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【論文読んでみた】チームの振り返りで促進される暗黙の協調:協調課題による実験的検討:秋保ほか(2018)

2025年6本目。
今日は夫の誕生日だったので、チーズケーキを食べました。
もうすぐ今度は自分の誕生日なので、ケーキをどうしようか悩み中です。
毎年この時期だけの贅沢な悩み♡

秋保亮太, et al. チームの振り返りで促進される暗黙の協調: 協調課題による実験的検討. 社会心理学研究, 2018, 34.2: 67-77.

ひとことで言うとこんな感じ

暗黙の協調はどうやって起きるのか?を実験室実験を行って検証した論文。

暗黙の協調とは?

チームメンバーが課題遂行時に明示的なコミュニケーションなしに円滑に連携を取ること。
つまり、阿吽の呼吸ですね。
(阿吽の呼吸っていうと、テニスの王子様の越前・桃のダブルスを思い出してしまうのは私だけでしょうか)

暗黙の協調ができると、コミュニケーションコストなしに高いパフォーマンスを出せるわけです。

振り返りとは?

メンバーの行動がチーム・パフォーマンスへどう関与したかを活動後に分析・評価する学習プロセスのこと。

振り返りは、繰り返し実施することによって、チーム・パフォーマンスを徐々に高めていくことが明らかになっています。
「こうするとよかった」「あれは良くなかった」という気づきを共有してチームとして学習できるのですね。
チーム学習をする過程で、メンバーはメンタルモデルを共有すると言われています。

共有メンタルモデルとは?

チームのメンバーが共有している体系化された理解や知識とそnお心的表象のこと。
いわゆるノウハウとか、マインドセットなどが当てはまるようです。

研究の進め方

仮説2つを検証するため、実験室実験を実施。

  1. チームの振り返りは暗黙の協調の実現を促進する

  2. 共有メンタルモデルは、チームの振り返りが暗黙の協調の実現へ与える効果を媒介する

まず予備実験として、本番と同じ課題を行わせ、何が重要か自由記述で回答を求めた。

次に本番。
平たくいうと、四角い箱の底にボールを入れ、そこに書いてあるルート通りにボールが動くように、初対面の大学生二人1組で箱を動かす。
一人が縦担当、もう一人が横担当。
ルートの側には穴が60個開いて、スタート地点に近い方からナンバリングされており、どの穴に落ちたかでチーム・パフォーマンスを図る仕様。
暗黙の協調なので、動かしている間はしゃべってはいけない。
振り返りする群のペアは、トライするごとに1分間振り返りをする。
統制群(振り返らない方)は、課題の話はNGで大学生活の話をする。(辛い・・・)

共有メンタルモデルができているかどうかは、予備実験で回答された重要事項の重要さ・順位・重視できたかについてペアでどれだけズレがあるかないかで測定した。

研究の結果

  • 仮説1は支持された

  • 仮説2は支持されなかった

  • 振り返りがどのように暗黙の強調につながったのかは不明

  • 共有メンタルモデルの測定方法が今回の実験にマッチしていなかった可能性もある

私なりに感じたこと

この論文も、作業仮説が明記してあったり、結果に影響思想な事項をどう統制するかが書いてあったりして、統計分析の勉強になった。
実験室実験って、こんな感じでやるんだなあ・・・
あまり読んだことなかったので、面白かったです。

仮説2が支持されなかったのは意外。
測定方法のせいかもしれないし、この課題が体でコツを覚える系なので、うまく言語化されていないというか、
体で覚えたことと質問紙上の文面がうまくつながらなかった可能性はあるかもしれない。

身近な例で言うと、我が家では、夫婦間で振り返りをしており、
育児・家事・勉強・仕事に関する共有メンタルモデルはあると思っています。

だから、測定の問題じゃないのかなー・・・と思ってしまいますね。

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