによって異なります。株式会社が閉鎖になると株式の保有制限が変化します。
列車の強制購入の発生などで社長株を持つプレイヤーがプレイヤー個人の資産を供出しなければならなくなることがあります。株式をルールに従って売却しても必要な金額を供出できなかった場合、そのプレイヤーは破産し、ゲームから脱落します。ゲームによっては銀行から融資を受けて破産をしないものもあります。
おしまいに
だいたい3人以上(お勧めは4人のが多いような?)でプレイするゲームなのですが、1846だと2人用バリアントが公開されてたりします(もっとちゃんと探せば他にも2人用バリアントがあるものがありそうですが)。
鉄道ゲームや会社経営ゲームが好きで、プレイ時間を5~6時間(あとプレイヤーを少なくとも3人)確保できるなら一度はトライしてもらいたいシリーズです。ぜひぜひ。
おまけ
生成AIで画像を作成できるということなので、タイトル画像をAIに作ってもらいました。指示は「蒸気機関車が白煙を上げながら向かっており、6人の資本家が六角形のタイルを弄んでいる。空からは紙幣が降っている。」というもの。
紙幣は降っていない(ように見える)し、人物はタイルをいじってませんし、ゲーム内容ともマッチしてませんがこれはこれで良し。
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