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不安や恐怖を手放し、心を軽くする森の力

大なり小なり、私たちが日々の生活の中で感じる不安や恐怖。
これらは避けられない感情で、時には自分を守るために必要なこともあります。
けれども、その重さに心が押しつぶされそうになるとき、自然の力を借りて少しでも心を軽くする方法があったとしたらどうでしょう。
今回は、スウェーデンの静かな森や広大な自然を例に挙げながら、自然と触れ合うことで得られる癒しの力について書いていきたいと思います。

森の中の「静けさ」とその効果

北欧スウェーデンは、国土の3分の2が森林で覆われた国。
その広大な森林は、人々に静けさと安らぎを与えてくれます。
森に入ると、葉の間を抜ける風の音、踏みしめた時の音が季節ごとに変わる土の感触、小鳥たちのさえずりなど、街中では聞けない音や感覚が心を包みます。

この静けさに包まれていると、ときどき不思議と心が軽くなる瞬間があるのですが、この「静けさ」、実は私たちの心に深い影響を与えていると言われています。

科学的な研究では、自然の音や景色はストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を減少させ、心拍数を安定させる効果が……。
また、自然の中で過ごす時間は、不安や恐怖を和らげるリラクゼーション効果をもたらし、幸福感を高める助けとなります。


森の木々は "繋がり" の象徴

森に足を踏み入れると、その美しさだけでなく、木々が密かに交わす "繋がりの力" を感じることができます。
いくつもの研究によると、木々は地下の根や菌類を通じて互いに情報を交換したり、栄養素を分け合ったりして助け合っていることがわかっています。このネットワークは「ウッドワイドウェブ」とも呼ばれ、森全体を一つの共同体として機能させています。

こうした木々の「助け合い」の仕組みを知ると、不安や孤独を感じたときでも、私たちが決して一人ではないことを思い出させてくれます。
森の中の木々は、私たちに愛と調和の波動を送ってくれているのかもしれません。

木々や植物に触れる癒しの時間

森で過ごすひとときは、ただ景色を楽しむだけでなく、五感を通じて木々や植物と繋がる体験になります。

例えば、手のひらで木の幹に触れてみると、そのざらざらとした感触が心地よく感じられるかもしれません。
あるいは、葉をじっと見つめて光が透ける美しさや、そこに集う虫たちの小さな動きに気づくかもしれません。
こうした一瞬一瞬が、私たちの心を今に引き戻し、不安や恐怖から少しずつ解放してくれます。


森が教えてくれる「支え合い」の大切さ

森の中で見られる木々の助け合いの仕組みは、人間関係にも大切なヒントを与えてくれます。
木々がお互いを労り合い、必要なときには助け合うように、私たちも誰かに支えを求めることを恐れる必要はないのではないかなと思います。

けれど、まだ多くの人が「誰かに頼るのは申し訳ない」という気持ちから、本当に必要な時にも助けを求められず、孤独を感じてしまうことも少なくありません。

そのようなとき、森の木々のように、必要なときには誰かに助けを求め、自分が満たされているときには他の誰かを支えることができるのだと思い出してみてください。

もし、人との関わりの中でそれを実行するのが難しい場合、まずは木々や自然の中でその感覚を育てることから始めてみるのはどうでしょうか。
森で木々のエネルギーを感じながら、「頼ること」「支えること」の循環の素晴らしさを少しずつ体験してみると、何か見えてくるもの、感じられることがあるかもしれません。

森から得られる感謝と満足感

木々や植物と過ごす時間は、感謝の気持ちを育む機会でもあります。
日々の生活の中で、自然が私たちに与えてくれる恩恵について考える機会はあまりない気がします。
しかし、森の中で深呼吸をしながら、その空気が木々から生み出されていることを実感すると、自然と感謝の念が湧いてくるかもしれません。

そうした感謝の気持ちは、心の満足感を高める力があります。
満たされた心は、不安や恐怖に支配されにくくなり、穏やかな気持ちをもたらしてくれます。


さっそく緑に触れてみよう

この時期、スウェーデンでは日照時間がグッと短くなり、どんよりとした気候のなかでの生活を強いられます。
そのため、気分が沈みがちになる人も多く出現。

スウェーデンの人々は、自然とともに過ごす時間をとても大切にしています。森で過ごすことは、彼らにとって心と体をリフレッシュする時間。
森の中で深呼吸をすることで、木々が発するフィトンチッドと呼ばれる成分が人の免疫力を高めたり、ストレスを軽減してくれたりすると言われています。

もし、この記事を読んでくれているあなたの心が少しでも沈むことがあれば、ぜひ近くの公園や緑の多い場所に足を運んでみてください。

森の中でなくても、公園のベンチでも、街中の小さな緑地でも十分です。
木漏れ日を感じながら深呼吸をしてみてください。
今ある息を吐ききってから、鼻からゆっくり空気を吸い込み、口からそっと吐き出してみます。
じっくりと「今ここにいる」という感覚を味わってみましょう。
その瞬間、少しだけ不安が遠ざかるのを感じられるかもしれません。

自然はいつでもそこにあり、私たちを包み込む準備をしてくれています。
その優しさに身をゆだね、不安や恐怖を少しずつ手放してみるのもよいかもしれません。


木々からのメッセージ

木々に触れてみるのもおすすめです。
科学的にも、木々に触れることで体内のストレスホルモンが減少するという研究結果が出ています。

例えば、森を散歩していて大きな木を見つけたら、その木にそっと手を当ててみてください。
表面のざらざらとした感触、少しひんやりとした温度、そしてどっしりとした力強さ。
それらを感じることで、自分もまた支えられていると気づくかもしれません。

また、木々の生き方に目を向けてみるのもいいでしょう。
一見静かに立っているだけのように見える木々も、厳しい冬を耐え抜き、春には新しい芽を出し、また成長を続けていきます。
その姿を見ていると、自然と前向きな気持ちが湧いてくるような感覚をおぼえます。

森の中に見つける安心感

森の中で時間を過ごすと、次第に自分もその一部であるように感じられることがあります。
それは、「自分も大きな自然の一部であり、孤独ではない」という感覚。
森では、木々だけでなく、苔や草花、そして鳥や小動物たちが共存しています。その調和を感じるだけで、不安や孤立感が少し和らいでくるかもしれません。

木々が互いに労り助け合うように、私たち人もまた支え合いながら生きています。
ときには頼ることや、助けを求めることも大切。
森に出かけることで、そんなことを思い出せるかもしれません。

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