あなたはそれでも本屋さんでカバーをつけてもらいますか?
以前、書店で無料でつけてもらえるブックカバー(通称:書店カバー)についてnoteを書いたら結構好評をいただけた。
スキの数やPV以上にXで知らない人とのやり取りが盛り上がり、書店のカバーに一家言をお持ちの方は多いのだなあ、と思ったものです。
その後、よし、こんなに多くのみなさんに読んでいただけるのなら早いうちに第二弾を書こう、と思ったのですがご存知の通りの筆不精というか堪え性がないもので、数回単発記事を書いて終わっていました。
さすがに腰が入っていない単発企画だけに、僕のnoteの熱心な読者(これを一度言ってみたかった)にのみ読んでいただけたようで、あまり広がりのない記事に終わってしまっていた。
これはいかん、と反省しつつ、ふたたび書店カバーを貯めることに。そして今回、満を持して第2弾を書くことになったわけです。パチパチパチ。
今回はランキングではなく、これまでに蒐集したものをランダムにご紹介しようと思います。
■有隣堂
トップバッターは有隣堂。僕は有明という埋立地に住んでいるので、最寄りの繁華街といえば豊洲になります。
豊洲といえば市場だろ、と思われがちなのですが実は豊洲と豊洲市場はまるで別の場所。歩くと20分はかかるほど離れています。それよりも『ららぽーと』のほうが駅チカのランドマークですね。
その『ららぽーと』が業容拡大し、新たに設立された『ららぽーと3』という建物の中に有隣堂は店舗を構えています。
明るくて広い店内には文具売り場も併設され(ふしぎなのですが最近の書店は必ず文房具を扱っていますよね)いつも賑わっています。ただこの有隣堂、品揃えという面では中途半端と言わざるを得ない。
大井町や目黒のアトレにも店舗はありますが、やはり品揃えで不満が募ります。同じアトレでも大森のアトレにあるブックファーストはすごいなあといつも思うのに。なぜでしょうか。
ブックカバーはキュービックなデザイン。どんな意図があるのかはわかりません。背表紙にあたる場所には「本は心の旅路」とあります。旅路と聞くと「くちなしの花」を思い出す程度には歳を取ってしまいました。
■書楽
お次はレアものの登場、書楽です。ご存知ですか、書楽。阿佐ヶ谷の街で43年もの長きにわたり愛され続けてきた町の本屋さんです。
その日はクライアント先で人事を担当されていた女性に誘われて阿佐ヶ谷のお好み焼き屋さんで呑むことになっていました。割と(かなり)好みのタイプだったため気合が入り、待ち合わせの時間の1時間も前に阿佐ヶ谷駅に降り立ってしまった。
そこで阿佐ヶ谷の街をクルージングすることに。途中、何軒か立呑みバーを冷やかしつつ、ふと見ると駅前の噴水広場に面した小さな本屋があるじゃないですか。これは、とほくほくしながら店内に入ると思いのほか奥行きがあってびっくり。
しかもちょっと変わったレイアウトで、決して動線は良くないけれど昭和によくあったショッピングセンターのつくりです。嫌いじゃないぜ。
品揃えも充実していて、確かこのときは重松清の文庫本を買ったのでした。つい長居してしまい待ち合わせに5分遅刻したこともいい思い出です。
ちなみに書楽は僕が訪問した1年半後に閉店してしまいました。そういう意味でもこの書店カバーは貴重かもしれません。
最近のカバーには珍しく、黒をベースとしたシックなデザイン。アルファベットで「SHOGAKU」とあるおかげで「しょらく」と誤読せずにすみます。ありがたや。
(安楽亭が運営する『ブックデポ書楽(しょらく)』とは無関係です、あしからず)
■BOOK COMPASS
クライアントが浜松町や高輪ゲートウェイに集まっている関係で品川駅で途中下車することが少なくありません。駅構内にお気に入りのスパゲティ屋があるからです。僕はその店(関谷スパゲティ EXPRESS)の醤油バジリコが大好きで、こちら方面に用事がある時は必ず寄ります。
そしてお腹を満たしたあとに足が向かうのが、おなじくエキナカにJRが出店している書店『BOOK COMPASS』です。
この『BOOK COMPASS』エキュート品川店は店構えこそコンパクトなのですが、品揃えがとてもほどよい。基本的には最新刊や話題の本、いわゆる売れ筋を中心に棚をつくっているのですが、かといってトレンドに偏っているようにも思えないんです。
ビジネスから自己啓発、雑誌、趣味の本から文庫まで、行くと必ず「こんなのあったんだ」に出会える。目利きがいい人がいるのかな。渋谷モディのH&M BOOKSにも通じる、小箱だけど長居したくなる本屋さんです。
ブックカバーは鮮やかなブルーで仕上げられた、いかにも新参!って感じのフレッシュなデザイン。大胆にQRコードをあしらっていて、スマホのカメラで読み取ると…
■虎ノ門書房
続いてご紹介するのは虎ノ門ヒルズ勤務のビジネスパーソン御用達(なのかしら)書店、その名も『虎ノ門書房』です。もともと外堀通り沿いにあったお店が移転して、いまの場所に移ったとのこと。虎ノ門ヒルズからわずか徒歩30秒です。
僕はこの書店の前をクルマで何度も通過していて、以前から気になっていたんですね。と、いうのも高層ビルが林立するなかでまるで空間を切り取ったかのような2階建てのプレハブ小屋なんです。不思議だな、と。
ところがある日、虎ノ門ヒルズにオフィスを構えるクライアントに取材に向かう用事ができて(僕の書店との出会いはクライアントによってもたらされることが多いみたいです)その帰りに地下道ではなく地上を歩くと、そこに例の不思議な書店があらわれた。
おおここここ、ということで早速入ってみると、店内は外観の通りフラットでコンパクトなスペース。言い方は悪いけどプレハブでできた災害救助本部みたいなつくりです。ただ周辺の環境にあわせてか、非常に難解そうな専門書の類も棚を賑わせています。
これはこれでマニアックな楽しみ方ができるな、とホクホクしたのを覚えています。僕は最大公約数を取りにいくスタイルよりも、多少偏りがあっても個性のある書店が好きなんですね。虎ノ門書房の品揃えを見て確信しました。
ちなみに全く意識していなかったのですが、田町(これもクライアント先でした!)に行くと必ず立ち寄っていた駅前の書店があったのですが、先日ビルの解体工事が行われていて書店ごとなくなっていました。ここも虎ノ門書房だったらしい。
ブックカバーはオーソドックスな罫線によるデザイン。郷土玩具の首振り虎のイラストがかわいいです。
■文教堂
今回ラストにご紹介するのは文教堂です。
この文教堂ですが経営母体がかなり大きい。歴史もある。店舗数も多く、エリアも広い。そして経営面ですったもんだあったみたいです。ですがまあ、本屋好きにとってはお家騒動的な話はどうでもいい。それよりもどんな棚なのか、店内の雰囲気は。そういう細かいことが気になるものです。
僕が訪れたのはどんより梅雨曇の人形町です。時間は夕方。甘酒横丁をふらふらと散策して、さて、どこかで一杯ひっかけるか、と思っていたら不意の雨にやられました。慌てて雨宿りのために逃げ込んだのがここ、文教堂だったわけ。
一歩店内に入るとスゥーッとクーラーの冷気が心地よい。外は湿度100%ですから当然ですが、なんとなく得した気分です。こうなるとお礼に何か一冊買いたくなるのが人情というものでしょう。
店のつくりは大型チェーン店らしくざっくりとゾーニングされています。広々とした店内にはかなりの在庫数。でも、いかんせん没個性ですね。あれもこれもなんでもある、は、結局のところなんにもないと等しいなと。
僕はここで村上春樹さんの雑文集を買いました。村上さんのエッセイは初めて読むのですがとても読みやすいというか、読み心地が滑らかです。こんな文章が書けたらたいそう気持ちもいいだろうな、と思いました。
ちなみに購入後、地下にある酒場『大穴(だいあな)』に寄って穴子の倶利伽羅焼きを肴に生ビールで乾杯しました。いやあ、いいもんですね、本屋のあとの酒場って。大穴、なかなか風情があっていいお店ですよ。調べてみると出自が名古屋でした。縁を感じずにはいられません。
ブックカバーはアーガイル柄の組み合わせといっていいのかな。そこに小さく文教堂のロゴである大樹のイラスト、そして「BUNKYODO本」という謎のタイポグラフィがあしらわれています。時折見られるこうした情報の被り。あまり好きではありません。何事もシンプルがいちばんです。
さて、いかがでしたでしょうか、ひさかたぶりの書店カバーコレクション。もちろん東京にはまだ訪れたことのない本屋さんはいっぱいありますし、行ったことはあるけど書店カバーは手に入れていないというケースも少なくありません。
また5枚ぐらい溜まったら紹介しますね!みなさんも地元の書店カバーで「これは!」という出物がありましたらぜひ紹介してください。
それでは、チャオ!
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