【論文読んでみた】職場を越境するビジネスパーソンに関する研究: 社外の勉強会に参加しているビジネスパーソンはどのような人か(2012):舘野
涼しくなってきたものの、妊婦(暑がり)ゆえまだノースリーブで生きているはるみんです。
今日は、クライアントワークの関係で越境学習に関する論文を取り上げてみんとす。
ひとことでいうとこんな感じ
社外に出て学ぶビジネスパーソンはどんな人?どんな理由?
社外に出ているかどうかや社外に出る理由によって、成長実感や組織コミットメントは変わってくるの?
ということを調べた論文。
研究の進め方
社外に出る理由に関する質問47項目を用いた予備調査を経て13項目に選定し、4タイプに分けた(不安・フレンド先行型、キャリア・成長指向型、積極的な理由なし型、成長・イノベーション型)。
その4タイプを独立変数、組織コミットメント尺度を従属変数として分析。ほか、能力向上に関する尺度とキャリア確立に関する尺度を用いたそうな(詳細が書いてあったが私にはまだ理解できない悲しみ・・・)。
研究の結果
社外に出て学ぶビジネスパーソンはどんな人?
社内/外の勉強会に参加している人のうち、約半分が社外の勉強会に参加している。なお、男女差や役職差はなく、交流会より勉強会の方が多い。
どんな理由?
自分の専門性を高めたい、イノベーションを生み出したいというのが最多。不安・転職・起業目的は下位。
社外に出ているかどうかによって、成長実感は変わってくるの?
社外に出ている人、特に社内外双方の勉強会に参加している人は、社内の勉強会だけの人や不参加の人に比べて、成長実感が高い。
=社内外に足場があることが、成長実感につながる可能性が示唆されている。
能力向上、他部門理解促進、視野拡大、自己理解促進、タフネス向上、キャリア成熟において、社外に出ている人の方が有意に高かった。
社外に出る理由によって、成長実感・組織コミットメントは変わってくるの?
キャリア・成長指向型の人は、能力向上・キャリア成熟および組織コミットメントにおいて有意に高かった。なお、積極的な理由なし型は、組織コミットメントは低くないが成長実感にはつながっていない可能性が示唆されている=明確な理由なく社外にでも成長実感にはつながらない。
私なりに感じたこと
「社内のことしか知らないからダメなんだ」という理屈はよく聞かれるが、メカニズムを理解して発している人は少ないと思う。
今回の論文では、むやみに社外に出ろというのではなく、なぜ社外に出るのかの目的意識を持たせることが大事ということだった。また、社内に不安を持っている人は成長実感が高くないという記述もあり、「可愛い子には旅をさせよ」は決して万能薬ではないということなんだろう。
むしろ、職場に不安がなく、前向きに成長したい、プラスアルファの伸びしろが欲しいと思っている人にしか効かない薬なのかもしれない。
その、「職場に不安がなく、前向きに成長したい、プラスアルファの伸びしろが欲しい」と思える状態まで人材をどう持っていくねんという方が課題なんじゃないかなあと、一管理職としては思わなくもない。
職場への信頼があって、でもちょっとマンネリを感じていて、でももう少し成長したらもっと仕事が楽しくなりそうな予感・・・こんな職場の雰囲気を醸成できる上司とはいかに。