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Code for Japan の海外連携を推進するコーディネーターを募集します

みなさん、こんにちは。Code for Japan 代表の関です。

11年にわたりシビックテックを日本で推進してきましたが、Code for Japan のコミュニティ活動は常に学びがあり、刺激に溢れ、ワクワクさせてもらっています。一方で、まだまだやりたいことに対して人手が足りない状況です。

そこで今回は、私たち Code for Japan が大切にしている「コミュニティ」について、そしてそのコミュニティを一緒に育てていく仲間を募集していることについて、お話ししたいと思います。

そもそもシビックテックって何?

本題に入る前に、Code for Japan が推進している「シビックテック」について簡単に説明させてください。

シビックテック(Civic Tech)とは、市民自身がテクノロジーを活用して、よりよい社会や地域をつくっていく取り組みのことです。私たち Code for Japan は、「ともに考え、ともにつくる社会」をビジョンに掲げ、このシビックテックの活動を推進しています。

なぜ「ともに考え、ともにつくる」なのか。それは、複雑化する現代社会の課題に対して、行政や特定の専門家だけでなく、多様な市民が知恵を出し合い、協力して解決策を見出していく必要があるからです。そのためには、組織の垣根を超えて個人が繋がり、自由に意見を交換し、アイデアを形にしていく場が必要です。

Code for Japan のミッションである「オープンにつながり社会をアップデートする」は、まさにこのような場づくりを目指しています。最近では特に、以下の3つの領域に力を入れています:

  1. デジタル民主主義:テクノロジーを活用して、より多くの市民が政策決定プロセスに参加できるようにする

  2. デジタル公共財:誰もが自由に使える、社会課題解決のためのデジタルツールやデータを作る

  3. 共創プロジェクトの推進:多様な人々が協力して、具体的な社会課題解決に取り組むプロジェクトを生み出す

活動の原点:オープンソースの力

Code for Japan の活動の原点は、オープンソースの考え方にあります。

2011年、東日本大震災が発生した直後、私は「sinsai.info」という災害情報ポータルサイトを立ち上げました。このプロジェクトは、世界中のボランティアがオープンソースで協力し、わずか4時間でサイトを公開。その後も多くの人々の協力で機能を拡張し、被災地の方々に役立つ情報を提供し続けました。


sinsai.info のスクリーンショット。地図上に利用可能なサービス、インフラの状態など様々なレポートが投稿されている。
sinsai.info

このプロジェクトを通じて、私は「伽藍とバザール」というエッセイで語られているオープンソースの哲学に深く共感しました。大聖堂(伽藍)のように中央集権的に設計された従来のソフトウェア開発に対し、バザールのように多様な人々が自由に参加し、アイデアを出し合う開発モデル。この考え方は、ソフトウェア開発だけでなく、社会課題の解決にも応用できるのではないか?と。

それから10年以上が経ち、この考え方は少しずつ社会に浸透してきました。行政のオープンデータ化や、市民参加型のまちづくりプロジェクトなど、活動を始める前は考えられなかったような取り組みが各地で行われるようになっています。

信頼構築フレームワーク:ツールやデータより大切なもの

しかし、単にオープンソースのツールを作ったり、データを公開したりするだけでは、真の社会変革は起こりません。私たちの活動を通じて気づいた最も重要なことは「信頼」を蓄積することだということです。

いくら素晴らしいアイデアや技術があっても、それを実際に使う人々との信頼関係がなければ、その取り組みは広がりません。逆に、信頼関係があれば、たとえ完璧でないソリューションでも、一緒に改善し、育てていくことができます。

この「信頼構築フレームワーク」は、私たちの活動の根幹にあるものです。技術やデータは手段であり、目的は人々とのつながりを作り、共に社会をよくしていくことなのです。

信頼構築フレームワークの4Pを示す図。People, Prototyping, Promote の3つがアイコンと共に矢印でループになっており、Prototyping から Project にも矢印が向いている。People, Prototyping, Project, Promote にはそれぞれ解説がついている。People には テクノロジーではなく、人々から始める、と書いてあり、Prototyping には 課題を理解するためにプロトタイピングをすると書いてあり、Promote には アイデアやデータを広め、ネットワークを拡大すると書いてあり、最後にProjectには共通のゴールを決め、リソースを割り当てると書いてある。
講演で説明する信頼構築の4P

ソーシャルハックデー:継続は力なり

この信頼構築の実践の場として、私たちが特に力を入れているのが「ソーシャルハックデー」です。

ソーシャルハックデーは、月に一度開催している定期的なハッカソンイベントです。でも、普通のハッカソンとは少し違います。ここでは、誰かが勝ち負けを競うのではなく、参加者全員で協力して社会課題の解決に取り組みます。

毎月開催する意味は何か?それは、継続的なリズムを作ることです。一度きりのイベントでは、瞬間的な盛り上がりは作れても長続きはしません。毎月コンスタントに集まることで、少しずつでも着実にプロジェクトを前に進めることができます。また、定期的に顔を合わせることで、参加者同士の信頼関係も深まっていきます。

ソーシャルハックデーの特徴は、誰でもプロジェクトを持ち込めること。自分のアイデアを発表し、興味を持ってくれた人たちと一緒に形にしていくことです。

プロジェクトは多様で、最近話題のデジタル民主主義の仕組みに関わることや、Code for Sake 、アフターピルの検索システムや、睡眠の記録、偽情報対策、web3活用、行政の支援情報の検索システム、脱炭素などなど・・・きっと興味のあるものを探せるでしょう。

ここで大切にしているのは、「つくる」ことを楽しみ、「使う」仲間を増やすこと。技術的に優れているだけでなく、実際に社会で使われ、役立つものを作り出すことを目指しています。

海を越えて:Facing the Ocean

シビックテックの活動は、もちろん日本だけのものではありません。私たちは、特にアジアの国々との連携を大切にしています。その取り組みの一つが「Facing the Ocean」というプロジェクトです。
今回採用するコーディネーターも、この活動がメインになります。

50名ほどの参加者の集合写真。
Facing the Ocean in Yokohama 2024

台湾や韓国のシビックテックコミュニティとの交流を通じて、私たちは「アジア」という共通の価値観を見出しました。西洋とは異なる文化背景や社会課題を持つアジアの国々が、お互いの経験や知恵を共有し合うことで、より効果的な解決策を見出せるのではないか。

Facing the Ocean は、日本、台湾(g0v)、韓国(Code for Korea)のシビックテックコミュニティが中心となって、各国で共同ハッカソンを行う取り組みです。g0v summit 2018 やCode for Japan Summit 2018 での交流などがきっかけとなり、2019年夏に第1回を沖縄(日本)、2019年冬に第2回を台南(台湾)、コロナ禍ではオンラインなどの交流で再会の機会を待ち、2023年に済州島(韓国)、そして今年は横浜で開催しました。

ここでも大切なのは、Competition (競争) ではなく Co-creation (共創) です。各国が普段から行っている活動を共有し、そこからチームを作り、何かしらの進捗を目指します。

何より大切なのは、ともに考え、つくることで友達になれること。国家間には政治的な距離感があったとしても、市民レベルでの交流と協力は続けられる。そんな関係性を築いていきたいと考えています。

グローバルカンファレンスでの交流

日本のシビックテックの活動は海外からも注目されており、特に、毎年台湾とは相互にカンファレンスへの参加機会があります。台湾では g0v Summit など大きなカンファレンスがいくつかありますが、今年も日本のスタッフで参加してきました。私やコミュニティメンバーがいくつかのセッションで登壇もしています。

g0v Summit にて。Code for Japan, Code for Korea, g0v の仲間たち

また、毎年行っている国内最大規模のシビックテックカンファレンス、Code for Japan Summit にも海外ゲストを招いています。今年はオードリー・タンさんが登壇する予定になっています。

キーノートセッションでは安野たかひろさんとオードリー・タンさんが登壇

コーディネーターには、こういった海外ゲストとの調整などもやっていただきます。

興味がある場合、web3 関係の取り組みにも関われます。ブロックチェーンの特徴である透明性や分散性は、シビックテックにも大きな可能性をもたらします。例えば、クラウドファンディングの透明化や、市民の声を直接政策に反映させる仕組みづくり、様々なタイプの貢献の可視化とリワードなど、様々な応用が考えられます。

今年11月にバンコクで開催される Devcon Asia にも参加し、新たな可能性を探ってきます。

次世代へバトンを:若者の参加を促す

パラダイムシフトは「世代交代」である

瀧本 哲史

これは、若くして亡くなられたエンジェル投資家の瀧本哲史さんが、東大講義の中で学生向けに語った言葉です。天動説から地動説に世間の認識が変わったのは、誰かが皆を論破したからではなく、世代交代によるものだったという意味です。社会を大きく変えていくためには、新しい世代の参加や活動が不可欠だと私も思います。そのため、私たちは若い世代、特に学生たちが活躍できる場づくりにも力を入れています。

その代表的な取り組みが「Civictech Challenge Cup」(CCC)です。これは、学生たちがシビックテックのアイデアを競い合うコンテストです。ここから生まれたプロジェクトの中には、実際に社会実装されたものもあります。今年度は開催できませんでしたが、過去出場者向けに台湾・韓国への渡航支援プログラムなどを実施しています。今後も国内での学生向けプログラムや海外と接続する機会も設けていきたいと考えています。

若い世代の柔軟な発想と行動力は、社会変革の大きな原動力になります。私たちは、彼らに機会を提供するだけでなく、彼らから学ぶことも多くあります。

先ほど紹介した Facing the Ocean や国際カンファレンスでも、各国から若者が参加できるように渡航費や宿泊費を補助する取り組みをおこなっています。

さあ、一緒にコミュニティを育てませんか?

ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。

これは私も応援したい!と思ったかた、Code for Japan のコミュニティ・コーディネーターとして、私たちと一緒に活動してみませんか?

猫の手も借りたい

具体的には、以下のような活動を担当していただきます:

  1. 海外のシビックテックコミュニティとの連携企画の推進や発信

  2. ブログ、X(旧Twitter)、YouTube、Podcastなどでの情報発信

  3. 学生向けプロジェクトの企画開発

  4. ソーシャルハックデーのサポート

求めているのは、以下のような方です:

  • 英語でのコミュニケーションが可能な方

  • 人とのコミュニケーションが好きで、様々な背景を持つ人々と協力できる方

  • テクノロジーに興味がある方(技術的なバックグラウンドは必須ではありません)

  • 社会課題に関心があり、その解決に向けて主体的に行動できる方

もちろん、完璧な人材を求めているわけではありません。大切なのは、「ともに考え、ともにつくる」という私たちのビジョンに共感し、そのために行動する意欲があるかどうかです。

Code for Japan は、多様性を重視しています。年齢、性別、国籍、職歴など、様々なバックグラウンドを持つ人々が集まり、お互いの強みを活かし合っています。あなたのユニークな経験や視点が、きっと新しい化学反応を起こすはずです。

また、私たちの組織は非常にフラットです。肩書や年齢に関係なく、自由に意見を言い合える環境です。自分のアイデアを実現したい、新しいことにチャレンジしたい、そんな方にとって、ここは最高の舞台になるはずです。

もし興味を持たれた方は、ぜひ下記のリンクからご応募ください。カジュアルな面談から始めさせていただきます。

最後になりましたが、私たちが目指しているのは、テクノロジーの力で、より多くの人々が社会づくりに参加できる世界です。それは、一朝一夕で実現できるものではありません。しかし、一人一人の小さな行動が、やがて大きな変化を生み出すと信じています。

あなたの力を、私たちのコミュニティに、そして社会に活かしてみませんか?

ご応募、心よりお待ちしています。(この記事のシェアも大歓迎です!)

Code for Japan 代表 関 治之

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