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矛盾から導く,あなたが天才であることの証明

こちらの記事は,論理学を楽しく学ぼうという趣旨でお送りしております.からかっているつもりはありません.
釣ろうとはちょっとしました.ごめんなさい.
完全に独学ですので,内容には誤りが含まれる可能性がありまくります.
是非,皆さんの手で証明して,逆に誤りを叩きつけるくらいでお願いします.


証明(文字バージョン)

証明:矛盾の例として,シュレーディンガーの猫を用いてみましょう.
猫は死んでいるし,生きています.
これを矛盾とします.
これを用いて,以下の状況を考えてみましょう.

  1. シュレーディンガーの猫装置を作ったぞ!実験を始める!

  2. 猫が死んでしまうか,俺が天才かのどちらかだ!

  3. 猫は生きているらしいぞ!

  4. じゃあ俺は天才だ!

いかがでしたか?(テンプレ)


はい.
ではこれを,論理学の観点から,ほんとに正しいのか見ていきましょう.

論理学の基礎

命題論理という学問で考えていきます.

命題について

「猫は死んでいる」,「猫は生きています」,「俺は天才」

論理学では,これを命題=「(正しい)か,(正しくない)のどちらかが言える問題」にして,一つの文字に代入することで考えます.(排中律ともいう)
論理といっても数学なので,xに1を代入するみたいな感じです.

$$
P=猫は死んでいる\\
Q=俺は天才
$$

などです.

論理演算子について

次に,「~ではない」という日本語と,「~か,~だ」という日本語について考えます.これらは論理演算子という記号で表されます.
プラス+とかマイナス-とかみたいな感じです.

$$
\lnot P=Pではない=「猫は死んでいる」ではない=猫は生きている\\
P\lor Q=Pか,Qだ=「猫は死んでいる」か,「俺は天才」だ!
$$

ここで $${\lnot P}$$ は,「「生きている」ではない」の意味は,死んでいるとしました.
仮に「「好き」ではない」とかだったら,嫌いにはならない(好きでも嫌いでもない場合が存在する)ので注意しましょう

また$${P\lor Q}$$は,Pだけ正しいか,Qだけ正しいか,さらにPQ両方正しいときにも正しい(真)とされます.
ちなみにこれ論理学の種類や歴史が多いせいで,
・論理和(論理全般の用語)とか,
・選言(古めの論理学の用語)とか,
・∩(集合論)とか,
・∧(論理学の式)とか,
・OR(論理回路の用語)とか,
・+(論理回路の式)とか,
・||(プログラミング)とか,
同じものなのに名前がどんどん出てきます.
ノート取るとき燃やしたくなるので注意して下さい.
(さらに余談ですが,実際に論理学を+-の数式計算で考える人たちもいます.わお.)


矛盾

「猫は死んでいるし,生きている」

これには,「~だし,~」,「~かつ~」という日本語,AND,論理積と呼ばれる記号 $${\land}$$ を使います.

$$
P\land \lnot P=「猫は死んでいる」し,「猫は生きている」
$$

これが矛盾です.$${\bot}$$ と書かれたりもします.
どちらかが偽なら,ANDの結果は偽となりますので,論理学的に「矛盾は常に偽」になります.

論理式を使った証明

では,学びを元に再証明

まず,命題をまとめます.

$$
P=猫は死んでいる\\
\lnot P=猫は生きている\\
P\land \lnot P=矛盾:猫は死んでいるし生きている\\
Q=俺は天才
$$

証明の文章を翻訳してみましょう

  1. シュレーディンガーの猫装置を作ったぞ!
    $${P\land \lnot P}$$

  2. 残念なことに猫が死んでしまうか,もしくは俺が天才かのどちらかだ!
    $${P\lor Q}$$

  3. 猫は生きているらしいぞ!
    $${\lnot P}$$

  4. じゃあ俺は天才だ!
    $${Q}$$

命題に翻訳したところで,計算するためには結局いろいろ勉強しなければならず,時間がかかります.
直感的な計算ルールの概要だけ説明すると,

  • 証明するには,仮定1から3が全て真のとき,結論4がどのような場合でも必ず真だと示す.
    (厳密には妥当な推論という.結論4が全て真=反例がないということ.R.ジェフリーの記号論理学を参照)

  • つまり,仮定1から3を全てANDでつなげ,それが真のとき,
    結論がどうなるか見ればよい

  • これをするには,含意 $${P\to Q}$$ という論理記号が使える.
    これはPが偽のときは何とも言えないので答えを真
    Pが真のときは,Qが真のときに答えを真
    とする論理演算子である.

という考え方の元,以下の式を見ます.

$$
(P\land \lnot P)\land(P\lor Q)\land(\lnot P)\to Q
$$

論理回路でよく使う,真偽を1と0で表した表,真偽値表を使ってみると分かりやすい(当社比)です

真偽値表

ということで,論理学上は正しいということが分かりました!
やった!
これであなたも天才だ!

おまけ:間違いはないのか?

今回は矛盾を扱う(すなわち理論に矛盾を導入する)ことにしましたが,
矛盾は,どんな時も常に偽と定義されていて,
これが,今回の証明のバグというか,おかしな点を生みます.

結論を言うと,矛盾を認めると,何でも証明できます.

これを爆発原理(google翻訳)と言ったりして,今回はこれを使って俺は天才だという証明をしたわけです.

含意は「Pが偽のときは何とも言えないので答えを真」としていて,
これを元に真偽値表をもう一度見ると,仮定が全部偽(矛盾)なので,
正しいというか,「何とも言えない」ということが分かります.
しかし,論理学上は「何とも言えない」を真とした方が都合がよいのでそう定義しています.
都合が良いとは,含意の役割が「反例が無いことを示して証明に使う」ようなイメージとなるので,「何とも言えない=偽」としてしまうと,「何とも言えない=反例」になって証明の際に扱いづらくなるという意味です.

ちなみに,何でも証明できるってことは,「俺は天才ではない」ことも証明できますね.
ドンマイ!まあ天才じゃなくても皆さん相当頭いいでしょ!
こんな記事読んでるくらいだし.

選言的三段論法

英語のwikiの例は以下のような感じです.

  1. 私はスープを選ぶか、サラダを選びます。

  2. 私はスープを選びません。

  3. したがって、私はサラダを選択します。

これを使えば,矛盾から何でも証明できます.
矛盾を使えば,スープを選びつつ,スープを選ばないと言えてしまうので,サラダも選ばないともいえるし,選ぶとも言えるわけですね.

書いててワケわからんくなってきた.


ゲーデルの不完全性定理

正しいとも正しくないとも,何とも言えない問題があるという定理です.
証明内容は激ムズですが,要は
正しいor正しくないと言い切ってしまうと,
矛盾が生じて,理論が爆死しちゃうから,
正しいor正しくないと言い切れない命題の存在を悔しいが認めよう…

という定理です.
数学が間違っている!とかではなく,「何とも言えないよね」というだけの理論なので誤解にご注意ください.
(このまとめ方も十分間違っている気もする)


※本記事は,量子力学が間違っているという主張ではございません.
分かりやすいかと思って取り上げました.

最後まで読んでいただき,ありがとうございました.
これで自分を天才だと褒めまくりましょう!





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