2023年11月を振り返る
結構あちこちから聞こえてきて、なんとなくもう食傷気味ですが、あえて言おう。
今年は秋がありませんでした。
10月生まれのわたしがいちばん好きな季節なのに。物心ついてからいろんな思い出が詰まった季節なのに。大きく息を吸いこむと全身の細胞が喜ぶ季節なのに。
秋がないとは何事ぞ。
もうこうなったら11月を振り返ってやる。今年もあと残すところ1ヶ月になってしまったが振り返るぞ。たぶんやり残したことだらけだからこそ振り返るんだ。
10年ぶりのカラオケ
11月の祝日前夜、ふだんXやら出版社イベントなどでつながりのある漢たちが上野に集結した。具体的な顔ぶれはあえてここでは言及しないが、ウエチカズヤさんの投稿を見ていただければ「ひろのぶと株式会社」界隈の方ならだいたい掌握できるだろう。
わたしは仕事の都合で遅れての合流だった。どこの店に何時から、というような無粋な取り決めはしない侍たち。しかし情報というものは屁のように漏れる。メンバーの投稿から「一軒目酒場」で飲んでいることがわかった。
よりによって一軒目酒場て、まんまじゃねーか。わたしははやる気持ちを押さえて銀座線で上野に向かう。そして勝手知ったるアメ横の入口近くにある一軒目酒場を目指して一目散に走った。
するとなんということか。一軒目酒場の店の前にダンディズムあふれるおっさんの集団が笑顔でこちらに手を振っているではないか。
「さ、ハヤカワさん、行きつけに案内して」
かけつけ3杯ならぬ、いきなり案内である。要望度を上げれば上げるほど部下は成長する、という昭和~平成のマネジメントセオリーを一点の曇りもなくトレースするおっさんたち。泣く子と酔っ払いには勝てぬ。わたしは軍団を引き連れてホームの『大統領』を目指す。
「すんません、5人いい?2階とか」
「ごめん、今日、2階空けてないの」
なんたるちあ、全温度チア。軍団員の冷たい眼差しが薄くなりかけている後頭部に刺さる。わたしは仕方なく足を御徒町方面に向け、隠れた名店「たる松本店」を目指すことにした。
たる松での出来事は、また別の機会に書くことにする。最高に愛すべきメンバーと最高に笑いかつ呑んだ。
問題はたる松を出てからであった。さすが平均年齢57歳の集団、誰からともなくこんなセリフが発せられる。
「カラオケ行こ!」
和山やま作の漫画ではない。綾野剛主演の映画でもない。まぎれもなく三次会・カラオケ館という流れができていた。
そこでわたしは実に15年ぶりのカラオケを絶唱したのである。そして知らない歌がリクエストされないカラオケの素晴らしさに開眼したのだ。
同年輩の男だけがクソ狭い個室にギッチリ詰まった状態でめいめいが朗々と自分の好きな歌を歌い上げる、その素晴らしさよ。流れる全てのナンバーのバックコーラスがとれることの達成感よ。同志の歌に早く追いつきたくて自分のリクエストすらもどかしい。こんな気持ち、もう何年も前に捨てていたはずなのに。
AdoもYOASOBIもVaundyも流れないけど。
ご同輩と楽しむカラオケ、いいじゃん。
冬っぽい歌謡曲
かつて、季節の変化は歌謡曲が教えてくれた。春には春の、夏には夏の、秋には秋の、そして冬には冬の歌謡曲が存在した。それらの歌は歌詞はもちろん、曲調、そして音色までもがきちんと季節を正装していた。
たぶんそれは化粧品や食品、アルコール飲料などがCMを打つことで売れる時代だったからだろう。つまりCMソング全盛期ということだ。
例をあげよう。
春…『春咲小紅』『う、ふ、ふ、ふ、』
夏…『燃えろいい女』『Mr.サマータイム』
秋…『ニュアンスしましょ』『すみれSeptember Love』
冬…『冬がはじまるよ』『クリスマス・イブ』
このnoteの読者層は完全に40代以上と想定しているので言いますが、どうです?懐かしいでしょ?そしてタイトルだけで当時の暖かかったり暑かったり冷え込んできたり寒かったりしませんか?
上記は主に資生堂対カネボウのプロモ合戦だったりビールだったりJRだったり、といったところで使われたナンバーですが、CMソング以外にも『DING DONG』や『木枯らしに抱かれて』など季節を感じる名曲が数多くあった。
ところが最近はわたしの感性が錆びついたこともあり、街やメディアから流れる曲から温度や湿度を感じることがめっきりなくなった。くどいようだが自分の感性が古くなっているのがその理由であって、いまのヤングにはきちんと米津やらあいみょんやらあのちゃんの楽曲から季節を受け止めているのだろう。
なのでちょっと寂しいな、と思っていたら、ひさしぶりに冬を感じさせる歌謡曲(?)を耳にすることができた。さっきカラオケの項でもアーティスト名を出した、Vaundyの『トドメの一撃 feat. Cory Wong』である。
アニメ『SPY×FAMILY』Season 2のEDである。EDとはペレがカムアウトしたヤツではない。
歌詞はともかく楽曲、特にアレンジが実に今の季節にピッタリ。ドラマチックな転調がグッとくる。またキラキラした音色のセレクトも真冬の夜にフィットする。紅白で聴きたいと思った。さすがVaundy。マルチな才能に磨きがかかっている。
このあたりのナンバーをカラオケでサラリと歌えるとカッコいいだろうな。ヤングの間でヒーローになれそうだな。
よし、ひそかに練習するか(あれ?)。
味いちもんめに出演したよ!
わたしが漫画『味いちもんめ』の熱心なフリークであることは、わたしのnoteの熱心な読者の間では周知の事実である。
このエントリーもなかなか地味な内容ながらいまだにちょくちょく読まれているようだ。
そんな『味いちもんめ』に、とうとう出演することが決まった。決まった、というかまったくわたしの知らないところで出演していたのである。
わたしがいつものように朝日新聞朝刊を読むでもなく眺めていると、こんな記事に出くわした。
なるほど、警視庁練馬署が味いちもんめの作者である倉田よしみ先生に依頼して、味いちもんめの世界を舞台に特殊詐欺犯罪グループ加入の入口である「高額バイト」への応募を思いとどまらせる漫画を書いていただいた、ということですね。
はじめ、わたしは「うわ、懐かしい…ひさしぶりに伊橋が、そしておやっさんが」と目を細めて紙面を眺めていた。老眼だからね。
すると、あることを発見する。
ん?早川?俺やん。俺のことやんけ。
どうやらこのつるっぱげが俺らしい。
ん?俺、おやっさんになに諭されとるんや。
おやっさん、えらいすんません。
うーむ…高額バイトに一瞬目がくらむ役かぁ…。
結果としては後悔せずに済んだので良かったと言えばよかったのですけど。なんか腑に落ちない。なあ、そうだろう?全国の早川くんよ!
どうせ出るならもう少しいい役がよかったなあ。たとえば風前の灯の「藤村」を包丁一本で立て直す流れ包丁のヒロ、とか。「藤村」を高級割烹からダイニングレストランに業態変更させて一大チェーン展開を成功に収めるマイク・早川とか。
神様、どうかこのnoteを倉田よしみ先生の目に留まるようにお願いします!
ひさしぶりの「今日の注目記事」
11月は実は地味に忙しい一ヶ月でした。毎日取材、テープ起こし、ライティングがあり、同時にコンセプトワーク、サイトの構成企画、プロダクトのタグライン作成、ネーミングといちいち使う脳みそが違うテーマが同時進行していきました。
それを言い訳にしたくはありませんが、毎週月曜日にサラサラリと書いていたお仕事系noteを2週にわたってサボってしまいました。
別に誰かから書けと言われているわけではないし、毎週心待ちにしてくれている読者がいるわけでもないですし、2回ぐらいすっぽかしても世界には一ミリも影響をおよぼさないことでしょう。
しかし、否、INAX!
生真面目な性格のわたしはついウジウジと凹んでしまうのであります。なぜなら文才もなければ身長も低く、特段評価表彰されたことのないわたしができる唯一の武器が「続けること」なのに、それすらできないなんてダメすぎるにも保土ヶ谷バイパスです。
しかも、水曜日の投稿すらあやうかった。
あまりにも目まぐるしく時間が過ぎていき、気づけば18時。何を書こうか考えられていません。こうなると心の中の黒ハヤカワと白ハヤカワのバトルが熱を帯びてきます。
いいじゃん別に趣味で書いてるんだから、一回や二回すっとばしても。いやいや、今月はもう月曜だけで2回もサボってるんだから癖になっちゃうよ。大丈夫だよまた書きたくなったり書けるときが来たら書けばいいんだからこんなもん。いやいやいや、お前俺の性格しってるでしょ日本で1,2を争うめんどくさがりだぞ、もう二度とnoteなんか書かなくなるぞ。
最後はハナ差で白ハヤカワが勝ち、書くことを考える暇もなく書きながら書いたのが昨夜のエントリーでした。
おもしろいことに、そうやって満を持さないで書いたnoteに限っていい感じでスキが付く。Twitterでもたくさんの方にリポストいただけて、気づけば久しぶりに『今日の注目記事』にセレクトされました。
ありがとうございます!
みなさんのおかげです!
わたしにとってのnoteは書く筋肉を衰えないようにするためのトレーニングであり、注文文章ばかり書いていることへのフラストレーションのはけ口なので、どちらかというと続けられていることが重要であって、スキの数やリアクションはあまり気にしていないんです。と、いいながらそれはカッコつけているだけで、やっぱりスキはうれしいし、たくさんの人に読んでいただけるのはありがたい。
そういう意味で11月、いまいちだったno活を一気に逆転してくれた「今日の注目記事」入りでした。
気づいたら4000字…ちょっとコッテリした11月の振り返りでしたが、いかがでしたでしょうか?そしてあなたの11月はどうでしたか?
なんともいえない読後感になりそうな2023年も残すところあと1ヶ月。果たして12月はどんな日々が待っているのでしょうか。願わくば笑って今年を終わらせたいものです。
ざわざわしがちな年の瀬です。みなさんもくれぐれもご自愛ください。
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