「特定疾患管理料:三疾患除外」への対策・その2・心電図検査
「特定疾患管理料:三疾患除外」への対策・その1では療養計画書を下調べしておくという受けの消極的対策でしたが、今回の記事は攻めの積極的対策を考案してみたいと思います。6月までに、まだまだ時間はあります、やれることはしっかりと対策しておきましょう。
三疾患が除外されたとは言え、考えようによっては特定疾患のうち三疾患が除外されたに過ぎないのです。これら三疾患以外にも特定疾患が傷病名にあれば特定疾患療養管理料は算定することができるのです。
まず標準12誘導心電図検査をみなおしてみることを提案します。不整脈の傷病名には特定疾患とされているものがたくさんあります。厚労省の傷病名マスターのうち、特定疾患である心電図検査にかかわる傷病名を抜粋して以下の表に示しました。まず頻脈系の特定疾患不整脈心電図異常を列挙してみます。頻脈系の不整脈はほぼ全てが特定疾患のようです。
次に、徐脈系の特定疾患不整脈心電図異常を列挙してみます。徐脈系の不整脈は頻脈系の不整脈と比較して特定疾患としてはあまり認められていないようです。
頻脈系でもない、徐脈系でもない特定疾患不整脈心電図異常を列挙してみます。よく遭遇する心室期外収縮や上室期外収縮も特定疾患ですね。
これらの不整脈心電図異常の傷病名の入力を失念していないか?みなおしておくことも6月までにしておきたいです。
最後に、ごく一部ですが、特定疾患ではない不整脈心電図異常を挙げてみます。
この表を確認の上、さらにみなおしをすすめていけば、以下のような事例も考えられます。
事例1:「完全房室ブロック」「ペースメーカ植え込み後」という傷病名が入力されているので、特定疾患だろうと思い込んでいたら、じつは「完全房室ブロック」「ペースメーカ植え込み後」は特定疾患ではなかった→「完全房室ブロック」を簡単に説明しますと、房室結節に伝導障害があることが原因の不整脈です。伝導障害=心拍数が低下する不整脈=「徐脈性不整脈」に分類されますので(特定疾患である)「徐脈性不整脈」も入力することで特定疾患となります。
事例2:「植込型除細動器移植状態」という傷病名が入力されているので、特定疾患だろうと思い込んでいたら、じつは「植込型除細動器移植状態」は特定疾患ではなかった→「心室細動」を除細動するために植え込まれた『除細動器』だから、特定疾患である「心室細動」を入力しなくても良いだろうという理屈は厚労省傷病名マスターは許してくれないでしょう。(特定疾患である)「心室細動」も入力することで特定疾患となります。
事例3:「WPW症候群」という傷病名が入力されているので、特定疾患だろうと思い込んでいたら、じつは「WPW症候群」は特定疾患ではなかった→「WPW症候群」は『発作性上室頻拍を伴う』というのが症候群の定義なのですが、厚労省傷病名マスターはそんなことは知ったことじゃありません、「WPW症候群」という傷病名を入力しているだけでは特定疾患になりません。(特定疾患である)「発作性上室頻拍」も入力することで特定疾患となります。