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条件に縛られず、自分の気持ちを尊重する生き方
今回は、過去の娘との時間で教えられたことをもとに、何か決定するときや行動を始めるときに大切にするようになったことについて書いていきます。
私たちは、何かを決めるときや行動するとき、つい「これをやっておけば安心」「これをやらなければ困るかもしれない」といった考え方をしてしまうことがあると思います。
たとえば、「成功するならやる」「失敗するのが怖いからやらない」といった感じ。
あるいは、専門家が勧めたから、親や先生が言ったから、ネットの評判が良いからといった理由で選択することも多いかもしれません。
確かに、経験豊富な人や周りの意見を参考にするのは一見合理的に思えます。けれども、そのとき自分の心がどう感じているのかを見落としてしまうことはないでしょうか?
たとえば、人に言われたからやる、失敗が怖いからやるといった行動は、必ずしも「自分が本当にやりたいこと」ではないかもしれません。
そのため、たとえ言われた通りに努力して成功したとしても、満足感や幸せは一時的なものとなりがちです。
むしろ、その結果を維持するために、その後も気が進まないことを続けなくてはならない場合もあるでしょう。
反対にうまくいかなかった場合は自分を責めたり、人のせいにしたりしてしまうこともあります。
こうした「条件を満たすことで幸せになれる」という考え方は、自分が何をしたいのか、何を大切にしたいのかという部分を置き去りにしてしまいます。
その結果、本当にやりたくないことばかりが次々と目の前に現れたり、自分の心の声が聞こえなくなったりすることもあるのではと感じています。
やがて「自分は足りないところだらけだ」と感じたり、「どうすれば価値ある自分になれるのか」と悩み続けたりしてしまうことにも繋がります。
そうした状態では、自信を失い、人と比べて自分を責める悪循環に陥りやすくなります。
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逆に「条件に縛られずに、自分の心と相談する」という場合はどうでしょうか。
何かを始める前に、経験者や周りの意見を参考にしつつも、「それを自分は本当にやりたいのだろうか?」と心に問いかけてみる。
このステップを加えるだけで、選択肢が大きく変わることがあります。
自分が本当に「やりたい」と思って動くときは、結果の成否にかかわらず、心から満足感を得られる場合が多くあります。
この場合は、目の前のことを純粋に楽しめるようになり、自然と幸せを感じられる瞬間が増えていくでしょう。
たとえば、私の娘が小中学生だった頃、いろいろな習い事に興味を持って挑戦してみるものの、あまり長続きしないことがありました。
そのたびに「始めたからには続けてほしい」と思う反面、果たしてそれが正しいのか疑問を持つことも多くありました。
確かに、習い事には費用もかかるため、親の気持ちとして「無駄にしたくない」という思いがあるのも正直なところです。
でも、たとえば「1シーズンや半年間だけ」といった一定の期間を約束し、まずは気軽にトライさせてみる。
そして、その期間を終えて「やっぱり違う」と感じたときには、親も文句を言わず、気持ちよくやめさせてあげる。
こうしたスタンスも、子どもの中にある「自分で考え、自分で選ぶ力」を育む上で大切だと実体験から感じています。
大人だって、何が自分に合っているか、実際にやってみないと分からないことがたくさんあります。
私自身も、いろいろなことに挑戦しては途中で挫折した経験があります。
でも、その全てが無駄だったかというと、そんなことはありません。
その経験から「これは自分に向いていない」と気づけたこともあれば、そこから派生して「これなら興味が持てる」と新たな道を見つけたこともありました。
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また、このような心の在り方で選んだことには、不思議と物事がうまく進むという特長があります。
たとえお金やスキル、時間がなくても、やりたいことがあるときには、そのための道が自然に整うことが多いように思えます。
それは、自分の心と向き合うことで、内面の才能や生まれ持った強みを活かす機会が広がるからかもしれません。
一方で、自分の心のチェクをせずに周りの意見だけを頼りにしていると、本当に自分が好きなことや得意なことがわからなくなってしまいます。
どんな能力が自分に備わっているのか、何をしているときが楽しいのか、そういった大切なことに気づけないままになってしまうこともあります。
人は違う個性や才能を持って生まれてきています。
好きなこと、得意なことも人それぞれで、それがその人の価値や役割を形づくっています。
その違いがあるからこそ、お互いを尊敬し、支え合うことができるのだと思っています。
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親として子どもにどう接するかという点でも、心を置き去りにしない姿勢が大切だと感じます。
親が世間の評判や専門家の意見だけを信じがち、といった態度を取っていると、子どももまた同じように、自分の心と向き合えなくなってしまいます。
だからこそ、親自身が「これは本当に自分がしたいことだろうか?」と心に問いかける習慣を持つことが大切だと、ときどき自分自身に言い聞かせています。
そうすることで、子どもにも「自分の心と相談すること」の大切さを自然と伝えられているのかなとも感じます。
周りの人がどれだけ反対しても、自分が好きならそれでいい。
逆に、みんなが勧めていても、自分が興味を持てないならそれでもいい。
そうした心に素直な生き方が、結果ではなく「行動そのもの」に喜びをもたらしてくれます。
何を選ぶにしても、何をするにしても、まずは「本当にやりたいのか、やりたくないのか」を自分の心にたずねてみる。
娘にも伝え続けていきたいし、自分の人生においても大切にしていきたいことです。