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【論文読んでみた】リーダーシップ自己効力感と経験学習の関係ー大学から社会人2年目までの交差遅延効果モデルでの検討ー(2024):武田ほか

2025年1本目、久しぶりの論文紹介です。
デザインを新たにここからまた積み上げていこうと思います。
とりあえず目標は、平日は毎日更新すること!土日祝は休みます・・・
(家族サービス優先)

武田佳子, 溝口侑, & 溝上慎一. (2024). リーダーシップ自己効力感と経験学習の関係―大学から社会人二年目までの交差遅延効果モデルでの検討―. 日本教育工学会研究報告集, 2024(3), 228-233.


ひとことで言うとこんな感じ

「リモートワークが加速する社会で、
リーダーシップを発揮する社会人を育成するには、
大学時代にどんな学習が必要か?」という問いから、

大学四年生→社会人一年生、社会人一年生→社会人二年生について、
「リーダーシップ自己効力感はその後の経験学習に影響するのか?」
「経験学習はその後のリーダーシップ自己効力感に影響するのか?」
を調べた論文。

リーダーシップ自己効力感(LSE)とは?

リーダーシップを発揮しようとした時に成功できるという内なる確信のこと。
たしかに、リーダーシップスタイル以前に、
「私が言ったところで、・・・ねえ?」という自信のなさって、日常にある。

研究の進め方

内定が決まっている大学四年生を対象に、社会人二年目までの3時点の縦断調査を実施して、交差遅延効果モデルによる検討を実施。

使用された尺度

  • リーダーシップ自己効力感尺度(武田・溝上(2019))

  • 経験学習尺度(木村ほか(2011))
    ただし、本研究では経験学習をとらえることを目的に一因子構造としている。

統計の復習を兼ねて、メモ。

まずは基本統計量を見て、
LSEの各因子と経験学習尺度の相関係数を見ている。

次に、リーダーシップ自己効力感がその後の経験学習に影響するのか、経験学習がその後のリーダーシップ自己効力感に影響するのか調べるために、双方の因果関係を含む交差遅延効果モデルを使ったそうな。
交差遅延効果モデルとは、時間の経過とともに、2つの変数がどのように影響し合うかを分析するための統計的な手法だそう。

研究の結果

  • リーダーシップ自己効力感→経験学習は、大学四年生→社会人一年生で正の影響があったが、

  • 経験学習→リーダーシップ自己効力感は、大学四年生→社会人一年生・社会人一年生→社会人二年生ともに有意な正の影響が見られた。

経験学習はリーダーシップ自己効力感の先行要因となる可能性が示唆された、としている。

私なりに感じたこと

なぜこの論文を選んだかというと、
私の在学している大学院は、修了するために、クライアントに対して組織開発・人材開発を実際にやってその結果をアカデミックに記述する(≒修士論文)必要がありまして、

そのクライアント候補に先日インタビューしたときに、
「子育てをしているから時間がなくて、私は企画もできないし、そもそも思いつかない」というお話があったんですよね。

どうせ私にはできない(ほんとうは、できるようになりたいけど、どうすれば?)という思いを感じ、これってどんな概念なんだろうなと
Google Scholarを漂っていて見つけたので読んでみたものです。

育児中って、ほんとうに、言葉にしないんですよね。
「母になると言葉を失う」という話すら聞いたことがあります。

経験学習サイクルを回すには、まずは事実を記述しないといけない。
たぶん、それがないまま目の前のあれこれに追われてしまうから、本当は色々な成功体験もあるはずなのに、経験学習ができず、結果、リーダーシップ自己効力感も生まれないのかなあ・・・なんて思ったりしました。

面白そうなので、統計の授業の最終レポートのネタにする予定。


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